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124.異国での再会

「ふぉー! 凄い凄いっ! お外って凄いんだね、お兄ちゃん!」


 僕の話を聞いて興奮してぴょんぴょんと跳ねる獣人の子供たち。その姿に思わず笑みを浮かべてしまう。最近は殺し合いの中で生きてきて、心の癒しがミレーヌたちとイチャイチャする事だったからね。


 この外の事を知らない子供たちを見ていると心が癒されるね。何色にも染まっていない無垢な笑顔。1つ目の復讐を終えたせいか、昔ほどじゃなくなったみたいだ、僕。


 しばらく獣人の子供たちと話をしていると、気が付けば夕暮れ時になっていた。結構話したと思ったけど、いつの間にかこんな時間になっていたとは。


 そろそろ子供たちを帰そうかと思った時


「おっ、あそこに可愛い猫の獣人がいるぜ。あんな奴がいたなんてな!」


 と、ティアラを指差す獣人の男。見た感じ猿の獣人だろうか。僕たち人間の耳の場所に丸い耳がついている。


 その後ろには従者なのか6人の獣人が付いていた。その獣人たちを見ていると、子供たちの1人が


「あっ、おーじさまだー」


 と、猿の獣人の後ろにいる狼の獣人を指差して言う。へえ、彼がこの国の王子なんだ。子供たちとの話で出て来たけど、僕たちのように違う匂いが他にもいて、それはこの国の王子だと聞いていた。彼が、一度外に出た事のある人物なのか。


「おい、お前ら、その猫獣人の女を差し出せ。モダラ様がお求めだ!」


 獣人の男たちが目の前に来るなりそんな事を言ってくる。マルスはティアラを守るように前に立つ。まあ、渡すわけがないからね。


「残念だけど、彼女は渡さないよ。さっさと立ち去らないと痛い目見るけど?」


 僕もマルスと並んでモダラと呼ばれた男を見るが、モダラは笑みを浮かべたまま動かない。他の獣人たち、王子と熊の獣人の2人は動かないが、それ以外の獣人たちが近寄ってくる。


 牽制のため、2人ほど吹き飛ばしておくか。そう思った僕は近づいてくる獣人たちに向けて黒色の球を放つ。シャドウボールという闇魔法の初期で覚える魔法だ。


 僕の放った球は、向かってくる獣人たちに当た……らず跳ね返って来た。僕は向かってくる球を闇で吸収して消すけど……こんな簡単に跳ね返されるなんてね。


 そして、僕が攻撃したのを見てから、獣人たち武器を抜いて迫る。マルスは直ぐに黒騎士の職業を使い、鎧と剣を召喚させて、振り下ろされる剣を受け止める。


 同時に目の前が歪む感覚。ティアラも辛そうに頭を抱えて、子供達に至っては泣き出してしまった。辺りには甘ったるい匂いが漂い気持ちが悪い。


「ぐおっ!」


 マルスにも襲ったのか、足をふらつかせたところを狙われ吹き飛ばされるマルス。僕たちと獣人の子供達が苦しむ中、モダラたち獣人の男たちは、余裕な表情を浮かべて近づいてくる。


 この甘ったるい匂いのせいで、視界が歪むのだろう。それに、僕の魔法を跳ね返したあの障壁も厄介だ。それに、この感じ、あのモダラというのが神のかけらを持っている男なのだろう。


 ただ不思議なのが、匂いの魔法を使っているのがモダラではなく、別の奴って事だ。神のかけらを持っていない奴が、この国にいる全員に魔法をかけられるとは思えない。


 それに、僕の魔法を跳ね返した魔法もだ。1番威力は弱いけど、跳ね返されないように消滅の効果も付けていたのに、跳ね返されてしまった。


 ……油断していたのは確かだ。その点は僕も反省しなければいけないね。少し本気で撃とうか。そう思い魔力を込めた瞬間、空から、途轍もない魔力の塊が落ちてくる。


 僕はマルスとティアラ、子供たちを覆うように闇の天蓋を頭上に展開する。モダラたちは、僕の魔法を跳ね返した技を空に展開した。そして、頭上に落ちる衝撃。


「は、ハルト様! こ、これって!?」


「わからないけど、頭を伏せてくれよ!」


 僕は闇の天蓋に魔力を注ぎ空から降ってくるものを吸収、消滅させていく。空から降る衝撃が収まり、天蓋を消すと、辺りは焼け野原になっていた。公園だったのが幸いしたのか、死人は出ていないようだ。


 そして、空には1頭の竜が飛んでいた。白金に輝く竜だ。背には人を数人乗せているのがここから見える。


 優雅に降りてくる竜。降りてくるにつれて次第に見える竜の背に乗った人物たち。その姿を見て僕は目を見開いてしまう。まさか、こんな早く再会出来るなんて。


 竜の背に乗っていたのは……ステラとリーグだったのだから。2人の姿を見た僕は気が付いたら笑っていた。

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