装備を作るために
「はい、これで登録は完了となりました。こちらが冒険者カードです。なくさないようにお気を付けください」
【大切なもの】冒険者カード
冒険者としての身分を証明するほか、転移門のアクセスに使うこともできる。現在のランクはE。
【スキル】解体
倒したモンスターを解体し、素材を手に入れることができる。解体した死体はそのまま消える。
南門近くの冒険者ギルドで冒険者になったので、そのまま〈解体〉も取得。これで金策と死体処理が楽になった。解体した死体はそのまま光になるっぽいし。
Dランクに上がるために必要な依頼を達成するため、簡単そうなフォレストウルフ討伐の依頼を受けておく。EからDまでは一つ達成でいいので、多分チュートリアルみたいなものなんだろう。
リーゼと別れてから30分くらいたつけど、彼女の装備メンテナンスは終わっただろうか。ゲームらしく魔法で一瞬だったらもう終わってるだろうけど、現実準拠だったら終わってなさそう。とりあえず行ってみるか。
鍛冶屋の前でひげもじゃのいかにもな親方とリーゼが分かれるところだった。ちょうど終わったみたい。魔法で一瞬パターンだ。私の装備もすぐにできそう。
「あ、ルピナス。登録終わったんですね。私もちょうど終わったんです。親方、さっき伝えたのが彼女です」
「そうか!俺は鍛冶屋のゴンデスだ!」
「ルピナスです。お姉さんの紹介で装備を作りに来ました。」
「そいつは構わねえぇが、お姉さって誰だ?悪い、名前を教えてくれ」
確かに。お姉さんじゃ普通は伝わらないか、えっと、名前名前・・・あれ?
「私、お姉さんの名前知らない・・・」
これはショックだ。私の名前は聞かれたときに伝えたのに、私はお姉さんの名前を聞くのを忘れた。外見で伝わらない?だめ?
「えっと、あっちの路地でお店を構えてる美人で髪の長いお姉さん。ポーションとか売ってる」
「ああ!ルキナの紹介か!あいつの紹介ってこたぁお嬢ちゃん腕がたつんだな!どんな装備が欲しいんだ?見た感じ後衛なのはわかるんだが」
「これを使って装備を作ってほしい」
お姉さんの名前はルキナっていうのね。覚えた。そのまま取り出したるはコンク・スライムの質量ある体液。あれから少し時間は立ってるけど、依然しっかりとした形を保ってる。
「こいつは・・・コンク・スライムの体液か。コアを打ち抜いたんだな。体液の状態がいい。物理に強い装備を作れるはずだ。ただこれだけじゃ無理だな。」
「無理なの?」
「あぁ。形を保ってるとはいえ液体に変わりないからな。成形ができない。こいつに見合う丈夫な皮でもありゃいいんだ」
「あ、それなら心当たりあるよ」
心当たりとはコンク・スライムと同じように、一定数倒したときに現れるボスみたいなやつだ。フォレストウルフならボスはリーダー的なのが来るはずだし、毛皮も〈解体〉すればとれるはず。
「わかった。それじゃそいつを手に入れてから来てくれ」
「うん。あ、ごめんリーゼ。放置しちゃった」
「いえ、私も抜けるタイミングを失って惰性で居ただけですから。私のほうこそ謝るべきですよ。希少そうな素材のことを聞いてしまいました。明日はその心当たりとやらを討伐に?」
「リーゼならいいよ。そうだね、討伐に行くのは明日かな。多分夜」
「そうですか・・・迷惑かもしれませんが、私もついていってもいいでしょうか?これでも最前線組なので、足手まといにはならないと思います」
「私からお願いしたいくらい。それじゃあ、明日の夜7時に噴水に集合しよう」
「了解です。それじゃあ、私はいきますね」
リーゼと約束をして別れる。私はどうしようかな。まだ時間に余裕はあるけど、戦って疲れた。・・・綿ウサギを見に行こうと思ったけど、明日に備えて宿で魔法を創ろっと。それと現場視察。リーゼに比べたら、私は大分弱いだろうし。




