140.帰還
「中々上手くいってくれたようだね。ありがとうベアトリス。それから良くまとめてくれた。ありがとうねミレーヌ」
僕は今回四大聖天使を誘き寄せるために奮闘してくれた2人を労う。ベアトリスは当然といった表情で、ミレーヌは嬉しそうに笑みを浮かべる。
七星天女やレルシェンドも頑張ってくれたけど、この2人をまずは褒めないとね。
「ベルギウス様たちは?」
「ペルギウスたちは外にいるリーシャたちの手助けをさせているよ。と言っても、ペルギウスが参加したら一瞬で終わっちゃうから威嚇させているだけだけど」
それでも、今回の戦争は終わるだろう。頼みの天使はここにいて、他の天使たちではペルギウスには太刀打ち出来ないだろうし。
「……あなたがフィストリア様に宣戦布告したという魔術師ですか?」
ミレーヌと情報のすり合わせをしていると、上から話しかけてくる声が。声の方を見ると成人男性ほどの大きさのある弓を構えて僕たちを睨んでいた。彼女が四大聖天使か。
あの時は初めて会ったのは絶剣だったっけな。他人の体に乗り移っていたのにかなりの圧力を感じたなぁ。目の前な四大聖天使からも結構な圧力を感じるね。
「初めまして。僕の名前はハルト。君の言う通りフィストリアに宣戦布告したのは僕だよ」
「そうなのですね。フィストリア様はあなたの事を悪魔とおっしゃっておりましたが……確かにあなたから溢れるその死臭。悪魔と言うには相応しいですわね」
……はっ、面白い言い方をするじゃないか。僕から溢れる死臭ねぇ。まあ、確かに何千と殺してきたから何かが僕についているかもね。
「まあ、天使である君たちからすれば僕は悪魔かもね。そして、君もこれから悪魔の仲間になるんだから」
僕はそう言うと、黒神の力を解放する。四大聖天使相手にこの力がどれほど通用するのか確認したいし、まだそこまで慣れてないから扱い方の練習も兼ねてやろうか。
「……っ! なんて禍々しい魔力なのですか!? しかも、その力はノエルたちと同じ……!」
「とある神のかけらを吸収してね。強化出来たんだよ。しかも」
僕は体から溢れ出る闇を空間全体に広げる。そして闇がミレーヌたちに伸びていく。彼女たちは驚くが僕を信じてくれているため特に慌てる事はなかった。
「……!! ハルト様、この力が溢れる感じは!?」
「それは、僕が吸収した神のかけらの力さ。自身は強化出来ないけど、周りの人たちには、魔力に比例した人数を強化する事が出来るみたい。僕は殺しただけ魔力が増えるからこの力は好都合だしね」
クロノの作ってくれた魔導具のお陰で殺せば殺すほど魔力は増えていくし。その分耳元に大量の叫び声が鳴り響いているのだけど。今はもう慣れたもので気にはならないけど。
「まあ、強化はしたけど今は見といて。あっ、七星天女たちは外を頼むよ」
「「「はっ!!」」」
僕が指示を出すと七星天女たちは返事をして空間から外に出ていく。エルフィオンが空間の中の話も聞いているようで、僕たちは簡単に行き来出来る。
「良いのですか? 態々人数を減らして。人数が多い方が良いのでは?」
「ん? そんなの決まっているじゃ無いか。僕だけでいけると思ったからさ」
僕はそう言いながら闇から作った槍を天使に向かって放つ。そういえば名前を聞いてなかった。まあ、いいか。
「舐めないで下さい!」
天使はそう言いながら弓を構えて放った槍に向かって矢を放った。かなりの魔力を込められた矢だけど、僕の槍の前では意味は無いよ。
槍と矢がぶつかった瞬間、槍から闇が溢れて矢を取り込む。そして、勢いが落ちる事なく槍は天使に向かって飛んでいった。
「くっ、先程の球体と同じですか! 千本矢!!」
天使は顔を歪めながら先程以上の矢をそれぞれの槍に向かって放った。何故だろうか、と思ったけど、槍1本に何百という矢がぶつかり、槍の吸収可能量以上の魔力が注がれたため、槍が爆発した。
なるほどね。大抵の相手は避けに回るのだけど、事前に知っているのもあってすぐに対処してきた。ミレーヌが使ったのだろう。
「私の名は天弓のアタランテ!! フィストリア様の名にかけて、貴方を倒します!!」
「僕の名前はハルト。フィストリアを殺すために君を配下に落としてあげるよ」
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