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スイーツパニック 前編

 「マキちゃ〜んこれからよろしくねぇ〜」

カウンターでコーヒーを淹れていたマキに女性が抱きついた。

「あっ、先日の。」

「今日からここで働くことになったの、カエデって名前だけどお姉ちゃんって呼んでね!」

「ええぇ……」

マキはどう反応すればいいか分からず苦笑していた。

「あれ?カエデさんその制服」

ヤンがカエデを見て驚く。

「あら、ヤン君お久しぶりね、元気してた?」

「はいもちろん、カエデさんここで働くんですか?」

「そうなの!よろしくね。」

店員が全員顔合わせしたところで髭男が入ってきた

「ああみんな、知ってるとは思うが今日から働いてくれるカエデだ。」

マキはニヤリとして。

「店長うまくいったんですねぇ〜見直しましたよ〜」

と言うと髭男は目を逸らして

「あーはは……」

と気まずそうにした。

「本当、マキちゃんのおかげだからねえ〜。今度スイーツでもおごってあげる。」

「本当ですか!やったあ!」

女二人の空間にヤンが首を突っ込む。

「じゃあ僕もおごってくださいよ!駅前に」

「ダメ。」

即答だった。



 「ねえこのお店にお客さんが来ないのってメニューがしょぼいからじゃないの?」

カエデはメニューを見ながら髭男に言った。

「コーヒーだけを見てほしいんだよ俺は。」

「コーヒーだけ飲んでも大して美味しくないわよ、そうだ!厨房あったわよね。」

厨房というワードに髭男の顔が引きつる。

「何なら私がケーキでも焼こうか。」

「だめだ!!絶対だめだ!」

髭男は瞬間的に叫んだ。

「なんでよ、潰れるよこの店。」

そこへマキがやってきた。

「カエデさんケーキ作るんですか!?」

「そうよー、後お姉ちゃんって呼ばないのねー」

カエデは自分の呼ばれ方に少し不満を漏らす。

髭男はマキに

「あいつが料理したら物理的に潰れるぞこの店。」

と耳打ちする。マキはなるほどっとカエデの料理に対する想像を膨らませた。

「まあとにかく!スイーツは案として受け取るよ……あれ?」

髭男の視界にカエデの姿は消えていた。



 「な〜んだぁ、砂糖も小麦粉もあるじゃないの。」

カエデは厨房に移動して料理の準備を済ませ早速とりかかっていた。

「あのヒゲおやじ、目にもの見せてやるんだから。」

厨房の外ではマキと髭男がドアを開けようとするが

「あっ、開かない!?」

髭男が蹴破ろうとするがびくともしないドア

「大げさねえあの人は、ちょっとそこで見てなさい。」

カエデは邪魔されないようにしっかりとドアの鍵を閉め紫色の何かを混ぜていた。

「まずい!アイツを止めなければなんかしらヤバイことになる!厨房に通じてる地下室があるからそこへ行くぞ!!」

「えぇ、嫌です……」

マキが顔を歪める。

「でも確かにあれはやばいですね、なんか凄い色してるし……あっ緑に変わった。」

「よし行くぞ行くぞ。」

2人は地下室へと向かった。



 「こんなところに……」

コーヒー貯蔵庫の奥の奥にひっそりと空いている穴に道は続いていた。

「ここは非常用の脱出路なんだ、まさに今日のような日に備えて作っておいた。」

髭男は自慢げに言う。

「ちょっと入り組み過ぎじゃないですか?あれ、どっから来たっけ?」

マキの言うとおり中はところどころ入り組んでおり迷宮となっていた。

「泥棒が簡単に侵入出来ないよう入り組ませたんだ。」

「それって非常用になってませんよね。」

マキがため息を付く。

「まあまあ作ったのは俺だし最終幻想5ってゲームの火の城の地下をモチーフにつくったから大丈夫。」

髭男がやたらと伝わりづらいネタを言う。

「なんだ、さすがですね。じゃあ行きましょう!」

そう言ってマキが髭男をみるが髭男は眉間に皺を寄せて唸っていた。

「あれ……店長まさか。」

「んーーー、すまんドわすれした。」

終わった……とマキはその場でへたり込み思わず叫んだ

「うそでしょぉーーーー!」

マキは髭男の肩をガシっと掴み強く揺さぶった

「よく思い出してください!じゃないとここで私達死にますよ!パッケージの裏とかに書いてないんですか?私達無駄死にですかぁ!」

完全に混乱しているマキを見て髭男は

「まあ落ち着こう、きっとヤンが来てくれるさ。多分」

そう言って携帯でヤン宛に送ったメッセージを見せる。

「はあ、そうですね。待ちましょう死ぬまで。」

マキはそう言って床に寝転がった。



一方ヤンには携帯に着信が来ていた。

「店長からだ。あーまた迷ったかあの人。」

ヤンは携帯を閉じると店の掛札をCloseに変えて地下室へと入っていった。

「僕もあそこは嫌なんだよなぁ。」

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