人の関係は、時間じゃない
「お兄ちゃん遅いな。夜ご飯覚めちゃう」
いつもなら帰ってきている兄に心配を寄せながら、窓の外を見る
「よし、夜ご飯持って行ってあげよ」
そのとき、私は兄が門番をしている村に危機が起こっていようなどとは、思いもしなかった
私は、あの村がいつまでも平穏であることを心の中で当然だと思っていたからだ
「お兄ちゃん、喜ぶかな」
重めのものは、迷惑か
サンドウィッチでいいかと思い、弁当の中に入れ、
村へ迎えに行った
村だった土地が黒い表土と化していた
そして、笑いながら去って行く盗賊を目にした
なぜか無事だった・・・お兄ちゃんの・・・・・死・・体が目をつむり、横になっていた
「お、・・・にい・・」
死体を抱きかかえ
叫ぶ
「許さない!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ルリが、おじさんの妹?」
「そうよ」
最初とは違い、柔らかくなった表情で
「じゃ、じゃあ・・・・」
「うん。私も、・・・置いてかれちゃった。」
僕は、その寂しそうな表情をしているルリに心を痛めた
「その、思いださせてごめん」
「さっき言ったでしょ。」
「え?」
ムッとした表情でデコピンしてくる
「思いで上書きするの。・・・薄情かもしれないけどさ。私は、騎士になって復しゅ・・じゃなくて色んな仲間を作って思い出も作るつもりよ」
「・・・そうか。でもさ、ルリの強さなら絶対頼もしい仲間ができるよ」
「そっそうかな?ありがとう」
もみあげをくるくるとさせながら、嬉しそうに俯く
僕は、その表情を眺めてから窓の外を見た
「僕は、冒険者になろうと思うんだ。それでさ、冒険仲間と一緒にあの村があった場所で暮らすんだ」
「素敵ね。・・・私も、混ぜてくれない?」
「もちろんだよ!」
僕が、そう答えるとルリはどこか遠くを見つめていた
そして、口を開く
「思い出を上書きしろって言った私が言うのもなんだけどさ。・・・復讐とか考えないの?」
とルリが泣いているような怒っているようなごちゃごちゃな自分をぶつける
「僕はさ、復讐とかより、自分の弱さが憎いんだよ。父さんを戻す力、村を救う力、自分のことすら落ち着かせることができない自分が」
目じりに、悔しい思いを具現化し
僕は顔を隠す
「そう。・・・大人ね。私も、あの日の自分が憎い」
「・・・・・・・・ルリ?」
綺麗な顔立ちが月明かりに照らさられる
「ん?」
「・・・いや、晴れたなって思って」
「そうね」
今更だが、前の話の自分の行動が恥ずかしくなってきたな
「明日まで、いてもいいか?」
「いつまでもいていいわよ」
「・・・そういう男を惑わすこと言わないほうがいいと思う」
「?」
無意識なのか、ルリは首をかしげるので
僕はかけてくれていた毛布にうずくまる
「・・・一人で抱え込むなよ」
「え?」
そういった僕は、まだ疲れていたのか一定のリズムで呼吸しながら落ちていた
「・・・ばれちゃった。この子、鈍感そうだと思ってたのに」
そうして、ルリまでもが落ちていた。眠りに
次の朝、自分の腹の虫が目覚ましとなり、目が覚める
窓の外には、元気よくてっぺんに太陽が昇り終わり若干降りてきている
「ちょっと待ってて。はい、またで悪いけどサンドウィッチ。ごめんね、私も今起きたばっかりで。」
「あ、ありがとう。」
リビングで右往左往するルリを手伝いながらサンドウィッチを食す
一通りルリのかたずけが終わると二人して寝っ転がってしまう
「家事って大変なんだね」
「手伝ってくれてありがとうね」
横で寝っ転がり笑うルリにドキッとしてしまい、そっぽを向こうとするが僕は我慢し、体を持ち上げ正座する
「・・・大変お世話になりました。もう出ていこうと思います」
「もう少しいればいいのに」
ルリは寝っ転がりながら笑顔で、誘惑をささやいてくる
「ルリといるの楽しいからさ、決心が鈍っちゃいそうになるから」
「・・・そっか。私も楽しかったよ。あと、お弁当作ったから持って行ってね。」
「あ、ありがとう」
お礼を言うとルリが意地悪い笑みをして言う
「昨日、一人で抱え込むなって言ってたけど、私は一人じゃないわよ。・・・あなたがいるじゃない」
「う、うん」
僕は、少し恥ずかしいのに
ルリは、思った通りの反応であったからか、ニマニマと笑っている
「ああ、それと、そのお弁当大切なものだから返しにまた会おうね」
ニマニマとした顔のまま、頬杖をつけ言う
人のよく集まる王都で再び会うのは困難なため僕は少し理不尽を・・・今までで一番うれしい理不尽を受けた
「行ってらっしゃい」
「行ってきます!」
僕は、夢の一部が叶ったような。そんな気よりも、僕の胸の高鳴りのせいでなにもわからない
ルリは、ちょっと意地悪系の男を甘やかすタイプの女の子ですね
ダメ男に引っかかる前に、誰か幸せにしてあげて