第3章 オーネスト王国激震篇 7
「『竜殺し』? 『竜殺し』じゃなく?」
「お前……『竜殺し』なんて…………歴史上でも何人いたか知ってて言ってんのか?」
リーファンスハンターギルドのはギルド長室に呼ばれた僕達に、何故かギルド長自らが新しく登録されたハンターパーティーについて語って来た。
何で態々僕達に注意するような事をしてんだ?
『貴方が揉め事を起こす可能性がそれだけ高いって思われてるってだけですわね。迷惑な変態ですこと(笑)』
その言葉そっくり返させて貰うよ(笑)
シシリアさんを狂わせる残念女神様(笑)
同じ『竜殺し』でも『ドラゴンバスター』と『ドラゴンキラー』では扱いが全く違う。
『ドラゴンバスター』は竜種を討伐した実績の持つパーティーに贈られる称号であり、『ドラゴンキラー』はソロで竜種を討伐したハンターに贈られる称号となる。
当然、単騎で竜種を討伐出来るハンターなんて歴史上でも数えるほどしか存在せず、S級に認定されたハンターでも一握りの者しか持っていない称号である。
竜種の討伐って言われているが、実際には亜竜である翼竜の討伐でも贈られる程度の称号なのが現実だけどね。
それなら僕だって『竜殺し』だよ(笑)
トカゲを狩ったくらいで、そんな大層な称号なんて名乗るつもりは無いけど(笑)
実際、【鑑定】で見えるステータスにもそんな称号は無いし、本物の竜種以外で名乗るのは違うんじゃないかなぁ。
『過去には、老衰間近のヨボヨボ翼竜を狩って称号を得たパーティーもいましたわね。世界の摂理で、ステータスに冠したいならば本物の竜種じゃなければなりませんわよ』
だよね~。
一口に『竜殺し』って言っても、対象となる肝心の竜もピンキリだし、翼竜程度で名乗る称号じゃないな。
『ウチの変態にも勝てない貴方には相応しく無い称号ですわね(笑)』
何かムカつくけど、あのカタツムリトカゲって……竜種の最上位って言われてる古代竜じゃなかったっけ?
それに、世界の管理者っぽい事を言ってたけど討伐して良いの?
『出来るならどうぞ(笑) 実際には一瞬で『カイトの黒焼』が出来上がって御仕舞でしょうけど(笑)』
…………いづれアンタと一緒にヤッてやるよ。
女神とカタツムリトカゲの黒焼にしてやる。
『楽しみに待ってますわ、数十万年先くらいまでなら(笑)』
………………………………ロリババア。
『(#^ω^)今直ぐ黒焼にしますわよ?』
『有言実行』って、凄く良い言葉だとは思うよ?
でも、時間停止させてまで本当に実行する必要がある?
いきなり修行用の空間にほうりこまれたと思ったら、有無を言わせず範囲攻撃魔法とか…………
それも正真正銘【神級】の魔法なんて、レジストする事すら出来ないに決まってんだろ!!
問答無用で人を細切れにしたり、黒焼にしたり、アンタには情緒ってもんが無いのか!?
『神に悪態をついてその程度の神罰で済ませて貰っておいて、何を寝言を言ってるのでしょうかねぇ? この変態デブ専お尻マニアは何時まで経っても甘えが無くなりませんわね』
悪態?
僕は本当の事しか言ってないんだけど?
『事実陳列罪』とでも言うつもりかよ(笑)
『貴方の相手をしてると本当に話が進みませんわね。ダラダラグタグタな展開ばかりで疲れますわ』
自覚が無いのもいい加減にしろよ!!
グタグタの原因はアンタの念話から始まってんだよ!!
「むぅ……イチャイチャの気配」
「カイトの浮気者」
ほら、ルナ達が更にグタグタな展開に持って行こうとしてる。
「………お前等、人の話を聞いてんのか?」
目の前では青筋を浮かべたゴリラが切れかけてるしぃ。
「ちゃんと聞いてますわよ? 私はこの者達の鍛錬は致しますが、このクズの人間性までは管轄外ですわよ」
「いっ、いえ、クラウディア様に言った訳では!?」
ゴリラの話はうわの空って感じで残念女神様といつものやり取りをしていた僕にブチ切れかけてたギルド長も、世界最強と云われるS級ハンターの返事に困惑を隠せずにいる。
アンタもこの女神様の残念さを知ればそんな恐縮する事も無くなるんだろうけどねぇ(笑)
「…………話を戻すぞ。【黎明】はハンターギルドでも名の通ったパーティーの一つだが、基本的にマイアール帝国帝都から離れる事は無い。確証のある話ではないが……【黎明】が極稀に帝国外に出た後、その国にマイアール帝国が圧力を掛ける事例が多々あるとハンターギルド内では情報共有されている。つまり、奴等はマイアール帝国の諜報員って顔を持っている可能性が高い」
「そんな機密情報を僕達に話して大丈夫なんですか?」
「本来なら機密漏洩クラスの話だが、【竜の咆哮】の一件に絡んだ事案の可能性が高い。って事は、お前等にとっても無関係とはいかねえだろう?」
「それなら、僕達は絡まれる被害者じゃないですか」
「だから警告と…………余計な騒動を起こすなって話をしてんだ」
「自己防衛以外なら気を付けますよ」
「まぁ、本当に諜報員ならそこまで無茶な真似はしないと思うが、自己防衛は当然の権利だ。お前等を犠牲にしてまで平穏を望むなんて事はしねえからソコは安心しろ」
「表立っては表明出来ませんが、S級ハンターであるクラウディア様に対し不敬な態度で臨む、最悪敵対するといった場合はハンターギルドとしても【幻想審判】を支持しますのでご安心を」
僕達の意思に関わらず相手から絡まれた場合はそれなのに対処するって遠回しに伝えた結果、ギルド長のリチャードさんと副ギルド長のアイシャさんから御墨付きを貰えた。
なら、僕としては上手く【黎明】に絡まれるって型をとるって方針を一択だな。
翼竜を討伐したって程度のハンターなんてどうとでも料理出来るし、瞬殺確定の簡単な事案でしかない。
難しいのは、この件で僕達の存在が大きな噂にならないように処理する事なんだけど…………良いアイデアがパッと浮かんで来ないんだよな。
『行き当たりばったりで生きてるドクズが策士ぶっても、お笑いにしかなりませんわよ(笑)』
…………誰が『行き当たりばったり』で生きてるって?
アンタとカタツムリトカゲが無能なお陰で魔帝国は滅亡した上に、僕はこんな複雑な状況に放り込まれてるんだけど?(# ゜Д゜)
『二手先、三手先しか読めない人間が『策士』ぶるなと言ってるだけですわよ。策を練ると云うのはそんな単純な物ではありませんのよ』
偉そうな事を言ってんじゃねえよ!
アンタも策に嵌められたからの現状だろうが!!
『嵌められた? この私が?』
違うって言いたいのかよ?
『正直、この程度は誤差の範囲内って話でしかありませんわ。この私を策に嵌めたと言うなら、本当に取り返しのつかない状況にしてから言って貰いたいものですわね。策と云うのは、策と対象が気付いた時には対処不能な状況を創り上げる事を言うのです』
はいはい┐(´д`)┌
『お馬鹿には理解が難しい話でしたかしら?』
後手に回っている現状で、それだけ自信満々でいられる神経は尊敬出来るけど、説得力がねぇ…………
『(´Д`)ハァ…。自分がアイデアを出せないからといって、私を挑発する事で策を練って貰えるとでも思ってますの?』
…………チッ、バレてたか。
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