表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
65/143

65.VS神獣(3)

「グルルゥゥ」


 体長は2メートルほど。さっきまでの狼のような姿ではなく、僕たちと同じように二足で立つ神獣。見た目は獣人のようだが、内側から溢れる力が桁違いだ。


「っ! ボッとするな、マスター!!」


 リーシャの声と同時に一瞬で目の前に現れた神獣。半自動にしていた槍が重なり振りかざさられた電撃を纏った爪を防ぐが、いとも簡単に貫かれる。


「くっ!」


 迫る爪を大鎌を回転させて弾くが、体が再び痺れて動きが鈍る。その隙に神獣が左足で回し蹴りを放って来た。右腕に球体を纏わせ籠手を作って防ぐが、バキバキっと嫌な音と痛みが走る。


 神獣は御構い無しにそのまま左足を振り抜いて僕は吹き飛ばされる。僕は何度か地面をぶつかりながらも折れた腕を治す。それと同時に短剣を作って神獣へと放つ。


 神獣は迫る短剣を避けようとはせずに雷を手に纏、短剣を弾く。その背後から


「はぁっ!」


 リーシャが砕剣を神獣に向かって振り下ろす。神獣は振り向く事なく両手を頭の上で交差させて、リーシャの剣を防いだ。


 衝撃が地面へと逃げ割れるが、神獣は体勢を崩すどころかリーシャの剣を弾いて、回転しながらリーシャを殴り飛ばす。リーシャは剣を盾にして防ぐが、僕と同じように何度も地面を跳ねた。


 神獣は吹き飛ばしたリーシャの事を見向きもせずに真っ直ぐと僕へと向かってくる。デカかった時は無差別だったのに、今の姿になってから僕を狙うようになって来たな、こいつ。


 鋭い爪で切りかかってくる神獣を、大鎌で受け止める。こちらが受ける度に体が痺れて動きが鈍るけど、まだ、反応出来る速さだ。


 僕は下がりながら神獣の攻撃を逸らす。右の爪で突いてくるのを石突きを下から振り上げ弾き、回転して刃を横振りで切りかかる。


 神獣軽々と跳んで鎌の刃を避け、そのまま空中で蹴りを放って来た。咄嗟に大鎌の柄で受け止めるが、ザザッと後ろに押し込まれる。更に追撃してくる神獣。


 こちらが短剣を放っても瞬時に対応してくる速さ。くっ、デカかった時より早いんじゃ無いのか?


 しかし、これは出し惜しみしている場合じゃなさそうだ。僕は神獣の攻撃を防ぎながら、神獣から距離を取る。


 そして自分の周りに出していた短剣や大鎌を消して、魔力を集める。当然、見過ごす訳のない神獣は、僕へと迫ってくるが


「はぁぁぁっ!」


 横からリーシャが神獣へと切りかかってくれる。よし、これをするには時間が少しかかってしまうからな。助かる。


 僕はその間に自分の持てる魔力をすべて両手の平に集まる。まだ未完成だけど、女神を殺すためだけに考えた武器。


神喰ノ魔剣(ダーインスレイヴ)


 両手に握られた漆黒の剣。見た目はただの黒い剣だけど、僕はその剣でそのまま自分の腕を切る。腕から溢れる血を魔剣へと流していく。すると、魔剣は僕の血を飲んでいくのだ。


 僕の血を飲んだ魔剣は、先ほどまでの漆黒の剣では無くて、所々に赤い線が入る。まるで血管のように。僕の作った魔剣は、今の所は血を吸わせる事により切れ味と硬さが増すだけの剣だが、奴を倒すには良いだろう。


 ただ切る事に特化させた剣だけど、切れるものは何も物だけじゃない。


 僕は剣を構え、リーシャと打ち合っている神獣へと向かう。向かってくる僕に気が付いた神獣は、雷を放ってくるが、それを僕は剣に触れる前に振り、斬撃だけで切る。これで痺れる事は無い。


 更に数撃斬撃を放つ。神獣はリーシャから離れて斬撃を避けるが、僕はそのまま詰め寄る。迫る僕へと爪を突き出してくるが、魔剣で下から切り上げ爪を切り、更に振り下ろす。


 スッと切れる感触が手に伝わるけど、気にせずに神獣へと向かって突きを放つ。神獣は僕から距離を取るために後ろへと下がるけど、当然突きも飛ばせるんだよ!


「ガァァッ!?」


 右腕は先が無く、僕の突きで腹に風穴が空いた神獣。たたらを踏みながらも僕を睨んでくるが、僕は更に追い討ちをかける。


 僕の放つ斬撃で少しずつ傷をつくっていく神獣。これ以上は耐えられなかったのか、天高く吠えると大神木が輝き出した。その光景を見て僕は思わず笑みを浮かべてしまった。


 僕はその光に向かい、魔剣で切り裂く。同時に光に混ざる魔力も吸収する。女神の力を吸収するのは嫌だけど、使えるものは何でもつかわないと。


「これで終わりだ。終撃」


 呆然と消える光を見ている神獣へと魔剣を振り下ろす。神獣は魔力を集めて大神木の力を得た時のように角を伸ばして振り上げてくるが、今度はその光の力を吸収している。どちらが勝つかなんて明白だ。


 僕の魔剣は簡単に神獣の角を切り落とし、そのまま斜めに切った。ずるりと落ちる神獣の上半身。ふぅ、何とか倒せたか。


 魔剣を消すと一気に体を襲う疲労感……まだ、慣れていないからか。このまま眠りたいところだけど、最後に一仕事残っている。


 僕は神獣の死体へと魔力を注ぐ。後ろにはリーシャやワイバーンから降りた女王たちが見ていたが、気にせずにそのまま流す。


 神獣の姿は元の狼の姿へと戻ったが、僕の切った跡は残っていたため治す。あのクソ女神の力を上回る魔力を一気に流して主従権を僕の物にする。すると、白銀だった毛並みは漆黒へと変わっていく。


 そして、闇魔術の死霊術を発動。神獣の魂を無理矢理縛り死体へと入れる。これでこいつは僕の配下になった。死霊として蘇った神獣は僕をジッと見てくる。


侵食ノ餓狼(フェンリル・ロータス)。それがお前の名だ」


「ワウォォォォーーーン!!!」


 空へ向かって咆哮を放つロータス。今後も役に立ってくれそうだ。


 ……やば、一仕事終えたら疲れてきた。魔力も今までに無いくらい使ってしまったし……このまま寝ても良いよね。僕はそのままその場に寝転んで寝てしまうのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ