第3章 オーネスト王国激震篇 15
「悩める仔羊を導く為に行動した創造主への敬意どころか、災厄神呼ばわりするクズは数百回死んでなさいな」
帰って来るなり時間停止、即細切れ…………
なっ、何がしたいんだこの暗黒神は!?
ん?
後ろにいる小僧は誰だよ!?
すっごく警戒した顔してんぞ?
……ってか、何を赤の他人を連れ込んでんだ!!
●マディクス
●人間 Lv 11
●HP 81
MP 38(+381)
戦闘力 68
体力 61
素早さ 51
防御 68
●剣術Lv9・槍術Lv8・魔法Lv7(空)
マディクス?
やっぱり知らない名前…………何で、僕と同じようにMPに+表示があるんだ!?
それに、他のステータスに対して剣術等のスキルレベルが異常に高いのは不自然だろ。
「人間とエルフ? 俺をこんなところに連れて来て何の話があるってんだよ? …………正直、アンタは得体が知れないからここまで大人しく従って来たが、コイツ等も俺と同じようにアンタに集められたのか? 人身売買ってつもりなら………………ロード=ベンズ!?」
そう言ったマディクスって小僧が体内で魔力を操作し始める。
警戒しているのはお互い様だがその特徴的な魔力の流れは……
「!? その【身体強化】は誰に習った!?」
僕の姿を見てロード君の名前が出て来た事も重要だけど、それよりも【身体強化】の魔力操作の方が更に重要な意味を持つ。
その魔法は、僕がアルベルトとして生きてた頃に使っていた【身体強化】そのものであり、今では使う人間、魔族はいない筈の魔法。
ヴォルクに討たれた後で更に改変した、現在僕達が使っている魔法でもない。
この世界中で、あの頃の僕とマギクスしか使えなかった筈のオリジナル魔法なんだぞ!?
直接対峙したヴォルク達では再現すら不可能なレベルの魔法だったんだから、現在に魔法体系として残っている筈がない。
「この【身体強化】を知っているか、ロード=ベンズ!! 流石は英雄ヴォルクの息子だけはある。しかし、何故貴様が此処にいる?」
「質問に質問で返すな、答えろっ!!」
「お前の親父の因縁が不幸だったと諦めるんだな。お前に直接の恨みは無いが、奴の血族ってだけで俺には十分だ!!」
『そこまでですわ!』
マディクスって奴が僕との会話を拒否して戦闘態勢に入った瞬間、残念災厄神様が威圧を放ち、僕もマディクスも動きが止まる。
「ウッ…………こっ、この威圧感は!?」
「落ち着いて話をしなさい、この者は貴方が知るロード=ベンズではありませんわ。…………ロード=ベンズどころではないクズっぷりは貴方がよく知る者ですわよ(笑)」
誰がクズだ!!
その言葉はそっくりお返しさせてもらうわ!!
「質問に答えろ、お前が使っている【身体強化】は僕と…………僕の側近だったマギクスしか使えない魔法だ。何処でその魔法を覚えた?」
「はあ!? ヴォルク=ベンズの息子であるお前が何故その名を呼ぶ!? しかも、まるで自分がアルベルト殿下だと言わんばかりの口ぶりで………………それだけは許さない!!」
そう叫んだマディクスは素手で殴り掛かって来たが、ステータスに差があり過ぎるので簡単に捌き抑え付ける。
「このまま殺してしまう事も簡単だけど最後の質問だ、お前の言動は不自然過ぎるからな。お前の本当の名前は何だ?」
「クッ、まさかヴォルクどころかその不肖の息子に殺られて終わるとはな…………俺はマギクス、魔帝国皇太子アルベルト殿下の腹心であり、その最後を共にした者だ!!」
「はっ、はああぁぁぁぁぁっ!?」
マディクスの答えが意外過ぎて変な声が出てしまったが、その反応が更にマディクスを激昂させてしまった。
「ロード=ベンズ、貴様の親父は英雄どころかとんでもないクズだ!! 奴は国民を思い英断を下したアルベルト殿下を騙し討ちした挙げ句、それを手柄と吹聴したクズヤローなんだよ!!」
「………………」
「俺は、俺にはマイアール帝国の国民として行きて行く事はやっぱり出来ない。アルベルト殿下の仇を眼の前にして……自分の気持ちはハッキリした!! 殺すなら殺せ、今度こそ、今度こそ俺はアルベルト殿下のところへ……」
その表情は激昂した男のそれだが、言葉の節々からは無念に泣くマギクスの感情が伝わって来る。
いきなり過ぎて簡単には信じられないが、眼の前にいるこのマディクスって大人しくがマギクス?
僕の側近、腹心…………そんな言葉では表せないくらい、僕の前世で大事だった存在。
マギクスだってのか!?
「『見勝不過衆人之所知』、お前が本当にマギクスなら知っている筈だ。これに続く言葉を!!」
「何故!? お前がその文言を!?」
「答えろ!!」
「『非善之善者也』だ…………」
この世界の者では僕とマギクスしか知らない筈の『孫子』の一文、それに躊躇無く答えたって事は……本当にマギクス?
『何を教え込んで優越感に浸ってたのでしょうね? この変態陰キャオタクは(´Д`)ハァ…』
うるせぇ、黙っとけ!!
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