私にできる最大火力
「できた!リーゼ!私の指示するタイミングででかいのお願い!」
「はい!」
まだ、まだ ダメだ。さっきと同じように普通に拘束するだけじゃまた破壊される。だから意表を突かなきゃ。
あいつはたまにこっちを見てる。最初に魔法を撃ったのを覚えてて警戒してるんだと思う。だから私から注意をそらさない。
それならそれで好都合だ。リーゼが一発でかいのを撃てばそのタイミングで私への注意を絶対に外す。欲しいのはその注意をそらす一瞬。
「『母なる星を形作る土よ、我が意に従い、』・・・」
あいつと私たちのレベルには差がありすぎる。なんせレベル:EXだ。多分比べられるようなものじゃない。
あいつがその気なら私たちはもう死んでる。でも私たちはまだ死んでない。なぜ?
決まってる。本気じゃないからだ。今のあいつは遊んでるんだ。だからまだ死んでない。ならそれを利用してやる。
本気になった瞬間。今までと体の感覚が変わるその一瞬を狙う。
「『敵の四肢に』、いま!」
「『ニュ・ヘレン・ルイツツ・アス・シシフ・ミュイ・・フォフォ』!」
私の指示でリーゼがでかいのを顔に当てる。今まで防戦一方だった奴からの明確な攻撃。魔法を喰らって一度下がったハティの雰囲気が変わった。
初めて感じる、圧倒的格上からの圧、恐怖。
そのままあいつはリーゼに攻撃するために四肢を落とす。すでに私のことは気にも留めてない。
今、この一瞬が欲しかった!
「『封印を施せ』!!止まれっ!」
ハティの四肢に土が覆いかぶさって拘束する。ちょうど最大まで四肢を落とし、飛び上がろうと足を伸ばした瞬間。
いくらあいつが格上でも、このタイミングで拘束を破るためにできるのは一つしかない。
ハティは一瞬とまったあと、四肢に力をいれ拘束を破った。伸びきった状態で、私の狙い通りに。
「『風よ、地から沸き敵を浮遊させろ』!」
ーグウッ!ー
初めてハティが痛みで声を上げる。うまくいった。四肢を曲げた状態で無理やり飛んで拘束を破壊したところにバランスを崩す下からの風。そりゃ転倒もする。
空中で一回転して転んだハティは、私たちにその大きな尻尾を見せつける。その尻尾、寄越せ!
「『荒れ狂う天災のごとき風よ、我が意に従い、敵を切り破れ》』!!切れろっ!」
ポーションをがぶ飲みして〈真髄〉の効果を上昇まで上げた、今私が出せる最大の魔法がハティの尻尾に突撃する。
そのまま起き上がろうとしたハティより早く、魔法はハティの尻尾付け根付近に着弾。そのまま尻尾を切り裂き、尻尾は宙に浮かんだ。
「リーゼ!回収して!お願い!」
「え、あぁはい!」
ハティの近くにいたリーゼに回収を頼む。ほんとは〈収穫〉も使って私がとりたいけど、距離がありすぎて無理だ。まぁそもそも、切られた瞬間にハティが立ち上がってこっちを見てるからいけないんだけどね。
あーあ、初めての死に戻りだ。まぁこんな奴の尻尾手に入れたらチャラでしょ。・・・悔しいなぁ。そんなこっち見つめてないで早く倒してよ。
ー・・・見事だー
え、あなた話せるの?




