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いつもイライラ、苛井ライラさん

 職場の休憩室のドアをバンッとひらいて女性が叫ぶ。

小田谷おだやさん!」


「ライラさぁん、お疲れ様ですぅ。」


「あ゛〜もうッ!」

 苛井いらいライラさん、独身アラフォー38才はゴミ箱を蹴っ飛ばした。ゴミが散乱してる。


「あぁ、ゴミがぁ……。ライラさぁん、落ち着いてくださぁい。」


「ごめんなさいっ。片付けますっ。ああ全くもう!」

 ライラさんはイライラしながらゴミを拾った。


「今日もイライラしてますねぇ。

 どうしましたぁ?」


「どうしたもこうしたもないわよ! 

 聞いて!」


「はぁい。」


「いいわね! いつも穏やかで!」


小田谷おだやカナコですからぁ。名前のとぉり穏やかだとよく言われますぅ。

それでぇ、何ですかぁ?」






「さっき社長がさあ! ああもう!

思い出すだけで【ムラムラ】する!」



 シーン



「えぇっ、ムラムラですかぁ?」



「ハッ!」



「社長のことそんなふぅに見てたんですねぇ。私はおじさんとしか思ってませぇん。」


「ち、違うの! 言い間違えたの!」


「職場でムラムラを抑えられないって大変ですねぇ。」


「違うの! イライラ! イライラするの! ムラムラと言い間違えたの!」


「そぅでしたかぁ。社長がいなくてよかったですねぇ。」


「何かイライラを(しず)める方法ない? いかり狂いそう!」


「調べてみますぅ。」小田谷さんはスマホを操作する。


「どう? あった?」ライラさんはせっかちだ。


「怒りは持続しないそうでぇ、『6秒数える』と良いそうですぅ。数えてる間に落ち着くんでしょうかぁ。」


「それ効くの?」


「試してみてくださぁい。」


「いーち、にー、さーん、しー、ごー、ろー……」


「どぅですぅ?」






「くっ………(しず)まらーーーんッ!!」

 ライラさんは、おたけびをあげた。



「だめでしたかぁ。さっきより怒ってますねぇ。」


「6秒待ってる間に余計イライラするわっ! 私、この方法向いてないっ!」



「じゃぁ、次はぁ……。

『無理矢理、笑顔を作る』

顔が笑顔だとぅ、脳が楽しいと勘違いするそうですぅ。」


「そんなの効く?」


「試してみて……あっもぅやってますねぇ。」


 ライラさんはイーッと歯を見せた。頬の筋肉がピクピク震えてる。


「こう?」引きつった笑顔のライラさん。


「目と眉が怒ったままで怖いですぅ。目も笑いましょぅ。」


 目を細くしてみたライラさん。



「…………。」



「どぅですぅ?」






「……こんなんムナシイだけじゃーーー!」


 ドスッと壁を殴るライラさん。


「ひぃぃ!」


「私には効かない!」


「あのぅ、ライラさぁん。イライラの原因の社長に直接文句言ったらどぅですかぁ?」


「そうよね! 私言うわ!」


ライラさんが決意したその時、休憩室のドアが開いた。


「騒がしいな、どうした?」社長だ。






「あっ社長! 今まで言えませんでしたが、社長のせいで

 【ムラムラ】するんです!」



「え?」



「あ……!」



「社長、ライラさんのムラムラどぅにかしてあげてくださぁい。」



「よし、抱いてやるか。」



「社長、セクハラですよ!

 毎日【ムラムラ】してます!

って…………アアアア!」ライラさんは頭をかかえた。


「抱いてもらってぇ、ムラムラ消えるといいですねぇ。」


「やめてーー!」


 みなさんもイライラし過ぎて恥ずかしい間違いをしないように、うまくストレス発散しましょうね。


 完


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