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第2章 エルディーニ聖国篇 21


「まだまだ鍛え足りないですが、今後を考えると貴方達は一度リーファンスへ戻った方がよろしそうですわね」


 つい先程まで僕を誂っていた残念物体(クラウディア様)が、顎に手をやりながら呟くように提案してきた。

 あまりに唐突な提案に驚くよりも、『【神】としての能力で何か善からぬ事態を察知したのか?』って不安がよぎる。


「当たらずとも遠からずですわね。正確には、このまま放置すれば『貴方の目的達成がより困難な事態となる可能性が高くなる』といったところですが」


「どういう事だよ?」


「サービスはここまでですわよ? 例え、私が未来を視る事が出来るといえど、それは確定したものではなく、個々の行いで変化させる事が出来るものでしかありませんの。それは、貴方だけではなく世界全ての存在に等しく与えられた権利である以上、これ以上のサービスは不公平でしかありませんので」


 運命的なものの事を言ってんのか?

 

 『運命は変えられる』って軽く言う人間もいるが、そもそも運命がどんなものか知らない、知る由もない普通の人間が言う言葉と違い、【神】って存在が言う以上は本当なのだろう。

 しかし、変えないとヤバい運命って……

 この先の展開に不安しか感じないんだけど。


『本来の運命ならば、私が貴方と接触する事はありませんでした。その場合、貴方達はこの時期にリーファンスへの帰路に着く事になっていましたのよ。つまり、これ以上引き延ばす事は運命の大幅な改変となり、修復不可能な傷を貴方()の運命に残す事となりますわ』


 わざわざ念話で話し掛けて来たって事が、暗に事態の深刻さを僕に伝えて来る。

 つまりは、これ以上の鍛錬を僕が求めた場合、ルナ達の運命にも深刻な影響を与えるって意味か。

 ルナ達なら自身の運命を大幅に変えるって事よりも、僕の復讐の完遂をを、僕の望みを優先しかねないから僕に決断しろと……


 しかし、このタイミングでの提案か…………


 放射性物質生成への制約の発覚、ここで僕達を放り出す提案からは『僕が【神格】を保持する』って事を拒絶したって意味も感じる事が出来る。

 そりゃあ、放射性物質を生成して特定の人間を被爆させ、長く恐怖を味わあわせながら殺すって言ってる人間に【神格】を与えるなんて普通に考えて有り得ないけど…………

 それなら、人に期待を持たせるような事言ってんじゃねえよ。


「そっかあ、この変な世界にも愛着を感じてたんだけど、カイトの目的が遠退いたら本末転倒だもんね」


「私達もかなり強くなったけど、クラウディア様には全然敵わないままだったね」


 素直な性格のルナ達は、エルフが本能で感じる変態生物(クラウディア様)の放つ神気に敬意と愛着を感じていたらしく、名残惜しそうながらも疑いの無い反応をみせている。

 二人の素直な反応は微笑ましくもあるが、この残念変態生物(クラウディア様)をここまで信じるって事に対して教育が必要だと再認識させてくれた。


「何か勘違いしているみたいですが、これで鍛錬から開放するなんて言ってませんわよ?」


「「「へっ?」」」


「何のために『パーティーを組む』と言ったと思ってますの? 当然、私もリーファンスへ同行しますわ」


「「「工エエェェ(´д`)ェェエエ工!?」」」




『貴方達、この私のパーティーメンバーにして差し上げますわ』


 確かに、初対面時の第一声はこの一言だった。

 子供にしか見えない見た目から、丁寧にお断りしようとしていたがパーティー勧誘されていたのは間違い無い。


『貴方が懸念しているように、貴方は危険人物であり、要注意人物であり、不審者であり、変質者であり、フェチ持ちの変態であり、変態趣味の容疑者であり、お尻大好き人間であり、不敬者であり、不信心者であり、同時に愛しい眷属であるのですから放置は出来ませんわ』


 ……まだ、そのネタを引っ張るのか!?


『貴方が、私に対し【創造主】として尊敬の念を抱くまでは引っ張り続けますわよ(笑)』








――――――――グラノス視点


『一体何時まで、貴方様が矮小な人間と直接お関わりになられるのでしょうか?』


『暫くは、貴方に任せていた【世界の管理】は私が直接行う事としますわ。貴方はそこでノンビリと寝ていなさい(笑)』


『なっ!? わっ、我は用済みと!?』


 エルディーニ聖国を離れるとクラウディア様から伝えられた我は、敬愛する我が【創造主】に対し無礼な反応を返す小僧に対する嫉妬から諫言を行ったが、返って来た御言葉は我の期待を打ち砕く物であった。

 我が失態を犯した事に間違いは無いが、任を解かれるのみならず、尊き御方が直接事態の収集に当たられる事は、我に対する失望と見限りを意味する。

 この世界の因果律が歪められている事に気付かず、世界の摂理が捻じ曲げられるまで放置するという失態を晒した我は、既に【創造主】から見限られていた?

 この御方は、非常に効率的でドライな一面をお持ちになっている。

 【創造主】たる御方でさえ先の読めない状態になるまでの失態を犯した我は不要と断じられた!?


『ドMな性癖は本当に面倒ですわね。今回の件を仕掛けた者は私と同等か…………それ以上の権能を持つ可能性がありますの。貴方に与えた権能程度では対抗出来ない可能性がある以上、私が直接管理する他の選択肢はありませんわ』


『でっ、では、我は見捨てられた訳ではないと!?』


『貴方に与えた権能ならば、そこで寝ていても大きな動きくらい察知出来るでしょう?』


『はっ、はい。 いえ、貴方様が働かれている時に我が寝るなどは有り得ませんが、今度こそ御期待に応えられるよう』


『そこまで張り切る必要はありませんわよ? 私は『働いている』のではなく『楽しんでいる』のですから(笑)』


 わっ、我を細切れにされる時よりも楽しんでおられる!?


 あ、あの小僧、いつか我が消し炭にしてくれるぞぉぉぉぉ!!


『ドMが変な嫉妬をしてるのは見苦しいですわよ。それよりも、『大きな動き』の意味は解っているのでしょうね?』


『はっ、異世界からの干渉を中心に探る事と…………』


『そう、この世界は平行世界から干渉を受けないように創造していますが、異世界から私と同等以上の権能で干渉される可能性は残されています。貴方なら干渉を受ける事は無いでしょうから頼みますわよ』


 自身が創造した世界を【神の箱庭】と称し、自らの目的を果す為の実験場として扱う【神】も存在するという。

 しかし、この世界の【創造主】であるクラウディア様は、自らが創造した全ての者(知性を持つ存在)に対し慈愛を注がれている。

 知性を持つ者が【神】へと至る時を待つ…………

 本来の目的を捨て、あの忌々しき小僧に【神格】を与える為に自ら行動される事を選ばれる程に、この世界は歪められている。

 大方、世界を【神に箱庭】として扱う何連かの【神】の仕業であろうが、例え【神】といえど、我が敬愛するクラウディア様を煩わせる存在ならば赦せる訳が無い。

 いざ、戦いとなれば我はクラウディア様の盾として…………


『ドMな性癖を持つ眷属など恥にしかなりませんから、その時はお留守番確定ですわね(笑)』


『なっ、なあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!?』


『貴方の性癖を満たす為に私に恥をかけと? …………私に喧嘩を売るような真似をした不心得者には、貴方のような変態で相手をするのも有りと言えば有りですわね』


『わっ、我は、決っしてドMではありません!!』


『必死で否定してますが、私の盾となる時に恐怖で逃げ出したりしないように貴方を創造した私が、貴方の事を一番知ってますのよ(笑)』


『忠義とドMは違います!!』


『なら、貴方は何故カイトさんに嫉妬しているので?(笑)』


『そ、それは…………………………、ああ、貴方様の御手を煩わせている者に対する憤りというヤツです!!』


『取ってつけたような理由乙ですわ(笑)』


『わっ、我に対する扱いが酷い(泣)』


『私と同等、もしくはそれ以上の存在。久しぶりの強敵にワクワクしてきますわね。しかし、この私に直接対峙してもらえるなんて思わない事ですわ。私の眷属(へんたい)達だけで圧倒して差し上げますわよ』


『矮小な俗物と同等扱い、それも変態として? orz』








第2章 エルディーニ聖国篇 完

いつもお読み頂きありがとうございますm(_ _)m

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