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第4話:馬車に揺られて

前回までのあらすじ


大魔法使いのアルバートは、若返りの薬を飲み子供になることに成功した。しかし副作用によって魔法が使えなくなってしまっていた。

アルバートは魔法使いの弟子ジョンと身分を偽った。魔力を取り戻す方法を調べるために、ジョンは王都に向かう。近くの村に行き、馬車の手配を行った。


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村人の協力によって王都に向かうまでの馬車を村から出してもらうことになった。ありがたいことだ。


子供の儂では馬車は操ることが出来ないので、付き添いとして村人のフレッドがついてきてくれた。フレッドはいつも儂の城まで食料を届けてくれるいいやつである。


フレッドの年齢は30代後半といったところで、じゃっかんぽっちゃりとした体型の中年のおっさんだった。


このフレッドが馬車の操作をしてくれる。


馬車と言っても、貴族たちが乗るような屋根付きの豪華な馬車ではない。村人たちが王都へ食料を売りに行く時に使う荷運びようの馬車だった。屋根なんてものはなく、ただの四角い箱のようなワゴンタイプの馬車だ。


馬車には儂を王都まで送り届けるという使命のほかに、村からの成果物を王都へ売るという使命もあった。そのために馬車の中には野菜や果物、木材、薬草といった物ものが積まれていた。

儂は物資が沢山積まれたワゴンの中から、子供なら座っていられるような小さな空間を確保して休んでいた。そのため儂は少し狭苦しい思いをしながら馬車に揺られていた。使い魔のルディも一緒である。ルディは儂の腕の中で丸くなっていた。


魔力があった頃は遠くに移動するときは魔法で空を飛んだり、瞬間移動を行っていたためにのんびりと時間をかけて移動するのは新鮮だった。ゆっくりと景色が流れてくるのを見るtお眠くなってくる。


「ジョン様でしたっけ。魔法の修行というのは大変でありますか。」


御者台に座って馬を操るフレッドが聞いてきた。


「そうでもない。っうぐ」


ぼうっとしている時に声をかけられたために、いつものような態度で返事をしてしまっていた。

それを咎めるように猫パンチがとんできた。


「ご主人さまの現在の設定をお忘れなきように」


「わかっておる、儂は魔法使い見習いのジョンだったな。」


小声でルディに返事をした後に、若干大きめな声を出してジョンに聞こえるように話す。


「魔法の修行は大変ではありますけど、楽しいことも多いから良いですよ。」


昔のころを思い出しながらジョンに返事をする。


「どういったことが楽しいのでしょうか。」


「魔法が使えることによって、どんどんとできることが増えていくことが楽しいですよ」


いまは全く使えないがな。


そう言いたいのを抑えながら会話を続ける。


思えば儂も幼かった頃は師匠にどやされながら魔法の練習をしたものだなぁ。師匠がスパルタ教育でどんどんと魔法の技術を身につけさせられて苦労したものだ。しかし、厳しい指導を受けながらも、自分自身できることが増えていくのが楽しくてがんばれたのだったなぁ。


昔のことを思い出してしみじみとなる。


「良いなぁ。私も魔法が使えたら、畑で土をいじるのなんてやめてしまうのに。困ったことがあれば魔法で何でも解決できて便利そうですよね」


「魔法も万能じゃないですよ。魔法の欠点だってたくさんあります」


魔力が喪失したり・・・・・・・ううう。


「それにフレッドさんの野菜は美味しいので畑仕事をやめるなんて言わないでください」


フレッドが育てる野菜はたっぷりと栄養を含んでいて、なかなかに美味だった。それを辞められたら儂がこまる。


「ジョン様も私の野菜を食べてくださっているんですか。有難うございます。美味しいと言ってくださるだけで苦労して野菜を育てたかいがあるってものです。」


美味しいと言われたのが嬉しかったのか、フレッドは鼻歌を歌い出した。


なかなかにごきげんだな。


フレッドの鼻歌を聞いていると眠たくなってきた。フレッドの声が低いことも理由の一つだろう。


さらに子供のからだになったせいか体力の低下が著しい。少し活動するだけで疲れやすく眠くなりやすい。


「申し訳ないのですが、疲れたので眠らせてもらいます。馬車の方はよろしくお願いします」


「了解しました。私にお任せください」


フレッドの鼻歌を子守唄に聞きながら、儂は馬車に揺られて眠りについた。


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