第3章 オーネスト王国激震篇 17
「そうですね、あの頃のアルベルト殿下は女姓からの人気は凄かったですが、肝心の御本人が魔法にしか興味の無いご様子でしたので」
「ふ〜ん、今と変わってないのね」
「魔法大好きだもんねカイトって(笑)」
「ですので、剣術等の鍛錬にお誘いするのは大変でした」
ルナ達にせがまれたマディクスが、アルベルト時代の僕の話を二人に聞かせているが、ちょっと違うくない?
剣術等の鍛錬に誘う?
嫌がる僕の首根っこを掴んで無理矢理外に連れ出して、地獄を具現化したようさな根性論で鍛錬をさせてたのは忘れてないぞ?
「『イヤだ〜!!』っていつも仰っしゃられていましたが、いざ鍛錬となると手を抜かず、この私が嫉妬する程の才能を開花させていく姿は…………あの頃は良かったですな」
「今もあまり変わってないわよ」
「いつもクラウディア様に追い込まれてるから(笑)」
「流石はS級ハンターといったところ…………と言いたいところですが、あの方は何者でしょうか? あのアルベルト殿下を超える人間種など存在するのでしょうか? 確かにヴォルク達に遅れを取りましたが、あの時のアルベルト殿下は幼少も幼少な時期でした。あれから更に魔法の研鑽を積んだ殿下に勝てる存在というのは…………」
「私はこの世界の創造主、所謂【創造神】ですわね。この私にも気付くことが出来ない内に世界の因果を改変した存在に対処する為に、この変態クズ男を鍛えていますのよ」
「創造主!? 変態クズ男!?」
ルナ達に昔話をしていたマディクスが話の流れから残念災厄神様の存在を思い出したところへ、その本人?本神?が全く正体を隠す事のない自己紹介をぶっ込んだ。
いきなり私は【神】ですと名乗られて、ハイそうですかと納得出来る訳ないだろう!!
この辺が残念女神の本領だよ(´Д`)ハァ…
それとマディクス、僕が本気で嫌がってたのに問答無用で木剣を叩き付けて来たから必死で防いでたのを美談にするのはやめて。
『残念、残念と喧しいですわね』
「アっ、アルベルト殿下あぁぁぁぁぁぁっっっ!!」
今回はマディクスを時間停止から除外したみたいで、たった2合斬り結んだ後、為す術なく細切れにされた僕を見てマディクスが悲壮な声をあげる。
「で、殿下…………へ? おお、流石は殿下、その状態からも回復する術をお持ちになられてたとは!!」
いつものように、細切れ状態から再生していく僕を見てマディクスが感激しているみたいだけど、そんな世の理に反した不条理なんて僕には不可能だからね?
「痛たたたたたっ、…………ふう、マディクス、これは僕がどうこうじゃなく、この残念女神様が【不殺】を付与した剣で斬ってるから回復しているだけで、その付与が無かったら普通に死んでるよ」
「【不殺】を付与!?」
「落ち着いて周りを見て、僕ときみ以外は時間が停止してるだろ。残念災厄神様はこの超常現象を見せる事で自身を証明したって事。まぁ、大半の理由は腹いせだろうけど」
「いくら躾ても敬意を持たないこの変質者と同じ目に会いたくないなら、言動には気をつける事ですわね」
「死なないってだけで、死ぬ程痛いって言っただろ!! 何が躾だ、反骨心なら育ってるよ!!!!」
「で、殿下!? …………その御方は本当に【神】なのでしょうか?」
「残念極まりないけど、そうみたいだ……ふぎゃー!!」
マディクスの質問に答えてた僕を再び細切れにした残念災厄神様が、マディクスに視線を向けながらポツリと囁く。
「私への不敬は重罪ですわよ(笑)」
「!? …………」
流石のマディクスでも、この威圧感垂れ流し状態の災厄神様が相手では無言で首を縦に振り続けるしか出来ないみたいだ。
馴れってのは恐ろしいもので、いきなり空気が変わって顔面蒼白なマディクスを見たルナ達は、既に何があったのかを察したみたいで、
「また私達だけ除け者にして٩(๑òωó๑)۶」
「でも、今回は二人でイチャイチャしてた訳じゃないみたいだよ?」
と、呑気な反応をしている。
「奥方様達の反応を見る限り、どうやら日常的な風景みたいですな。これが日常というのもどうかと思いますが」
「そうよ、いっつも私達を除け者にして二人でイチャイチャしてるんだから٩(๑òωó๑)۶」
「カイトって浮気者だよね~」
冷静さを取り戻したマディクスにルナ達が愚痴っているが、イチャイチャじゃないっていつも言ってるだろ!!
あんな殺伐としたイチャイチャがあってたまるか!!
「ともかく、これでマディクスにも現状が把握出来たでしょう? 先程この変態が説明した通り、改変された因果を正す為に私はこの者達を鍛えておりますの。ついでに貴方も鍛えて差し上げますので感謝する事ですわね」
「我々の復讐に創造主様の後押しが? なんという行幸、是非ともお願い申し上げます!!」
何か、マディクスが洗脳されてるような気がしないでもないけど、この【神】は本当に残念な奴だからね?
その辺を誤解しないように!!!!
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