138.得た力
「……あなたのその気配は!?」
私が封印を解き力を解放したせいか、私の力に気が付いた天弓が驚いた声を上げて私を見てきます。その隙をレルシェンド様とルクアが突こうとしますが、流石にそれをする事を天弓は許しませんでした。
しかし、意識は完璧に私に向いています。私から溢れる気配に気が付いたようですね。私は嫌いな気配です。だってこの気配をハルト様が感じると一瞬ですが顔を顰めるのですもの。
私は大鎌を構えて翼をはためかせて、天弓に向かって飛びます。フィストリアに乗っ取られた時のせいなのか翼は問題無く動かす事が出来て飛ぶ事には問題ありません。
そのまま飛び上がり天弓へと向かいます。天弓は私の中から感じ取る事が出来るフィストリアの気配のせいか動きが悪いですね。まあ、それを待つ意味もないので私はそのまま迫り大鎌を振り下ろします。
いくら動きが悪くても私の大振りの大鎌は容易く弓によって受け止められます。天弓は弓を大きく動かして私の大鎌を弾き返します。そのまま向かってくるのかと思いきや私と同じ高さに止まって睨んでくる天弓。何か言いたそうですね。まあ、大体はわかりますが。
「あなたのその気配……なぜあなたからフィストリア様の気配がするのかしら?」
予想通りの質問ですね。ありのまま話しても良いのですが……どちらにしても殺しに来る相手に真面目に答える必要はありませんか。私はニコッと微笑むだけで、何も答えずに大鎌を構えます。すると
「……答えませんか。ふふっ、舐められたものですわね。なら……いやでも答えさせてあげますわ!!」
私の態度に怒った天弓が私に次々と矢を放ってきます。私は翼をはためかせて迫る矢を避けますが、矢は追尾型のようで私の後を追ってきます。
流石にこのままだと追いつかれてしまうので大鎌を一振り。たったそれだけで追尾していた矢は消えました。弾けたり、爆発したりでは無くただ消えたのです。
これはハルト様のお陰です。ハルト様に蘇らせて頂いた時にフィストリアの力と呼応してか、私も少し暗黒魔術を使えるようになったのです。
初めはただの闇魔法かと思っていたのですが、それに比べてかなり威力が高くて驚いたものです。まあ、ハルト様の力に比べたら雀の涙程度なのですが、それでもこれが扱えるのとそうでないのでは戦略の幅が違いますからね。
次々と矢を放ってくる天弓。大鎌を振り矢を消しながら、こちらも矢を作りはなちま放ちます。しかし、矢の発射速度に関しては天弓の方が当然ながら上ですね。
「どうしたのです!? あなたの力はその程度ですか!?」
おっと、少し体を慣らしてから行こうかと思っていたところに、天弓にそんな事を言われてしまいました。それならばその体で色々と体験してもらいましょうかね。
「神言『止まりなさい』」
私の一言で天弓が一瞬止まります。天弓はなぜ止まったのかわからないようで戸惑った表情を浮かべます。そして、そこに天弓の背後を狙いルクアが太刀を振り下ろしました。
動けるようになりましたが防御が間に合わずに背中を切られる天弓。ようやく傷らしい傷をつける事が出来ましたね。
明日11月5日、ついに「世界に復讐を誓った少年」が発売されます!
よかったら書店でお手に取っていただければと思います!!




