Hello!天然バカバイトマキ!
客のいないコーヒーの香りが漂う空間、2人の男が仕事をしている……
1人は髭の濃い男でカップを丁寧に拭き、もう一人は若い男で鼻歌交じりに掃除をしていた。
遠くで昼を告げるサイレンの音が聞こえてくる、そこで髭の男が口を開いた。
「そろそろ面接の子が来てもいい頃なんだが……はて、道に迷ったかな?」
「ありえますね、このへんは道が入り組んでいますから」
声をかけられた若い男が愛想よく返す。
すると突然、その空間には似つかわしくない女性の声が扉の外から聞こえてきた。
「うぅぅああああぁぁぁぁぁぁ!!!!」
バン!と音を立てて扉が開きすぐさまものすごい勢いで閉められる、さっきまで2人の男しかいなかった空間に1人の女性が加わったが華が添えられた訳でもないようだ。
髪と息を乱す女性に若い男が声をかける。
「い、いらっしゃいませ……お客様どうかなされましたか?」
すると女性はクルッとこちらを向き穏やかな笑顔を見せたあと
「面接に来ました、これ!履歴書です。」
とだけ優しく言った。さっきの声の主が本当にこの人か怪しくなったがまだ整わない息と振り乱された髪を見る限りこの女性で間違いないようだ。履歴書は何故か濡れていて少し血が付いていた。マキとだけ名前は見えた。
裏の休憩室で面接は行われていた。
「えっと、このお店で働こうと思った理由は失恋した時にここのケーキを食べてすごく感動したんです、私が泣いてるのを見かねたマスターが良いこともあるさ……ってケーキを出してくれたんです。だから私!少しでもこのお店の力になれればと……!」
乾いてパリパリになった履歴書を持った髭の男は少し背もたれにかかりながら言った。
「マキさん……言いたいことはいくつかありますが、とりあえずこちらはまだ志望理由を聞いていません、答えるのは聞かれたらでいいです。」
マキはテヘッ☆とする
「次にうちはケーキを扱っていません、おそらく向かいのカフェです。」
間違えた!?と焦る表情を見せるマキ。
「ではまず質問ですが、なんであんなに急いでたのですか?」
マキは印象の良い笑顔を浮かべて事情を話す。
「いやぁ~実は今日ここに来るときニャンコ見つけちゃって、たわむれようと持ってたツナ缶を開けた瞬間に引っかかれて……その後に私にかかったツナ目当てに鳥が集まってきて必死に逃げて最後は噴水に飛び込んだんです。本当に驚きましたよぉ」
面接をのぞき見た店番の若い男は、なんでツナ缶持ってんだ……と気味悪がった。
髭の男はマキの運の悪さを哀れみ言った。
「お嬢ちゃん大変だったなぁ……今日は多分もう大丈夫だぞ。」
マキはそこでなぜか嬉しそうな顔をして
「採用ですか!?」と聞く。
髭の男と若い男はマキがバカであると確信した。
「いや……まだ採用とはきまってないなぁ……」
ただ、なんとなく可愛いなぁとか思いながらたいした質問も無く面接は終わった。
マキが帰ったあとに若い男は髭の男に聞いた。
「店長ぉ〜まさかとは思うんですがあの子採用じゃないですよね?」
店長はすかさず
「いや、採用だ。可愛かったしな!それに人手も足りなくなってきたしな」と教えてくれた。
若い男はやっぱりなぁと思いながらも
「やめておいたほうがいいと思いますよ」とだけ言っておいた。
数日後、マキの自宅には何故か、何故か採用通知が届いた……何故か!!




