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京都に修学旅行に行ったら、異世界に着いたので、こまって、とりあえず、クラス委員の矢頭くんを召喚してみました  作者: 菱沼あゆ


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さて、お集まりの皆さん

 



「さて、お集まりの皆さん」


 水門がそう言うと、みんな、最初から集まってるが、という顔をしていた。


「あのさ、さっき思いついたんだけど。

 ひとりひとりの記憶は一瞬でも、全員が頭に思い浮かべたら鮮明になるかもしれないよね」


 なにを? と全員が訊き返す。


「お地蔵様と鳥居だよ。

 召喚して、あの場所を再現したら、最初の(やしろ)が現れるんじゃない?」


 みんな、顔を見合わせていた。


「鳥居はすぐに手を合わせて目を閉じちゃったから、確かに鮮明じゃないな」


 猿渡の言葉に、みなが頷く。


「地蔵は最初の一体をマジマジと見ただけだぞ。

 あとは数えて歩いてったから」


 皆川の言葉にもみなが頷く。


「最初の一体がみんな違うといいんだけど」


 そう水門が呟くと、ああ、そうか、と松岡が言った。


 反対向きに減ってってたら、みんながガン見していた地蔵が同じになってしまう。


「そもそも召喚って、どうやってやるんだよ」


「そうだよ。

 俺はこの世界に来て、ウロついてたら、城を見つけて。


 中入ったら、総長様がいらしたから、駆けつけただけだし」


 俺も、俺もだ、というヤンキーどもに水門は、


 ……思い出が美化されている。


 小一時間前のできごとなのに、と思っていた。


 なんか矢頭くんを()る勢いで、突っ込んできた気がするんだけど。


 まあ、触れまい、今の平和を守るため、と水門は誓った。




 水門はみんなに召喚について説明していた。


「ふーん。

 記憶が鮮明なものなら、なんでも召喚できるのか?」


 そう蜂山が訊いてくる。


「どうなんでしょうね?

 よく見たものとか覚えてるもので、そのとき近くにあるものか、普段、身近にあるものとかなのかも」


「じゃあ、ここはあの京都の街の近くなのかもしれないな。

 時空が違うだけで」

と矢頭が言ったとき、


「待て」

と皆川が水門に向かって言った。


「この女はこの城が身近にあるものなのか」


 そう言い、楓子を指差す。


「はあ、うち、よく泊まりに行くんで」


 ちなみに塁も城呼んでるけどね、と思いながら言う水門の前で、楓子が皆川と揉めはじめる。


 いや、揉めてはいるのだが、ちょっといい雰囲気だなと思ってしまった。


「で、あんたは金塊がいつも側にあるのかい?」


 赤西が水門に訊いた。


「ひんやりする~とか言って抱いて寝てそうだ」

と塁が笑う。


「お前ら……、城とか金塊とか。

 俺の木刀と茶筒と手裏剣がショボく感じられるだろうが」


「でも、一番役に立ってたよ、矢頭くん」

と水門はフォローを入れる。


 そういえば、木刀とか、昔の仲間に買うとこだったとか言ってたけど。


 それってヤンキー仲間にってことか。


 なるほど、好きそうだな、木刀とか、と水門が笑ったとき、矢頭が浜田に言うのが聞こえてきた。


「浜田」


 矢頭はポンと舎弟の肩を叩く。


「召喚して散々使ってしまった奴が店に戻ってると思うんだが……。

 あれとは別に、元の世界に戻ったら、必ずお前用の手裏剣も買ってやるからな」


 総長っ、と浜田は目を輝かせたが、塁は矢頭に向かい嫌味に言う。


「なんだお前、死亡フラグか」


「なんで、死亡フラグよ」


 とがめる水門に塁が言う。


「『~したら、必ず、~するから』とかもう完全にヤバイだろ」


「もう~、嫌なこと言うわね」


 いやいや、と塁は手を振った。


「なにせ、ずっと見守ってきた妹を嫁に出すみたいな心境なんでな」


 ……嫁?


 誰が、誰の、と思う水門を冷ややかに塁は見下ろす。


「よく見てたから召喚できたんだろ? 矢頭」


 いやまあ。

 そういうわけではないんですけどね……。


 だが、あのとき、ナンパしてたとはいえ、近くの土産物屋に班長の塁がいるのを確認していたのに、何故か矢頭くんを呼んでしまったことは事実だな、と水門は思っていた。




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