頑張れ!運営さん! 1
何があったのかここ二日ほどで評価ポイントが100pt以上増えてまして、うれしくなっちゃったので今日は2本投稿です。それと月曜日まで毎日投稿します。応援していただけるよう頑張ります。今後もよろしくお願いします。
「リーダーリーダー!事件っす事件!」
「ん?どうした、どっかのだれかさんみたいにサーバーが爆発したか?くくっ」
「いやそういうのじゃないっす!『OMO』っすよ!」
「だーわかってるよジョークだジョーク。んでどうした。なんか致命的なバグでもあったか?」
とある会社のとある一室で二人の会社員がとあるゲームについて話していた。そのゲームの名前は『Original magic online』。
何を隠そう、この二人も作成に関わったメンバーだ。中心だったといってもいい。『OMO』は二人にとって我が子にも等しいものであり、世界を管理しているAIも含めて可愛がっていた。
「いやそういうのでもないっす。ほら、『究極魔法』ってあったじゃないっすか」
「あったなぁ。王都についてNPCに弟子入りして猛勉強して、魔法関連のスキルを9割くらい理解したら作れそうなやつ。それがどうかしたか?」
「それをこの時点で創っちゃった人が出たんすよ!」
「は?」
こいつ酒入ってんじゃねぇだろうな。それがリーダーが最初に思った感想だった。今の時点で『究極魔法』を創れるようになるまで魔法に精通しているプレイヤーなどいるわけがないのだ。
だってそういう風にゲームが創られていないのだから。創れるとしたらゲームのバグか、もしくは創ったプレイヤーが常軌を逸した天才である場合だけだ。そしてそのような天才など、そう簡単に現れるわけがない。
「創ったのは誰だ?クランを作ってたやつらか?たしか『魔法研究会』だったか」
「違います。プレイヤーネームはルピナス。レベルは1。固有属性は『収穫』。初めて一週間も経ってない初心者っすね。ただ自力で作ったのは間違いないっす。ゲームを始めてからの行動は全部追いました。」
「バグの可能性は?」
「0っす。魔法の勉強初めて10分もしないで固有属性で魔法創ってますからね。天才だと思うっす」
「まじか・・・いや待て、創っても使えなきゃ意味がない。どの属性で創ったんだ?」
「固有の『収穫』っす」
「嘘だろ・・・いやな予感がする。攻撃用じゃないよなそれ。もしかしてもう使ってるか?」
「もう使っちゃってます。〈真髄〉も手に入れてますよ」
「まじか・・・」
〈真髄〉はこのゲーム屈指のイカれスキルだ。MP消費が増える以外のデメリットがない。そのくせ火力は跳ね上がる。
だからこそ『究極魔法』なんて危険物を使わないと取得できないようにしていたのだが。
そもそも創れていること自体が想定外と言えば想定外だ。基本6属性なら王都につけばどのプレイヤーも可能性があるが、固有属性で創れる人間がいるとは思ってなかった。
固有属性の場合、他の人と協力して魔法を創れないよう一種の防壁が設置されている。他の人が使っている文字を見ても理解ができなくなるというものだ。
固有属性が『収穫』という攻撃に使えなさそうな属性だったのも悪さをしただろう。このゲーム、攻撃に使う魔法はそうでない魔法に比べてMPの消費が多くなる。
しかし『収穫』で作られた魔法は攻撃用ではなかったため、使うMPが比較的少なかった。
「さすがに〈真髄〉をこの段階で手に入れられるとゲームが崩壊する・・・ナーフか一定のレベルまで制限でも入れるか?」
「あ、無理だと思うっす。プレイヤールピナスの使った『究極魔法』の効果的に、〈真髄〉に調整を入れても時間をかけられたら意味ないっす」
「そういや効果を聞いてなかったな。どんな効果だ?」
「倒した敵から一部ステータスとスキルを一つ奪う効果っすね」
「・・・あんまり強くないか?」
「馬鹿っすか?あ間違えた、これ見ても同じこと言えるっすか?今のMP見てくださいよ。500近いっすからね」
「いやMPだけなら・・・」
「収穫するステータス、そのモンスターの高いのから順番に取るんすよ。で、始まりの町周辺で魔法の威力を上げる知力が高いモンスターが一体いるっす」
「そんなんいたか?」
「ビッグ綿ウサギっす。あいつ実は知力が高いんすよ」
「なるほど。要するに?」
「こいつ乱獲されたら〈真髄〉に調整入れても無駄っす。知力の暴力でモンスターが滅ぼされるっす。何ならモンスター限定だったスキルなんかも取られるからバフスキルも山のように得られるっす」
「・・・調整はいいか」
「いいんすか?」
「こういうのは問題が起きてからでいいんだよ。全プレイヤーに影響あるようなものでもないしな。ただ個人がめちゃくちゃ強くなるだけだ。よくよく考えたら〈真髄〉を手に入れられるくらい熱中して魔法を創ってくれたんだろ。愛だろそんなの。開発者冥利に尽きるってもんだ」
「・・・そうっすね」
この部下は優しいので、創った本人は魔法がうまくいかないことにキレながら魔法を創っていたし、何なら英語で言うFワードを連発しながら創っていたことも言わないで置いた。




