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第14話:オークとの遭遇

残酷描写ありです

 オークと騎士が対峙する。騎士たちの身長は180センチ前後。それに対してオークたちの身長は頭一つ分高い。さらにオークの体は魔物のそれ、人の体より筋力に勝る。オークたちは引き締まった体をもっていた。


 オークの体には無数の傷跡が走っていた。魔物の牙によって抉り取られたような傷跡もあれば、剣で切りつけられたような細く長い傷跡もあった。傷跡から、オークたちは戦闘慣れしており、少なからず人を殺してきたということが予想できた。


 先頭を歩くオークが儂たちを指差して、何か後ろのオークたちに囁きかける。オークたちは低い低い声でグゥワハハハっと笑う。混紡を握り直し、4体のオークたちは儂たちを取り囲むように広がる。


「戦闘目標、護衛対象の離脱!」


 デレクの緊迫した声がひびく。


「おう!」


 先ほどまで楽しそうに笑っていた騎士たちではない。腰を低く構え、よく手入れされた剣を握りしめ、眼光は鋭くひかり、全身に力が込められていた。


「ジョンさんは安全なところまで撤退してください。もしできるなら街のところまで」


 デレクが儂に優しく私に囁く。


「デレクさん。私も戦います!」


「私達にかされた任務は、あなたの護衛なのです。護衛対象を怪我させてしまう、というのは騎士にとって不名誉なことなのです」


 デレクが諭すように言う。


 彼にとっては儂は小さな男の子なのだろう。儂が戦えると思っていない。儂ほどの子供が使える魔術など指先から小さな炎を出すくらいだからだ。戦闘に参加させるくらいならば、街まで一直線に逃げ帰ってもらうほうがありがたいのだろう。


「私だって戦えます!」もう一度言う。


「坊主、俺達が負けると思っているのか、安心しろ。こんな奴らチョイチョイとやっつけてやるからよ。死体を処理する人手がいるから、街までいって人を呼んできてくれないか」


 デレクの仲間の騎士の一人が軽口を叩く。無精髭をたくわえた騎士だった。


「うん」「そうだそうだ」と他の騎士たちも同意を示す。


 まったくもって儂の意見など聞いてくれない。騎士たち皆が、お前は逃げろ、と言ってくる。


「私だって戦えるって言っているでしょ!」


 儂はポケットから魔石を取り出すと、握りしめた。魔石に込められた魔力が儂を満たしていく。


 儂の身長より大きな魔法の杖をオークに向けて構えると呪文を唱えた。杖の先端に嵌められた宝石が赤く輝く。


「まじかよ」騎士の一人がつぶやく。


「戦闘準備!ジョンさんの呪文詠唱完了まで時間を稼ぎます!」


 デレクが騎士たちに指示を飛ばす。


 呪文を唱えだした儂を見て異変に気づいたのだろう、オークは唸りながら、こちらに走ってきた。


 騎士たちも応戦すべく走る。


 オーク達が混紡を振りおろし、騎士たちが盾で受け流したり、掻い潜ったりする。騎士の一人が受け流すのを失敗し、吹き飛ばされる。


 受け流しに成功した騎士はオークに剣を振り下した。騎士の剣は、オークの鍛えられた筋肉に阻まれ深手をつけることが出来ない。


「硬い!」


 切りつけられたオークは混紡の持っていない腕をふって、騎士を殴りつける。騎士はよろめく。


 さらに別の騎士はオークに剣を突きさすことに成功していた。しかし、オークの急所を外したのかオークの動きは止まらない。オークは混紡をぶんぶんと振り回して暴れた。


 最初に騎士の一人を吹き飛ばしたオークは、騎士に興味を示すことをせず、儂に向かって走ってきた。ルディがオークの前に立ちふさがる。ルディの体から魔力の波動が感じられた。


「ご主人様の邪魔はさせない」


 魔力で身体能力が強化されたルディはオークに跳びかかり顔に爪を突き立てた。ルディは執拗に顔を攻撃し続けた。さすがのオークも顔を守るように腕を動かし、ルディを振り払おうとする。ルディは軽々とオークの腕をかいくぐり、じわじわと細かいキズをオークの顔に刻んでいく。


 ルディがオークの足止めをしている間に、吹き飛ばされた騎士は起き上がり、ルディに加勢する。


「猫ちゃんもやるじゃねえか」


 加勢にきた騎士はオークの背後に回りこんだ。騎士は後ろからオークの膝に蹴りを食らわし、オークの態勢を崩す。膝をついてしまったオークの首筋に、騎士は剣を思いっきり叩きつけた。オークの首が胴体から離され、地面に転がる。頭のなくした胴体からは鮮血が吹き上がり、ルディと騎士を赤く染める。胴体は地面に倒れ、どくどくと血だまりを作った。


 オーク一体を倒すことが出来たが、他の騎士たちは苦戦を強いられていた。体格のまさるオークの攻撃にじわじわと騎士たちの体力は削られていた。騎士たちの鎧はすでにベコベコだ。すでに剣を失い、盾でオークを殴りつけている騎士もいる。


 儂は一心不乱に呪文を唱えた。


 魔石から吸いだした魔力は、魔法の杖の先端に集まり、業火の炎として具象化した。ゴブリンと遭遇した時に行使した魔法よりも、詠唱時間を長くとり、使用する魔力も遥かに多い。


「騎士の皆さん、離れてください!」


 儂は警告を発する。騎士たちはオークから距離を取る。


「業火の炎に焼かれて、消えろ!」


 杖から放たれた炎はオーク三体を飲み込んだ。オーク達は火だるまになってもがき苦しむ。炎は容赦なくオークの体を炭化させていく。オークの一体が最後のあがきとばかりに、燃えながらこちらに向かって走ってくる。しかし、炭化した足がもつれて地面に転がる。オークは恨みがましい視線をこちらに向けてきた。オークは口をうごかすが、声はすでに出ない。しばらくするとオークは動かなくなり、三つの大きな炭が残った。


 騎士たちは肩で息をしながら、炭化した死体から剣を引き抜いり、落とした装備を回収する。


 騎士たちは儂の周りに集まった。


「ジョンさんがこんなに強力な魔力を扱えるなんて思いませんでした」


 デレクがボロボロになりながら笑いかける。


「心なしかジョンさんが大きく見えてしまいます」


「ほんとだよ。戦いのできない坊主だと思っていたのにな」


 口々に騎士たちが賞賛の声をあげる。


「そんなことないですよー」と儂は謙遜しておく。もっと褒めろ。


 オークの襲撃があった他は、薬草の採集は順調に進んだ。各騎士達が持ってきた袋には薬草が満杯に詰め込まれた。


 森から帰路につく途中、魔石の魔力を確認してみると、一つの魔石の残り魔力が五分の一ほどまで減ってしまっていた。


もっと細かく細かく描写してオークを強く描きたい……技術が……

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