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「ふふっ、ベアトリス以外はどうって事ありませんね!」


 天弓が持つ聖具のせいで攻めあぐねている私たち。こちらの攻撃は傷を一切与える事が出来ず、天弓の攻撃は一撃一撃が強力なため、どうしても回避に専念しなければならず、余計に攻撃を加える事が出来ず。


「おらぁっ!!」


「ふん、野蛮な攻撃ですこと。そんな攻撃が通るとお思いですか!」


 腕だけを竜の腕に変えて天弓へと殴りかかるレルシェンド様ですが、やはり天弓の聖具に阻まれ弾き返されます。そこにがら空きとなったお腹にすらっとした足が減り込み、レルシェンド様は吹き飛ばされてしまいました。


 しかし、彼女も竜人族特有の耐久性があるため直ぐに立ち上がり天弓へと向かいます。


「どうするのじゃ? 妾も行こうか?」


 一向に攻めあぐねている彼女たちを眺めながら、しばらく思案していると、ベアトリス様がそう提案してくださります。


 さて、どうしたものでしょうかね。ベアトリス様にお願いしても良いのですが、この後に支障をきたす恐れがあります。それはハルト様にご迷惑をおかけする事になるのでしたくはありません。


「……仕方ありませんね。私が行きますのでベアトリス様は休んでて下さい」


「ほう、お主が出るのか。それは楽しみじゃ」


 ベアトリス様は私の顔を見ながらニヤニヤとしながら後ろへと下がります。はぁ、私もこの力はあまり使いたくないのですが仕方ありませんね。


 この力を使うと……一瞬だけハルト様が嫌な顔をするんですよね。だからあまり……本当は使わずにいたかったのですが。はぁ、少し憂鬱ですが計画が狂う方がハルト様にご迷惑をおかけしてしまいますし。


「……エンリエ、行きますよ」


「ふふっ、わかりました」


 私がこの力を使うのを嫌なのを知っていて笑うエンリエは性格が悪いですね、もう。エンリエは笑みを浮かべながら私の背中に掌を当てます。そして、私の体へと魔力を流してきます。これをしなければ私の体の奥底に封じていた力が開きませんから。


 彼女は私とハルト様の血を使い、とある力を封じ込めるために作った人型の鍵になります。私の中には自分の魔力の他にある力……フィストリアの力が混ざり込んでいます。


 理由は前にフィストリアに体を乗っ取られたからだと思われます。それも普通の人間なら耐え切れない程の量の力が。


 多分ですが、あの時私がハルト様に殺されなくてもフィストリアの力に耐え切れずに死んでいたのでしょう。


 ですが、私はハルト様のお陰で蘇る事が出来ました。それも、同じ神の力である暗黒魔術で蘇ったお陰か、私の体の中にフィストリアの神の力の残滓と言えるものが残ったままだったのです。


 しかし、その力をそのままにしておくと流石に私の体も耐えられないという事で考えたのが、力を封印するというものでした。そうする事でこの力による体への負担を無くすというものでした。


 ただ、この力はこれから戦争をする上でかなり魅力的な力になります。このまま完璧に封印して使えなくするくらいなら、鍵をかけて少しずつ慣らしていけば良いのではと、エルフィオン様たちと話して決まったのです。


 そして、その封印の鍵となるために様々な知識を持ち寄って創られたのがこのエンリエになります。


 彼女は七星天女の筆頭であり、私の半身であり、私の封印を解くための鍵であり、そして私の武器でもあるのです。


 彼女の魔力が私の体に流れ込んで浸透していくと同時に、彼女の体は限界を保てなくなり私の体へと混ざって行きます。


 完全に私の体にエンリエの魔力が流れ込んだ時には彼女の姿はなく、代わりに私の手には真っ黒に染まる大鎌が握られていました。


 そして、背中から生える一対の漆黒の翼。この姿を見るとハルト様はフィストリアの事を思い出すようで、ハルト様の前ではあまりこの姿にはなりたくありませんが、今はいいでしょう。


 私も長い時間この姿にはなれませんので、行くとしましょうか。

今週の木曜日に「世界に復讐を誓った少年」が発売されますので、良かったら書店で見ていただければと思います!!

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― 新着の感想 ―
[一言] 発売おめでとうございます。 まあ読む人選ぶ超ダークですけど(笑)。
[良い点] 書籍、是非とも買わせていただきま(^^)
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