二人が恋をした理由 考察and妄想
本作は、とにかく削りに削りまくっています。
こんなに色んなシーンを削りまくってるのに一つの話として成立させているのだから、監督さんは凄いと思う。
ともかく、その削られたシーンの内の一つ。
三葉と瀧くんがいつ、互いに恋をしたのか。具体的にそれを表すシーンはありません。
とはいえ、何となく推測は出来ますよ?
入れ替わりなんていう特異な出来事を、唯一共有し合う仲間であり。互いが互いの体に入れ替わって、存在さえ知らなかった(もしくは忘れていた)異性になり変わっているのです。それも、互いに見た目は悪くありません。
そんな体験をしている以上、当然言うまでもなく相手に対する興味は湧くでしょう。
相手がどのような人物なのかは、彼、彼女を取り巻く交友関係を見れば分かります。てっしーもさやちんも、司も高木も、どちらも友人想いの親友です。
彼、彼女は互いの日常を繰り返し。互いの親友と触れ合い続けて。互いの親友に対する感情が変化すると同時に、当然お互いの入れ替わり相手に対する気持ちは変化していったのだと思います。
なんやかんや瀧くんは、女子更衣室で着替えてはいけないという三葉の言いつけだけは守っています。瀧くんの律儀な性格が垣間見えますよね。
狐憑きモードの三葉(と、てっしーが読んでいる)が、何故か女子更衣室で着替えていないのはさやちん経由で確実に三葉本人に伝わるでしょうし。あと、小説版の話になりますが、三葉は瀧くんの顔は悪くないって思っていたようで。どうやら三葉は【戦友のような親しさ】を瀧くんの顔を見て感じてたようです。
これは妄想のようなものですが。
もしかしたら三葉だけでなく、瀧くんも入れ替わった三葉の顔に対して【戦友のような親しさ】を感じていたのかもしれません。
さて。
具体的に、二人が恋に落ちた理由がなんなのか説明するのなら。
瀧くんは、自分が持つ宮水三葉という人間のイメージと周囲が思うイメージの違いに違和感を持ち。やがて本当の三葉の姿に心惹かれるようになり。
三葉は、これまで言い返すことが出来なかったクラスメイトの陰口に対し、机を倒して無言の抗議をした三葉には無い瀧くんの男らしさに心惹かれたのではないでしょうか。
更に付け加えるなら、町長の娘であるために目立たないように(そして目立つことなく)生きていた三葉でしたが、入れ替わりによって突如悪目立ちをするようになります。もちろん、それに対して怒りや困惑を抱きはしたでしょう。実際、それを表すシーンがありますし。ですがそれ以上に三葉にとって瀧くんは、代わり映えしない閉鎖的な日常を打破した、ある意味救世主のような存在だったのかもしれません。
どうであれ、二人が元々育んでいた恋心を自覚したきっかけこそ奥寺先輩のデートだったんでしょう。
三葉はいてもたってもいられなくなり、東京にあてもなく出かけ。瀧くんは入れ替わりがなくなった後、三葉に会いに行く訳です。
シーンがばっさり削られているからこそ、こういうのを妄想する隙があるんでしょうね。これも『君の名は。』を楽しむ醍醐味の一つだと思ってます。
いやあ。妄想が捗りすぎて、控えめに言ってめっちゃ楽しい。