「思い入れ」の作り方
わーいわーい、楽しいイベントだー!
楽しみ過ぎておかしくなってるけど気にしないぞ!
…そして、イベント終わる頃にはさらにおかしくなっているのを、この時はまだ知らない。
2021年12月16日、唐突に目の前に現れた推しチームだったが、4月中旬迄は、私の人生においてはまだ予定調和の一部だったと思う。
絵については元々、40代までに市内で個展をやりたいと思っていた。スペースを安く借りられる所で、何か話題性のあるものを、と。公共の施設で、市内の自然物(植物や風景)を描いたものなら、無名のアマチュア画家でもそれなりに見てもらえるだろうか?と考えて準備していた。静物画であればそれなりのものは描けるので、絶望的に下手な風景画をテコ入れする為に、生涯学習センターでの水彩風景画教室に申し込んでもいた。
今回、会場としてカフェを選んだのは、単純に私がそこのコーヒーを気に入ったからだ。ハンサムな珈琲焙煎士さんが手ずから淹れて下さるコーヒーは、味わい深くて心まで染み渡る。あと、私はイケメンが好きだ。顔のいい男を見るとそれだけで1日が良い日になった気がしてしまう。
シェアオフィスとしてのスペースで行われたワークショップに参加した際、棚を展示スペースとしても借りられる事を知り、飛び付いた。それが11月23日の事だ。立地も良いし、料金もお小遣いで払える金額だった。詳細はまだ何も決めていなかったが、夢が膨らんだ。
わずかその3週間後、描きたい題材が向こうから飛び込んできた。一生をかけて描きたい画題。わが街のサッカークラブ!
勢い余ってスタッフ応募したが、頭の中は「描きたい」でいっぱいだった。早く選手が集まりますように。出来れば高解像度の写真が上がりますように。欲を言えば直接お会いした時の雰囲気も含めて絵にしたいです!ああ、やっぱりスタッフやるしかなくない!?
今ほどではないが、おかしなテンションだった。しかし、そう、今ほどではない。
SNSでクラブをフォローし、じりじりと情報更新を待つ日々。そうこうしている間に、4月30日に「何か」があるらしい、という公式からの投稿が。何かって何だよ!焦らすなよ!とりあえずこのアプリとかいうのをダウンロードすれば良いのだな!?特典って何?一人一つ入れないと駄目なの?…分からん!!教えてえらいひと!あ、いや、公式さんはお忙しいでしょうからまずその30日の準備はよ!
4月30日の「何か」は、キックオフイベントだった。
当然参加だ。ちょうど、おおたかの森駅前で娘が眼科を受診する日だった。クリニックは駅の反対側だったが歩ける距離。夫には時間になったら合流してもらう事にした。
嬉しさに謎ダンスばかりしてしまう。私はテンションが上がると即興で変な踊りをする習性があり、家庭内ではツッコミするだけ無駄だと、諦められている。
でもね、長いこと北海道のクラブ応援してるからね。年に一度、ホーム最終節に行ければ良い方で、TVや配信ではイベント見られなくて悲しい思いを何度も何度も何度もしてるからね。イベントに飢えてるのよ。
色紙までは用意しなかったが、バッグの中にはスケッチブックを入れた。夫は、最も加入が早かったO選手を応援するらしい。私は、選手は勿論だが、監督を推そうと決めていた。スケッチブックの台紙にサインして欲しいな、出来れば写真を撮らせて頂きたい。そして、可能であればその場で似顔絵を描いてお渡ししたい…!!
私はイケメンが好きだ。それ以上に、夫っぽいものが好きだ。マンガやアニメ、ゲームのキャラクターも、小説の登場人物も、好きになるのはどこかしらに夫要素があるやつだ。監督は流山市出身、しかも夫と同じ中学校!つまり、幼少期を当時夫が住んでた辺りで過ごしたということ!これは推すしかない!!
3月の代表を交えての打ち合わせの際も、選手そっちのけで監督のイラストを持参した。その時は、「描きやすい顔だったので~」と誤魔化していたが、多分描きにくくても描いてました!推し愛ゆえに!
えっ…?選手で誰を応援するか?まだ全然知らないので分からないですよ!しいて言えば、コンサドーレで好きだった選手が背番号8番とか4番だったからその番号の選手…?あと、中学生くらいまで何故か5という数字が異常に好きだったから、5番…?結婚記念日が21日だから21番…もしくは、好きなアニメのキャラクターと同じ名字の選手がいるからその人かなぁ…なんか髪形が好みじゃなかったけど…(←失礼)
私はサッカーに関してはド素人なので、ポジションとかプレースタイルで選手を見ることができない。私の萌えポイントは情報と視覚だ。顔が一般的なイケメンかどうかより、好みであるかどうか。筋肉が美しいと思うかどうか。発する言葉が、身のこなしがときめきを呼び覚ますかどうか。
ミーハーでめんどくさいファンでごめんなさい。でもこれが私です。
でも、年齢的にみんな自分の子供でもおかしくないし、自分の子供はみんな可愛いから、みんな好きって事で良いんじゃないかな?
懸念していた娘の眼科受診は思いの外スムーズに終わり、駅前広場に出ていたキッチンカーで昼食をとりながら開場を待つ。
日差しが強いので帽子をかぶって来たが、思い切りコンサドーレ仕様だ。服は岐阜。サッカー愛だけは感じてもらえたと思う。
夫と合流し、一般最前列に陣取る。前の席はスポンサー様、皆様スーツが暑そうだった。
娘は「サッカーのイベントなのにサッカーしてない」と不機嫌だったが、選手がボールタッチを始めた途端に眼を輝かせた。
「ボール、頭に乗せてる人がいる!!蹴ってて全然落とさないの凄い!!」
良かった…娘が喜んでくれて良かった…これからも子供をダシに使わないと、親が大っぴらにイベント参加出来ないからね!(酷い)
交流タイムでは、夫の推しであるO選手と写真を撮ったり、監督にサインを貰ったりした。ちゃっかり絵も渡した。横断幕にメッセージが書けるコーナーでは、家族で激励の言葉を書いた。そう、あれに監督の似顔絵描いたの私です。
イベント前半終了時点で、娘は眼科での検査の影響で疲れてしまい、夫と離脱。おおたかの森駅から徒歩圏内の、夫の実家で休む事になった。
私はまだミッションが残っている。
描きにくそうな髪形の選手を見つけて、写真を撮っておくこと。準備を考えると、9月までもうあまり時間がない。水分補給したり、おやつを買ったり、私服の選手の休憩中の姿が素敵だったので撮影させてもらったりして第二部の開場を待つ。
第二部は、レアな限定商品をかけたじゃんけん大会と、選手と子供とのPK対決だった。ちびっこ可愛い!子供たちが楽しめるように、真剣に盛り上げようとしてる選手たちも素敵!
娘がこの場にいないのが、本当に残念だった。しかし、とある理由でむしろ一人参加で良かったのかも知れないと、今では思う。
第二部終了後の交流タイムでは、何人かの選手と話すこともできたし、Instagramのアカウントを教えてもらってフォローしたり、代表と監督を除く全選手との集合写真まで撮ってもらうことができた。うーん、写真を撮りたいっていうのは資料の為で、そういう事じゃないんだが……嬉しくて、帰宅するまで忘れていた。
アップで撮れたJ選手とT選手は、早速描いてInstagramに上げた。丁寧なお礼のDMが来て、もっと頑張って画力を上げようと思った。
イベント最高…また何かあったら絶対参加します!
ただ、この日私には、とある重大な事件が起こっていたのだった。
次回、推しが最推しにバージョンアップする過程を書きます。
手が震える…推しのこと考える時はいつもこうだよ…!!