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98.暗黒魔術師vs天使隊

「な、なんだ?」


「と、突然現れたぞ?」


「誰が衛兵を呼んでこいよ」


「凄え美人ばっかだぜ!」


 帝都の中に突然現れた僕たちに、その場にいた住民たちはそれぞれ呟く。中には七星天女の美貌に見惚れる者もいたけど、考え無しに近づくと殺されちゃうよ?


「旦那! 行ってもいいか? 良いよな!?」


 そんな視線に晒される中、キラキラワクワクとした視線を僕に向けてくるレルシェンド。そろそろ暴れさせて発散させないと、身内を狙いそうな勢いだ。


 僕が苦笑いしながら頷くと、おもちゃを買ってもらえる子供のように走り出して行ってしまった。まあ、補佐にケイシーとネイシーをつけているから大丈夫だろうけど。


「他のみんなも行くと良い。目指すのは予定通り皇城だ。住民は戦争後にエリーゼが統治するために必要だから基本は無視でいいけど、抵抗するようなら殺して良い。兵士たちも同様にだ。第1皇子を見つけたら捕縛。奴はエリーゼに渡すからね。そして……」


 僕が言葉を続けようとした瞬間、光の粒が雨のように頭上に降り注いだ。僕たちだけでなく、周りの住民たちや家屋など関係無く降り注いだ。


 光の雨が止んだ時には、辺りは瓦礫の山となっており、死体が転がっていた。そして空には、前の戦いで殺した天使たちに似た者と、その天使たちが2翼に対

 して4翼を持った天使が僕たちを見下ろしていた。


「ふむ。邪悪な気配を感じて来てみれば、まさか侵入されているとは。やはり、私どもがいなければ駄目ですな」


 1人で気分良さそうに話す天使の男。その後ろには天使が30体ほど飛んでいる。だけど、奴らが放った光によって立ち込めていた砂煙が収まると、一気に手に持っていた武器を構える。


 まあ、僕たち全員無傷な姿を見たら当然か。僕たちの周りには黒い球体がいくつも飛んでいる。僕が作ったもので、これで奴らが放った光の雨を防いだのだ。


 気分良さそうにしていた天使の男は僕たちが無傷で無事な姿を見ると、汚物を見るかのように顔を顰める。こっちも似たような表情をしているかも。


「……あなたが女神フィストリア様が敵視する魔術師ですか。その禍々しい邪悪な雰囲気。確かにあなたはここで殺しておくべきですね」


 天使の男の言葉に殺気立つミレーヌたち。僕は落ち着かせるためにミレーヌの頭をなでなですると、恥ずかしそうに身をよじる。七星天女たちも羨ましそうに見ていた。


「リーシャ、皆を連れてレルシェンドを追いかけてくれ。僕がこいつらを殺すから」


「むぅ、私も戦いたいのだが……マスターは譲ってはくれなさそうだな」


「悪いね。その代わり、他の奴は譲るからさ」


 僕のお願いにレルシェンドと同じように楽しみにしていたリーシャはむすっとするけど、渋々従ってくれた。あの女神の眷属はこの手で殺さないと気が済まないんだよ。


「ハルト様……」


「直ぐにあんな奴ら殺して追いかけるからさ。先に行っていて」


 撫でていた手をミレーヌの頰にやると、顔を赤く染めるミレーヌ。そこに


「ふん、気持ちが悪い光景ですね。邪悪な存在と死体ごときが。やりなさい」


 僕たちを眺めていた天使たちが再び光の粒を放って来た。まったく、少しは待てないものかね。僕は周りに発動した球体を振ってくる光に向かわせる。魔力に反応して動く黒い球体は光を次々と飲み込んで行く。


「さあ、行くんだ」


 僕の言葉に走り出すリーシャたち。その後を追おうとする天使たちを足止めするために、更に黒の球体を作り、天使たちへと放つ。


 天使たちはリーシャたちを追おうとしたところを無理矢理止められたため、忌々しげに僕を睨んでくる。くくっ、なんて心地よい視線なんだ。


「私たちの邪魔をするとは本当に忌々しい。貴様の前で死体どもを殺してやろうと思ったが、まずは貴様の手足をもぎ取って死体どもの前に持って行ってやる」


「偉そうに。お前程度では無理だよ」


 僕は黒の球体を短剣に形を変えて天使の男へと放つ。放った短剣を天使たちが防ごうとするけど、それを手で押さえて前に出る天使の男。何をするのかと思えば、天使の男は両手のひらを合わせる。


 そして少しずつ広げていく手のひらから白銀に輝く剣が姿を現した。天使の男はその剣を右手で握り振るう。すると、男へ向けて放った短剣が粉々に切り裂かれたではないか。そこまで強度が低いわけないのだが……。


「くくっ、驚いているな。この力は女神フィストリア様より賜った神のスキル『絶剣』の力だ。触れたものを必ず切るこの力。貴様の魔術なぞ、切り裂いてくれる!」


「勝手に言っていろ。お前なんかさっさと殺してみんなの後を追いかけないいけないんだ。直ぐに殺してやる」


「ふん、本当に忌々しい男だ。我が名はメルカル。この戦いの天使隊の隊長を任された男だ!」


「僕の名前はハルト。女神フィストリアを殺す男だ。覚えておくといいよ」


 僕が笑みを浮かべながら言うと、メルカルと名乗った男の額には青筋が浮かび上がる。他の天使たちも似たようなものだ。そして、飛んでくる奴ら。さあ、来い! 1人残らず殺してやるからさぁ!

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