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117.魔国の対応

「全員、突然呼んで申し訳ないね。でも、よく集まってくれた、七魔将たちよ」


 私の目の前に向かい合うように座る6人の魔族たち。まだ1人来ていないけど、すぐに来るだろうから先に始まる。この魔国エステキアで最強の7人の部下たち。


「……はぁ、かったりぃ〜。何で俺まで呼ばれなぎゃいけねえんだよ。めんどくせぇ。寝てて良いよな?」


「ふん、そういうわけにはいかん。魔王閣下のご命令だからな。参加出来る七魔将は全員参加するようにと仰せられているからな」


 怠そうに椅子に体重を乗せて、会議の机の上に足を乗せる褐色の男。怠惰の名を持つ男、メルガ・ベルフェゴール。


 その向かいに座り、メルガの文句を嗜めるのは、銀髪の偉丈夫。魔国一の剣術使いで傲慢の名を持つ男デルキメデス・ルシファー。


「ふふ、メルガはお子ちゃまね」


 メルガを見て妖艶に微笑むのは色欲の名を持つ金髪の美女、エスターニャ・アスモデウス。


「……どうでもいいけど、お腹すいた」


 その隣で気だるそうに机に顎を乗せる紫髪の少女、暴食の名を持つ少女でベルーチェ・ベルゼブブ。


「ぷぷっ、メルガはお子ちゃまって事は僕より下って事だよね! ださださ!」


 メルガを笑いながら指を指す茶髪の少年は嫉妬の名を持つ男……いや、男の娘は、ヘルミィ・レヴィアタン。


 その隣でイライラしながらも目を瞑り腕を組んで待っているの男は憤怒の名を持つ男で、ギルデ・サタン。


 そして


「待たせましたね」


 部屋へと入って来たのは、金髪で全身黒の軍服を着た女性、私の妻でこの国の魔王妃であり、強欲の名を持つ女性で、イスカリナ・マモン・エステキアだ。


 イスカリナが部屋へ入ってくると、先程まで話していた魔将たちが一斉に佇まいを直して沈黙する。私の前では怠そうにしていたメルガも同じように。なんか、ショック。


 この光景を私の斜め後ろに立ち見ているルシュウが声を殺して笑っていた。くっ、許さんぞ、ルシュウ。


「待たせましたね、あなた」


「いや、丁度今から始めようとしていたところだ。気にする事は無い。それでは、これより、会議を始める。ギルデ、お前の報告を皆にも話してくれ」


「はっ! 3日前、俺は聖王国の勇者一行と戦闘を行っていました……」


 それから、ギルデが勇者一行と戦った話、天秤座がやって来た事、そして、謎の人物が現れて手紙を渡して来た事を話していく。


 はじめの勇者たちとの戦いの話の部分では、皆笑ったらしていたのだが、天秤座がやって来たところで真剣味を帯び、そして、謎の人物が現れたところで警戒し始めた。


「突然現れた人物は、黒のドレスを着た金髪の女性だった。魔王様に匹敵する魔力に圧、只者では無かった」


 そして、話し終えたギルデは私の方へと見て来た。それを見た私は、この会議の前に渡されて読んだ、その人物からの手紙を机の上に置く。


「これが、そのギルデが出会った人物から渡された手紙だ」


 私は出した手紙をイスカリナから順番に回して読ませていく。書かれていた内容は新しい国である死国パンデモニウムについての事と、同盟について一度会いたいという話だった。


 どうやら、この国は聖王国を敵視しているようで、既に何度か天使などと衝突しているようだ。それに、南の国の殆どを属国として、更に亜人国、帝国との争いを仲裁し、その二国すらも同盟国としているらしい。


 普通なら嘘と判断するところだが、その両国には魔国の密偵が潜んでいる。その者たちからの報告で嘘では無い事は確認出来ている。


「……あまり帝国とは関わりがありませんが、噂ではかなりの大国のはず。それを抑えて同盟してしまうとは。この、死国とはなんなのでしょうか?」


「わからない。だが、手紙にも書いてあったように、聖王国と敵対している我が国とは同じように同盟を結びたいようで、そのために一度会いたいそうだ。私はこれを受けようと思う」


 私の言葉に皆が沈黙する。それもそうだろう。全く得体の知れない新国との同盟だ。会うにしても、警戒はしなければならないだろう。それに、謎の人物の事もある。ギルデが言うには下手すれば私以上の実力だと言っていたからな。警戒はし過ぎに越した事は無い。


 ◇◇◇


「……おっ、ようやく聖王国でリーグたちと出会ったようだね」


 僕が目の前で行われているスケルトンたちの準備をぼーっと見ていると、頭の中で魔術が発動したのがわかった。これで、リーグとステラの両親は死んで、僕の宣戦布告が届いたわけだ。


「ハルト様、どうされました?」


「ん? ようやく、聖王国に贈ったものが、本人たちの元に届いたようでね。これで、次に進めるよ」


 僕が疲れたように首を振ると、ミレーヌは笑みを浮かべながら僕の後ろに立って肩を揉んでくれる。ミレーヌの柔らかい手が気持ちいい。そんな気持ちの良いマッサージを受けていると


「おっ、マスター、ここにいたのか。例の奴を捕まえて来たぞ?」


「おおっ、さすがリーシャ、仕事が速いね! それじゃあ、見に行くとしますか。ありがとね、ミレーヌ」


「いえいえ」


 僕は先を歩くリーシャについて行き、僕の後ろをニコニコ顔のミレーヌが付いてくる。僕たちは、リーシャについて行き、目の前の建物、アンデルス王国の王城へと入る。


 僕たちが進む廊下の左右では、スケルトンたちが壊れた壁や汚れた床を掃除している。ネロの死霊部隊の1つだ。彼らを見ながら進んだ先は、王城の庭で、そこには縄で縛られた男女の集団がいた。


 彼らは、この国の元国王とその親族。僕たちが王都を攻めてから、王族に伝わる逃げ道を使って逃げたのを捕まえてもらったのだ。


 国王に王妃、王子に王女が震えて並んでいた。そして、それに並んで、神官が数人縄で縛られている。こいつらは、この王都の教会にいた神官たちで、そのトップは僕とも関わりのある人物だ。


 ……僕に天啓を与えて、そして、村の奴らに踏み絵としてナイフを刺させた神官だったのだから。

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