第1章 【鑑定】
「どれも焼け焦げてしまってるから、魔石以外は処分かな」
「エヘヘ」
「しっ、仕方無いじゃない! 練習って大事なんだから!」
ルナとラナの魔法の練習って事で、魔獣を狩ったのは良いんだけど、自身の魔法が目に見えて上達していく事に気を良くした二人は、加減なんて全く無しで魔獣に【炎弾】を喰らわせ捲くっていた。
当然の結果として、素材としては全く価値の無い生ゴミが量産されたのが現状である(笑)
笑って誤魔化そうとするラナと、逆ギレ気味にツンを発揮するルナ…………
別に怒ってないよ(笑)
「だいたい、カイトの『電子れんじ』って魔法よりも穏便なんだから!」
「【電子嵐結界】ね」
「その『えれくとろ何とか』って魔法みたいに、魔獣が爆発してないだけマシよ!」
バツが悪いのか、僕の魔法を持ち出して、自身のやらかしを正当化しようとするルナ(笑)
だから、怒ってないって(笑)
「うん、ルナの言う通り、【電子嵐結界】と比べたらかなり穏便だよね。でも、素材の収入って大きいから、今度からは少し加減してくれると嬉しいな」
ルナの発言を否定せず、次からは加減してくれると嬉しいって柔らかい表現で答える。
前世の僕はソコソコ優秀な研究者だったと自惚れてるんだけど、両親が僕よりも優秀な研究成果を学会に発表していた為、常に比べられて不愉快な思いをして来た。
『浅井先生が御存命なら……。浅井君、君も頑張ってはいるんだろうけど、御両親ほどの結果を出すには物足りないね』
なんて、僕を小馬鹿にするような発言をしていた上司達の事を思い返すと、ルナとラナは『褒めて伸ばしてあげたい』と思う。
そういう意味で、ロード君に言った『僕も同じ』ってのは、嘘偽り無い本音でもあったんだよねえ。
ヴォルクのクソヤローと違って、嘘で騙した結果とは違うんだよ。
ロード君には気の毒だけど、クソヤローの因果が回って来たって事と、彼自身の欲望が身の破滅を招いたと諦めて貰おう(笑)
たとえ、最期まで救われなかった人生だったとしてもね(笑)
「うぅ~、カイトが子供扱いする」
あれ?
ルナが膨れっ面してる?
「お姉ちゃん、あんまり怒ってばっかだとカイトから『面倒くさい女』って思われちゃうよ」
「えっ、カッ、カイト、そんな事ないよね?」
おっと、ラナのナイスアシストで、膨れっ面だったルナが落ち着いてくれた……のか?
「僕がルナとラナの事を面倒くさいなんて思うわけないだろ」
この素直な娘達には、そのまま真っ直ぐに育って欲しい。
あれ?
僕って結構オヤジ臭い?
前世と合わせるとかなりヤバい年齢だけど、肉体の年齢に精神が引っ張られている自覚もあるんだけどな……
コレも、この世界に僕を転生させて、こんなシャレにならない人生を歩ませてるヤツのせいだ!
八つ当たりかも?って思わなくも無いが、実際に僕の人生を滅茶苦茶にされているんだから知ったことではない。
神って存在が本当にいるのなら、ソイツはぶん殴るだけじゃ済まさ無い!
「カイト、妄想タイムは終わった?」
「そろそろ戻って来てくれると嬉しいな?」
自問自答してる僕の顔を覗き込みながら、ルナとラナが呆れた目で僕を見ている。
「うん、二人が感覚派の天才だって事は理解した。座学の理解があのレベルでも、僕の魔法と自分の魔法の違いを感覚的に理解しているって凄い事だよ」
「あっ、ありがと。でも、話を誤魔化そうとしてるよね?」
「せっかく褒めてくれても、このタイミングじゃ台無しだよ」
褒められた事に、一瞬、嬉しそうな表情を見せた二人だったけど、直ぐにジト目で突っ込みを入れてきた。
「うるさい……、とにかく、二人に魔法の才能がある事と、僕とは違った方向性って事は理解した。改編した魔法についてはそれでも大丈夫だけど、僕のオリジナル魔法については、座学で化学や物理を理解しないと無理だから、今後の重心は座学になるかな」
マイアール帝国って大国をぶっ潰そうとしている以上、二人には現在の僕と同レベルの魔法を扱えるようになって欲しい。
あのマギクスみたいな思いを二度としない、させない為にも、これは絶対条件だ。
「「えぇ〜っ!?」」
可愛く言ってもダメ!
あのクズ共を相手にする以上、あの頃の僕以上の戦闘能力が無ければ、連れて行く事は出来ないんだから。
「ちなみに、カイトが本気で魔法を使ったらどんな感じ?」
「あの【超電磁砲•改】って魔法よりも凄い魔法ってあるの?」
【超電磁砲•改】は、僕の中二的な部分があった事を否定出来ない魔法だけど、あの洞窟で過ごした十七年間で理論を組み立てた魔法は、最終兵器的な物から異世界チートの定番まで含めて、未だ理論止まりで実験には至っていない。
【核分裂反応】なんて、実験出来るもんじゃ無いしなぁ。
でも、あの時みたいな状況になる事があれば……
ヴォルクには実験のモルモットになって貰おう(笑)
「カイトの表情が怖いんだけど……」
「笑ってるけど、眼が笑って無いよね……」
二人が少し引いているみたいだけど、彼女達を鍛えるだけじゃなく、僕の魔法も実験して行かないといけないな。
とりあえず、魔法の素養と魂の関係性から始めて、【鑑定】からかな?
自分達と相手の戦力を具体的に把握する事が最優先だ(笑)
「【鑑定】」
●グレイハウンド
●ウルフ種 Lv 13
●HP 130
MP 46
戦闘力 32
体力 43
素早さ 51
防御 23
●噛み付き・突進・魔法Lv2(風)
うん、大昔のRPGみたいだけど、簡略でわかり易いからこんな感じで良いかな(笑)
とりあえず、生き物限定だけど【鑑定】可能になったね。
後は、これを人間に使った時に、『悪影響が無いか?』って実験だけど、これは盗賊でも探すしか無いかな?
魂に干渉する魔法だから、相手を選んで安全性を確かめてからじゃないと、ルナ達に教える事が出来ないからなぁ。
「カイト、何してんの?」
「あのグレイハウンドに、何か魔法を使ってたみたいだけど?」
僕の前にタブレット程度の大きさで表示されている情報だけど、二人には見えていないから、僕が何をしているのか分からないのは当然だろう。
「あのグレイハウンドの戦闘能力を数値化する魔法を試してたんだよ。まだ、自分達に使う事が出来ないから、それがどの程度なのかハッキリとは分かってないんだけどね(笑)」
そう、数値化された能力に対する基準がハッキリしていないんだよなぁ……
自身の能力を数値化出来れば、基準値がハッキリして比較対象に出来るんだけど、後遺症の有無を確かめてからじゃないと、怖くて自分達に使う事が出来ないから仕方無いっちゃ仕方無いんだけどね。
「「??」」
『意味分かんない』って反応のルナ達だけど、この魔法を実際に使えるようにならないと、理解出来る筈もないか。
前世のゲームみたいな表現方法なんだから、経験の無い二人が理解出来た方がビックリだし。
「とりあえず、この魔法が完成したら二人にも教えるよ」
「うん? またカイトが変な魔法を造ってるのは分かった」
「お父さんが言ってた通りだね……」
何か納得いかない返事だけど、これは絶対的に必要な魔法だ!
異世界チートをするなら、絶対に必要なんだよ!!
●カイト
●人間? Lv 16
●HP 96
MP 36(+932)
戦闘力 82
体力 56
素早さ 58
防御 63
●剣術Lv5・槍術Lv4・創造魔法Lv8(全)
まぁ、色々と実験した結果(非人道的な実験については想像にお任せしますが)、【鑑定】による後遺症は心配無いという結論に至り、自分を鑑定した結果がコレだ。
人間?って表記については……まぁ、置いておこう。
戦闘力他の数値は、この身体の持ち主であったロード君の身体能力に起因した物だろう。
剣術等は、アルベルト時代にマギクスにしごかれた結果、身に付いた物だと思う。
MPの(+932)については、ロード君の能力にアルベルトの魂が持ってた魔法適正がプラスされた物と考えているが、『創造魔法』ってのはなんだよ?
アルベルト時代から、この世界に無かった魔法を造れてたのは、この『創造魔法』ってヤツの影響か?
●ルーファリナ=カーディナス (ルナ)
●エルフ Lv 13
●HP 71
MP 241
戦闘力 69
体力 42
素早さ 61
防御 48
●弓術Lv6・魔法Lv6
●ラミリナ=カーディナス (ラナ)
●エルフ Lv 10
●HP 51
MP 196
戦闘力 60
体力 39
素早さ 63
防御 41
●弓術Lv5・魔法Lv4
ルナとラナを鑑定した結果、二人は『魔法』って表示されているし、この違いは何なんだ?
僕が魔法を改編したり、前世の知識で新たな魔法を構築出来てたのは知識チートじゃなかった?
まだ情報が少な過ぎて確定的な事は何も分かっていないんだけど、僕自身がチートな能力を持たされて転生していた可能性があるのか?
テンプレ通りなら、転生前に神様とかに会って、交渉の末に貰えるような物じゃないのか?
……それよりも、僕と同じようにチートなスキルを持っていたのがマイアール帝国の初代皇帝って事なら、そのスキルは生産特化だったって事なのだろうか?
そして、ソイツや僕を転生させて、こんなスキルを持たせた存在の目的は?
僕自身に、転生させた目的を告げる事無く、変なスキルを持たせたあげく、こんな数奇な人生を歩ませている存在の目的なんて知った事か!
マイアール帝国を潰して終わりって訳にはいかなくなってしまったな……
それも、僕を転生させた存在の思惑の内なのかもしれないが、やられっ放しで終わってたまるか!
必要なら、この世界そのものにザマァしてやる!!
まぁ、どうすれば良いのか全く分からないけど(笑)
お読み頂きありがとうございますm(_ _)m




