蜘蛛の巣を探して
「・・・っ!・・・っ!」
「はあっ!あ、ルピナスそっち行きました!」
「あぁぁぁぁ『風の矢』!まだ巣に着かないの!?」
「もう少しかかるかと・・・あ、後ろいます!」
「え?・・・ひぃぃぃぃ風の矢!・・・あ、クールタイム・・・きゅう」
「あぁぁぁまだ死ぬには早いですルピナス!」
「はっ。生き返った」
もう帰りたい。森に入ってから30分、いたるところから蜘蛛がやってくる。
下からくるのはいい。草の動きで分かるから。上からくるのもいい。踏み込むときの足音がするから。
でも忘れてちゃいけないんだけど、こいつら蜘蛛なのだ。要するに糸が使える。なのでそれを警戒しないといけない。
時々、木と木の間に糸が張られてたりするのだ。それに気づいて私が収穫できればより質のいい糸素材が入手できるんだけど、そう上手くいったのは森に入ってから22回中なんと2回だけ。成功確率なんと脅威の約10%。ソシャゲのガチャよりましか。
そのくせ一度引っ掛かったらもう素材として使えないほど質が悪くなってて、〈鑑別〉の判定はまさかの0G。
それで下に注意を払うようになったら今度は上から蜘蛛が来るのよ。しかも糸を利用してブランコみたいに勢いをつけながら。
リーゼがいなかったら3回は気絶してる。
「まさかルピナスがここまで蜘蛛に弱いとは・・・」
「ごめんね・・・」
「いえ、無理を言ってついてきてもらったのは私の方ですし・・・。とりあえず、もうすこし深くに行って巣を探しましょう。木と木の間に仕掛けられてる罠だけだと効率が悪すぎます。このままでは明日も森に来なければなりません」
「え、それはやだ。どこか巣のある場所に心当たりある?」
「現実の蜘蛛だと風で巣を壊されないよう、木陰や軒下などの天候の影響を受けにくい場所に巣を作るんですけど・・・シルクスパイダー自体が大きいのと、この森に風があんまり入ってきてないことを考えるに、あんまり現実の蜘蛛の生態は参考にならなそうです」
「え、じゃあ・・・」
「はい、しらみつぶしですね。頑張りましょう。まぁまだ30分しか歩いてないですし、もうすこし歩けば意外と簡単に見つかると思いますよ」
「そうだね・・・」
私にとっては見つかっても見つからなくても地獄だ。見つけたら蜘蛛と戦闘だし、見つからなかったら突如出てくる蜘蛛に怯えることになる。
ちくしょー。私の計画ではリーゼにも怖がってもらうことで水着計画は廃止にする予定だったのに。
怖がってるのは私だけでリーゼはちっとも怯えてない。どうしてこうなった・・・。




