仕事姿は身内に見られたくない。
「最近、女の人がすっごい窓をを覗いてる……」
ヤンはため息をついて窓の外を見る。
マキとは違う女性がずっと店の中を窓から見ていた。
「おはようございまーす」
マキが出勤してきた。
「あっ、マキさん変な人に絡まれませんでした?
最近あの人ずっといるんですよ…」
窓にチラリと目をやり、またため息をついた。
マキはへえと興味を示し窓を見た、途端目を見開いて固まった。
「あっ、え、あれ……うちの……兄です。」
マキは青ざめながらなんとか声を出した。
「あー、マキさんのお姉さんか……」
ヤンは安心して手を止めていた仕事に戻る。
「いえ……兄です。」
ガシャンと音を立ててカップが割れた
「えっ。」
「はい……」
マキの顔が真っ赤になりヤンが真っ青になった。
「どうも、マキの姉のアニです。うちの妹がお世話になってます。」
マキに耳を引っ張られて無理やり店に引き込まれたアニは涙目になりながら言った。
「兄でしょ」
マキは目を細めて言った。
「本当に男なのか……なんでそんなかっこ……」
そう言いかけヤンはハッとした
「(きっとこの人は性別に悩みを抱えて生きてきたんだろう。
そこを突いてしまいそうになった、なんて自分はバカなんだ。)」
と自分を責めた、が
「あー、この格好?いやね駅でモデルやらないか?って誘われて
ホイホイ付いて行ったらまさかの女性モデルだったから
それからずっと女装してるの。」
そこまで重い話ではなかった。
「モデル!?アニさん……その、男に気はありますか」
ヤンがちょっとそれっぽい顔をした
「ちょっ!ストオオオオオォォォォォップ!!!」
ヤンの肩をガシっと掴み思いっきり揺さぶった。
「ハッ、僕は何を……」
「ヤンさんコイツのせいで変な世界に行った男は数知れず!
そんなになりたいですか!!」
すごい剣幕でまくしたてた後にアニを見る。
「だいたい兄ちゃん何しに来たの!帰りぃや!!」
アニの首に掴みかかった
「ちょ、ぐるしいって離してェ!!!」
マキは少し迷ったが首から手を離した。
「ウエェ……相変わらず凄い握力、この子昔柔道やってたの
ヤンさん暴力されてない?」
「ははは……大丈夫ですよ」
ヤンは数日前のビンタを思い出す。
「はよ何しに来たか言いや。」
マキが凄い目を吊り上げていた。
「可愛い妹がバイトしたっていうもんだから視察に来るのは当然だろ?」
アニは笑ってマキの頭に手を置いた。
マキはアニの腹に拳を置いた。
「もうやめて……本当に死ぬから、コーヒー飲んで帰るから……」
「みんなおはよーー、今日もいい天気だなあー」
髭男が店に入ってきた。店でコーヒーを飲むアニを見て。
「うぉっ、客がいる……」
と驚いていた。




