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第2章 エルディーニ聖国篇 14


「貴方達のステータスなら、このダンジョンを踏破する事も簡単でしょう。ここから数日はダンジョン攻略の実績をつくる事に専念していただきますわ」


 地獄の二日間(体感時間では二十年)を終えて街に戻った僕達にクラウディア様が告げる。


 って事は、数日間は地獄から開放されるって事で良いんだよな!

 

 『因果律を覆す為に、最低限【神格】を手にして頂きますわ』と、僕に宣言した女神様からの開放は未だ遠いが、今のステータスのトンデモ具合が妄言ではないって事を証明している。

 ってか、この人間離れしたステータスでも引っ繰り返される可能性が高いって…………どんな無理ゲーだよ!!

 だいたい、二十年を超える時間を過ごしたってのに、僕達の身体は老化しないって何!?

 今の僕の身体は間違い無く人間だよ?

 【神の権能】って言ってしまえば其れまでだけど、こんな超常現象を簡単に起こしてんじゃねえよ!!


 …………まぁ、話を戻して。

 世間一般との能力的な隔絶による不具合を起こさせない為に、『自分達の力を認識しておきなさい』って考えには同意する。

 一時的とはいえ、あのトンデモ女神様の超絶スパルタ教育から開放されるってのもありがたい……っていうか、素直に嬉しいし(笑)

 

 そりゃあ、ただの人間が【神格】を獲る、つまり【神】の末席に名を連ねるって離れなんだから、普通に鍛錬してたら寿命までに間に合わないのは当然なんだけど、あの地獄はどうかと思う。

 僕が何回死にかけたっていうか、死なせて貰えないだけで…………数え切れない程斬り殺されたか分からない毎日だったんだ。

 死なないってのと、斬られた痛みに耐えられるってのは別問題だし、何よりも『痛い目に遭いたくないなら早く強くなりなさいな』って笑顔で告げられる絶望感は半端なかったよ。


 以前でも翼竜(ワイバーン)程度なら瞬殺出来ていた僕のステータスが数十倍になってるんだから、普通に考えて弱い筈ないんだけど(泣)

 そりゃ、世間と隔絶しないように自身を認識しておけって言われるのも当然だろうなぁ。

 普段の比較対象が異常過ぎるだけで、世間一般と比べると僕達がそんな存在になってしまってるんだろう。







「カイト、ご飯食べに行こう!」


「私、お肉が食べたい!」


 クラウディア様と別れ、今晩の宿を探そうと考えてた僕にルナ達が喜々とした表情で提案してくる。

 あの『精神と時の部屋モドキ』での食事はパンとスープのみだったから、肉食エルフのルナ達は肉に飢えていたんだろう。

 僕は前世で、研究中はインスタントラーメンばかりの生活って事もザラだったからそれほどでもなかったけど、ルナ達にはキツい食生活だった事は想像に難く無い。

 それでも、【女神様】が同じ食生活をしている以上、それに文句を言うって選択肢は彼女達には無かったみたいで、不満をも口にした事は一度も無かったんだよね。

 うん、エラいぞ二人共!!


 エルディーニ聖国では、過去の転生者の知識を用いた調味料や料理法がかなり充実している為、日本人にはお馴染みのメニューをも扱う飲食店が少なからず存在するらしい。

 

 久しぶりにカレーが食べたいなぁ。


 いくら僕が最低限のレシピを覚えているって言っても、数十種類の香辛料を集める手間と、配合率の実験を考えると手が出ないメニューの一つなんだよね。

 知識としては知っているけど、日本に居た時は市販のカレールーを使ったり、某有名メーカーのカレー粉を使った程度だったから、本当に一からカレーを再現するってのは難易度が高すぎる。

 カツカレーやハンバーグカレーがあれば、肉食エルフのルナ達でも満足してくれるだろうし、カレー屋を探そう!!

 いや、チキンカツすら無かったこの世界にトンカツは無いか(笑)

 でも、異世界物で定番のマヨネーズがあるくらいだから、更に定番中の定番であるカレーはあるだろ!

 無かったら泣くぞ!?




 【午後一番】…………

 看板名から見ても、このカレー屋は絶対に転生者が絡んでいるんだよねぇ?

 店のカラーリングもそのままだし。


『その店は、私が過去の転生者の知識を元に再現させた店ですから、転生者と関係はありませんわよ』


 …………頭の中に直接話し掛けて来る女神様。

 パクリかよ、このポンコツ女神様は!!

 現代日本だったら炎上どころじゃ済まないぞ!!


『この世界では、私の店がパイオニアですのよ(笑)』


 確かにそうなんだろうけど、肖像権って言葉を知ってるか!?


『残念ながら、貴方がお望みのカツカレーは存在しませんわよ?』


 そういう意味じゃねえよ!!


 だいたい、こんな食文化に影響を与えるような事してんのなら、あのパンとスープだけの生活を改善しろよぉぉぉぉ!!


「凄くスパイシーな匂いの店ね」


「でも、この匂いってお腹が空くね」


 相変わらず、ルナ達はポンコツ女神様の所業に関しては無関心だし、カレーの匂いに興味を持って行かれてるみたいだ。

 でも、仕方が無いよね(笑)

 寿司等と違って料理として確立されてから歴史的には浅い料理なのに、カレーとラーメンは国民食的に認知される程なんだから。

 実際、一口にカレーと言っても料理法や食材によっては全く違う印象を与える奥深い料理である一方、その幅の広さは他の追随を許さない程に広いっていうか、それだけ幅が拡がる程に愛される味わいなんだから。

 僕的には、やっぱり基本のビーフカレーかポークカレーが一番の好みだけど、バターチキンカレー等も嫌いではない。

 ただ、好みがカレーライスっていうか、米が好きなだけなんだけどね。


 って事で、ナンよりも米のメニューがあれば良いなぁ。





 …………………………で?

 

 カレーライスを再現している事までは評価するけど、メニューが普通にカレーライスか、トッピングとしてステーキが乗せられている物しか無いってのはどうかと思うんだけど?


 過去の転生者の知識を読んでるんだから、もっと色々なメニューも知ってんだろ、女神様よお!!


『私はヒントを提示してあげただけですわよ? そこから発展させるのはこの世界の住人達がすべき事であって、過干渉になる事はしませんわ』


 調味料として『マヨネーズ』、メニューとして『カレー』までは提示するけど、それを発展させていないのはこの世界の住人の責任って事ですか。

 神様の姿勢としては間違いではないと思うんだけど、この世界の人間って応用力が皆無なのか?


『そもそも、貴方が居た世界の日本って国が変態の集まりだっただけで、普通はこの程度のものですわよ』


 …………変態ってorz


 確かに、海外でも『HENTAI』ってスレッドを立てられるくらい日本人は特殊扱いされてたけど、それは別の意味じゃないかな?

 せめて『魔改造』とか…………ねぇ?


 調味料としてマヨネーズを再現されたら、それで満足して終わりって世界で良いのか!?

 そこから、タルタルソースをも始めとした各種ソース類に発展させるとか、新しい料理法を試行錯誤するとかあって当然だろうが!?


 …………全てが魔法で解決される世界の弊害が応用力の低下って、ラノベそのままじゃねえかよ!!


『その通りですわね。だからこそ、テコ入れの一環として【転生者】という存在を日本人から選んで来た訳ですが、なかなか思い通りにはいきませんの』


 …………まぁ、その閉鎖的思考のおかげでマイアール帝国の軍事力が初代皇帝の頃から発展していないのは行幸だけど、平和的な発展も無いってのは何だかねぇ。


『貴方が発展させる事は止めませんわよ?』


 ふざけんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!


 僕が第一の目的にしてんのはマイアール帝国を崩壊させる事であって、この世界をアンタ好みに発展させる事じゃねえんだよ!!

 何が悲しくて、この世界のカレーのメニューを増やす事をヴォルク達への復讐よりも優先させなきゃいけないんだ!


「カイト? 美味しいからって凄くいろんな反応してるね」


「でも、このカレーって本当に美味しいよね!!」


 カレーを食べながら脳内でクラウディア様と会話しているなんて思っていないルナ達は、僕がカレーを食べた感想で百面相をしていると勘違いしているみたいだ。


「うん? いや、確かに美味しいよね」


 未知のメニューであるカレーに満足気な表情を見せるルナ達に無難な返事を返した僕は決心する。


 

 ポンコツ女神様は放って置いて、今は懐かしいカレーの味を満喫しよう。









 ………………ポンコツ?


 うふふふふ、次の鍛錬が楽しみですわね。



 



 


 ゾクッと、背中に寒気がしたけど気の所為だろう(笑)

 今はカレーだ、カレー!!

いつもお読み頂きありがとうございますm(_ _)m

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