マジーニア
「あの、手、放してください」
「あっごめんなさい!つい・・・」
とりあえず手は放してもらった。そうしたらなんか自分の手を見つめてスリスリし始めた。怖い、怖いよこの人。変態だよ。
「マジーニア、何かあったのですか?ずいぶん急いでいたようですが」
「あ、そうでした!この後クランハウスで魔法研究をするんです!それで急いでて・・・」
魔法研究?みんなで魔法創ったりするのかな、ちょっと面白そう。っていやいやそうじゃない。なんで私が神様なのか聞いてない。
「ねえ。なんで私が神様なの?」
「あ、ルピナス。それ聞いちゃいけないのでは・・・」
「へ?」
「ッよくぞ聞いてくれました!我がクラン『魔法研究会』はですね、これまで誇りと信念をもって魔法を創ってきました。冒険で便利そうな魔法から対モンスターに使えそうな魔法まで何でもです。第3の町までのボスであるホブゴブリンの群れと戦う時も、我々の魔法が輝きました。しかし、我々はそこで行き詰りました。威力の高い魔法が創れなくなったんです。文字数が多すぎて。理由は簡単です。難しすぎるからです。13字くらいの魔法までならまだ何とかなるのですが、それ以上になるとてんでダメで・・・。そんなときに現れたのがあなた様です!あなたが配信中に行った魔法の作り方は我々の常識の外にありました!文字として読むのではなく芸術として描く、そんなブレイクスルーをいただいた私たちはその日の深夜に集まり、総力を集めることで初めて15字の魔法を創ることができました!今日はこれからもっと長い魔法を創るための研究をしようと思っていたところで」
「ごめん、もうわかったから落ち着いて」
ごめんリーゼ、聞いたのミスだった。その情熱は否定しないけど、せめて私のことを神様というのはやめてほしい。何かしてあげたわけじゃなくてマジーニアさんが勝手に恩を感じてくれてるだけだから、なんか気まずい。
「その神様っていうのはやめて。ルピナスでいいから」
「そんな!私が神様の名を読ませていただくなど・・・いえ、これは神様の望みですもんね。ルピナスさん、よろしくお願いします」
ということで新しくフレンドが増えた。のはいいんだけど、さっきまで急いでたのは大丈夫なんだろうか。クランの人たちが待ってるんじゃない?
「あの、マジーニア、急いでたのは大丈夫ですか?」
「あ、そうでした!ありがとうございますリーゼ。そろそろ行かないと・・・」
うん、急いだほうがいいよ。多分みんな待っていると思うよ。仕事しててわかったんだけど、時間を守れない人って本当に嫌われるから、早くいったほうがいいよ。
「・・・あの、ルピナスさん。お願いがあるのですが」
「どうしたの?」
「よろしければ私たちのクランハウスに来て、魔法の創り方をレクチャーしていただけませんか!」
・・・そうきたか。ちょっと興味あるんだよね・・・。




