第6話:王都へ
あらすじ
大魔法使いのアルバートは、若返りの薬を飲み子供になることに成功した。しかし副作用によって魔法が使えなくなってしまっていた。
アルバートは魔法使いの弟子ジョンと身分を偽った。魔力を取り戻す方法を調べるために、ジョンは王都に向かう。
「ジョン様、王都が見えてきましたよ」
御者台に座っていたフレッドが知らせてくれる。
馬車の前方をみると、王都を取り囲む城壁が見えてきた。
王都は城塞都市だった。街の中央に城が配置されそれを取り囲むように住居や店が存在し、一番外側を城壁がぐるりと囲んでいた。城壁の外にも家々がまばらに立っており、周辺には畑が広がっていた。
フレッドが操る馬車は城門に近づいていった。
城門には軽装の鎧を着た兵士たちが立っており、王都に入る人々を検査していた。
儂たちも検査を受ける人々の列に並び、兵士の検査を受けた。
「積み荷は何かな」
紙とペンを持った兵士がフレッドに問いかけた。
「村で採れた野菜や果物、近くの森から切り出した木材などです。街で商品を売ることを目的にやって来ました」
兵士はフレッドの返事を聞いて紙に何やら書き込む。
「なるほど、おい確認しろ」
兵士の一人が荷台に上がってきて荷物を一つ一つ検査していく。儂は兵士の邪魔にならないようにルディを抱えて荷台の隅っこに座っていた。
「不審なものは見当たりません!」
荷物をひとしきり調べたあとに、荷台に上がっていた兵士が書類を持った兵士に報告する。
「よし、通っていいぞ」
「ありがとうございます」
フレッドが馬車を動かして城門をくぐる。
城壁内は石畳の道が敷かれ、白い漆喰の壁に赤い屋根の家々が建っていた。
「ジョン様、王都には入れましたけど、これからどうしますか。私は市にいって持ってきた品物を売ろうと思うのですが」
フレッドが聞いてくる。
「私は市には用事がないのでここで別れましょう。」
儂は答えながら荷物をもって荷台から降りる。
「そうですか。それでは私はここで失礼します。お気をつけて」
フレッドは手を振りながら馬車を進めて遠ざかっていった。儂はフレッドが遠ざかっていくのを手を振りながら見送った。
十分にフレッドが離れた所で黒猫の使い魔のルディが口を開いた。
「ご主人様、これからどうするんです。王立図書館に向かうのでしょう。」
「うむ、そうなのじゃが。今思えば子供の姿をしている儂がのこのこと行っても入れてもらえる気がしなくてな。」
「たしかにそのとおりですね。現在は身分を偽っていることですし、難しいでしょうね」
うんうんと頷くルディ。
「そこでじゃ、王都に暮らす知り合いに手伝いを頼もうと思ってな」
「知り合いですか。ご主人様にお知り合いなんていたんですね。意外です」
などと軽口を叩いてくるルディ。
「儂にだって知り合いの二人や三人はおるわ。これからそいつの家に向かうぞ。ついてこい」
儂は知り合いにあうために王都の高級住宅街に向かった。
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