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なぞかけ

 「暇なんでなぞかけをしよう。」

髭男は高く積み上がった座布団の上で静かにそう言った。

「もう店畳んだら?」

カエデがコーヒーを飲みながら興味なさそうに呟く。

従業員しかいないカフェに静音が訪れた。



 「というわけで何かお題を頂戴、お代官!」

ビシッと扇を向ける髭男。

「誰だ・・・お前・・・。」

カエデがありえないものを見る目で髭男を見る。

「ついに赤字が頭をおかしくしたの?」

髭男はそんな哀れみを物ともせず進める。

「赤字だなぁ!赤字、赤字」

「・・・赤字・・・、なんで何だ・・・。」

髭男はその場に突っ伏し悔しそうに床を叩く。

「まあまあ、あなたお金だけはあるんだからなんとかなるわよ。」

髭男はそうだよなぁ・・・?と顔をあげる。

カエデは笑顔でそうよと頷いた。

「私をほったらかしにして稼いだ金が。」

「ごめんさい。」

かなり素早いスピードで体制を変え土下座に移行する髭男をカエデは不気味な笑みで見続けた。




 エミが入ってきた。どこから出てきたのか分からない大量の座布団を興味深く観察する。

「なんか凄いのありますね。」

髭男はエミを見るなり扇を広げなぞかけに誘った。

「おお!エミちゃん来たか!暇だからなぞかけをしよう!」

「あ〜お客さんいませんからね。」

少し哀れむような表情で髭男と店を交互に見た。

「なんでみんなそういうこと言うんだよ!」

悲痛な声をあげる髭男だがすぐに立ち直り切り返す。

「で、参加しますか?」

「しません。」

笑顔で即断られた。

へし折れるような角度で首が曲がる髭男。

「今の若いのは昇天みないのか・・・」

「なにそのいやらしい変換。」

変換?と髭男が不思議そうな顔をするが気にしないでとジェスチャーを返す。

「まあお題ぐらいだしますよ、じゃあ・・・赤字?」

「計ってるだろお前ら。」




 「謎かけですか、店長そういうの好きですよね。」

いつの間にか湧いたヤンがいた。

「あれ、ヤン痴漢で捕まったって聞いたけど。」

「捕まってないしやってないっすから!」

苦笑いに少し怒りを混ぜるヤン。

「まあなんでもいいよお題ちょうだい。」

ほぼ事のあらすじを聞かずに髭男は話題を戻す。

「まったく・・・じゃあコーヒー。」

「コーヒーとかけまして・・・カエデと解きます。」

ヤンは後ろでこっそり聞いていたカエデをチラッと見る。

「その心は?」

「どちらも黒いです。」

「だめだこりゃ。」

その後、髭男はカエデに長い間洗脳をされることになる。



 「はい、あなた。カエデさんは?」

椅子に女性の力で縛られたとは思えないほどキツく縛られた髭男に問いかけるカエデ。

「カエデさんとかけて月と解きます・・・。」

「その心は?」

「どちらも美しいです。」

その答えを聞いてカエデはとてもニコニコとした。

「よく出来ました♥」

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