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125.久し振りの挨拶

 ……やばいやばいやばい。あの2人を見ていると思わず嬉しさで笑い出しそうになる。何とか口を押さえて我慢する。同時に暗黒魔術でローブを創り羽織る。彼らの用を聞く前にバレるのは面倒だからね。


 そんな風に降りて来た竜の様子を伺っていると、竜の背から5人の男と1人の女が降りてくる。女の方は当然ステラだ。


 男たちの方は1人はリーグで憎たらしい腹の立つ顔は変わっていない。そのリーグより先頭に立つ男は男の僕の見てもカッコいいと思うほどの美青年で、同時に絶対に相容れないと思う魔力をしている。あいつ、クソ女神の力の中でも、より女神に近いものを持っている。


 その後ろには雷を纏わせている男に、黒いローブに赤髪、首輪をしている青年が、彼からも女神の力を感じる。その後ろには逆に真っ白のローブを着た男がいる。


「僕の名前はノエル! フィスランド聖王国の勇者で、女神フィストリア様の天啓により、この国にいる悪魔の力を持つ者を討伐しに来た!」


 獣人の集団に向けて輝く剣を突き付けるノエルと名乗る男。剣はモダラへとしっかりと向けられている。モダラたちは突然現れたノエルたち、そして竜に恐れていた。


「な、なんだ、お前たちは!? 勝手に人の国に入って来やがって! お前たちやってしまえ!」


 モダラはビビリながらも周りの獣人たちに攻撃をするように指示を出す。その指示の通り、ノエルたちに向けて獣人が魔法を放つが


「しゃらくせぇ!」


 黒いローブを着た赤髪の男が腕を振るう。すると、腕が炎で燃え上がり、迫る魔法を焼き尽くしてしまった。そして、その余波によりモダラたちを逃さないように炎の壁が作られた。


「な、何をしている! もっと、もっと攻撃しろ!」


 その光景を見たモダラは慌てて指示を出すけど、焼け石に水だった。あっという間に男3人に囲まれるモダラたち。


 獣人たちはモダラを守ろうとモダラを中心に円陣を組む。しかし、先ほどのを見て実力差を感じ取ったのか、全員が青い顔をしていた。王子とやらも同様に。その中で1人喚くモダラ。


「ハ、ハルト様、どうしますか?」


 突然の事に、オロオロしながら尋ねてくるマルス。全く、戦争とか体験して成長していると思ったら、こんな事で余裕を無くして。もう少し自信を持ってもらわなければ。ティアラを見習ってくれよ。彼女はこの状況で優先順位を見つけて、獣人の子供たちを守るように動いているのに。


「取り敢えず、マルスはティアラと一緒に。僕は……彼らを邪魔してくるよ」


 やっぱり、僕的にはクソ女神の嫌がる事をしないとね。あいつの目的はモダラの持つ神のかけらだ。殺してしまうのなら、僕が奪っちゃってもいいよね? 答えは聞かないけど。


 剣を突き付けながらモダラたちへと近づくノエルたちとモダラたちの間に、暗黒魔術で作った剣山を出現させる。モダラたちの中の王子だけは反応したが、他は驚いてその場に尻餅をついて、ノエルたちはリーグだけが反応が遅れた。あの赤髪の男に引っ張られなければ刺さっていたのに。


「やっぱり、あのクソ女神の手下は礼儀知らずが多いね。僕が狙っていた獲物を横取りしようなんてさ」


「……誰だい、君は?」


 笑いながら近づく僕に、警戒を露わにするノエル。その後ろに雷を纏った男と赤髪の腕から抜け出したリーグ、竜の側にいる白いローブを着た男とステラが僕を見てくる。じーっと見て来る彼らに僕はどうしたものかと考える。別に姿を見せてもいいのだけど……いいっか。


「僕が誰かって? そこの2人は覚えているかな?」


 そう言いながら僕はフードを脱ぐ。僕の顔を見て怪訝そうな表情を浮かべる彼らだが、次第にリーグとステラの表情が変わっていく。髪の色は変わってしまったけど、他は少し成長したくらいで変わってないからね。2人とも直ぐに気が付いた。


「…….な、なんでお前がここに」


「ど、どうして……」


「やあやあ、久し振りだね、2人とも。僕からのお土産は気に入ってくれたかい? 中々良い伝書鳩になっただろ?」


 驚きに表情を染める2人を見て、僕は笑うのを我慢出来なかった。さて、どうやって2人をいたぶろうか。僕、ワクワクしてきたぞ!

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