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お約束コメディ

 「やべえ!寝過ごした!」

携帯のアラームが鳴って30分後に起きたヤンはスマホを見て飛び起きた。

食パンをトースターにセットし歯ブラシを加えながら服に袖を通す、遅刻する展開のあるアニメや漫画ではよくある光景だ。

いちごジャムを塗ったパンを加えヤンは家を出た。

走っているとヤンは交差点に通りかかる……と、その時に誰かにぶつかってしまった。

「ったたた。」

ヤンの目の前には腰を手で押さるツインテールの女の子。

「ご、ごめんなさい!大丈夫!?」

ヤンが手を差し伸べると女の子はキッとヤンを睨めつけた。

「痛いよ!前見て歩けばーか!もしこれが私じゃなくてドリフトしてるGTRとかだったらアンタ死んでたよ!!」

ヤンは凄く申し訳無さそうな顔をしてどんな状況だよ、と心の中でツッコミを入れた。

「とにかく!私急いでるから、気をつけなさいよ!」

「あっ、はい……」

剣幕に押されヤンは声が出なかった。



 「っとね、こんなことがあったんですよ。」

店についたヤンはカウンターにうなだれながら髭男にあったことを話していた。

「なるほど。その女の子を病院まで送ったから遅れたのか、それはしかたないな。」

……嘘を交えて。

「そういえば今日は新しいバイトの子が来るから、ヤン君しっかりしてよ。」

「えっ、初耳ですね。分かりました仕事の研修は任せて下さい。」

ヤンはまだ気がついていなかった、お約束事は連続すると言うことに。



 「というわけで、今日からバイトでシフトに入ってくれるエミちゃん。」

ヤンの顔には冷や汗、そんなヤンを見たエミは指をさして驚く。

「あっ!さっきのぶつかった塩顔!」

ヤンは目を逸らし

「なんのことですか。」

としらを切る。

髭男はヤンから聞いた出来事を思い出した。

「えっじゃあ今日ヤンくんが病院に運んでったのがエミちゃん?」

ヤンの意識は成層圏まで飛んでいった。エミは事実とは異なる事件の史実に訴える

「病院なんて行ってないです!半ば逃げるように去りましたよコイツ!」

「急いでるからっていなくなったの君だろ!」

「そうだっけ。」

ヤンは、まったく苦労しそうな人材だなあと溜息混じりに横を見ると髭男がいたはずの位置に牛鬼がいることに気づく。

「あっ、あれーじゃあ今日運んだのは誰かなーこえー、あ!確かあそこではドリフトしてるGTRに轢かれた幽霊の噂があったけー。」



 長く感じたシフトの時間帯も終わりを告げヤンは店をでた。

なんか色々あったけど今日も充実してた気がするよ、と思いながら空を見上げると何かが降ってくる。

小さい影はどんどん大きくなるとともにそれがエミだということに気づいた。

「うわああ!」

避けるかキャッチするか迷ったが避けることにしたヤン、しかし避けられずにぶつかる。

「いててて、なんで空から……。」

と目を開けるとヤンの目の前にはお約束のピンク色。ヤンの目の前にはベースのピンクに白いリボンといった可愛らしいパンツがあった。

もう少し上に目を向けると恥じらいと怒りが渦巻くエミの顔。

エミは少し涙目になりながらヤンを蹴った。

「気をつけなさいよ!降ってきたのがボーイング787だったらどーすんのよ!」

「それはないだフグっ!!」



 髭男はエミの履歴書を見ていた。

「この子本当に中学生超えてるの?胸も背もちっちゃいなあ、合法」

そう言いかけたところでカエデのチョップが頭に刺さった。

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