~怪物~
久しぶりの更新ですみません。徐々に書きましたので時間がかかりすぎました。やっと本題はいれました。これからも地味な更新です。すみません。
誰かが言った、あいつは"怪物"だと。
「なあ、怪物君」
自分から他人に話し掛けるのは何年振りだろうか。
「なんだ、なんか用か?」
素っ気ない返答。少々ムカついたが俺は聞きたいことを聞くことにした。
「バレーボール部はいらねえのか?」
単刀直入に聞いた。だが返答は予想通り。
「はいらねえよ」
「なんでだ?」
しつこいような気はしたが、どうしても聞いておきたかった。
「お前には関係ねえだろーが」
なんだかイラっとした。
「なんでだよ?あんなにバレーボールうまいのに?もし俺があんだけ拾えるなら、俺は絶対バレーボール部はいるけどな?」
「俺がバレーボールうまいって?素人にわかるほど凄いんか?俺」
「俺は素人じゃねえ小学生のときガチめにやってた」
「じゃ、お前がはいるなら俺もはいんわ」
「じゃあ、はいってやんよ それならなんも文句ねーよな?怪物君」
「そうか、はいんのか でも俺はやっぱりはいんねえわ 部活なんてダルいだけだし」
「なにいってんの?俺がはいるならお前もはいんじゃねえのかよ」
「家庭の事情もあるんだわ お前にはわかんねえだろうけどな」
確かに俺には豪徳寺の家庭事情なんてわからない だけど...
「俺は豪徳寺のあのプレーを、もう一度この目で見たいんだよ......いままで見たなかでも、特に凄いプレーだった それに、お前とならやっていける気がする だから俺と...一緒にバレーボールやろうぜ!!」
「そこまで言われちゃなぁー いまから入部届け書くか?」
入部届けは確か机の中に入れていたはずだ。
バレー部にはいるからには上を目指さないとな。狙うはエース。
~白鴎中学校バレー部~
「今日、新人が2名バレー部に入部届けを出した。えっと...」顧問の言葉に周囲は興味を示していた。
「1年A組 豪徳寺です よろしくおねがいします」
周囲はあっという間に え···?あの1年か? みたいな雰囲気になった。あのプレイが印象的だったのだろう。
「それと···1年の柊だ」
「よろしくおねがいします」
俺は極度の人見知りなのでこれで精一杯だった。
「これで廃部の危機は回避できたが試合に出場できるかはお前ら次第だ あと1人頑張って集めろ」
豪徳寺のプレーは凄かった。今日の練習では90%の返球率だったそうだ。それに比べて俺は基本中の基本であるパスさえまともにできなかった。この日は初日だし、小学生ぶりなので仕方ないと思っていた。
家に着くといつも通り独りの夕食。独りのリビング。独りの家。俺は寝た。明日の部活が楽しみだった。
放課後になると直ぐに体育館へ向かった。この学校の体育館は広いので人数の少ないバレーボール部も1面使えるのだ。そして、この日も豪徳寺のプレーは凄かった。凄いとしか言えなかった。どんなに無謀なボールでも、見事なフライングでボールを拾っていた。
「おい1年、ちゃんとパスやれよ。お前パスもまともにできないのに...大会出れても負けちまうだろ?パスくらいできるようにしろよ」3年生ミドルブロッカーの齋藤 堅志先輩は嫌いだ。サトケンって呼ばれていて、後輩にも人気があるそうだが部活では鬼だ。俺には鬼畜すぎる。
「おいおいサトケン、そんなんじゃ1年もヤル気でないだろ?もっとやさしくしてやれよ」
龍騎先輩に教えてもらいたいが、龍騎先輩は最大の武器であるスパイクの特訓中らしい。
もう1人の部員で、龍騎先輩の弟である勇騎はセッターだ。はじめたばかりだというが、頭上にきたボールはキレイに上がっている。何もできていないのは俺だけか。
今日はもうやる気しない。帰ろう。
「先輩、僕今日は用事あるのでそろそろ帰ります。お疲れさまでした」
先輩達は何かを言っていた気がするが、そんなのはどうでもよかった。
家に帰った途端に酷い眠気に襲われた。
目が覚めると、もう午後1時だった。学校に行く気も部活に行く気も起きなかった。
バレーボールはもうやめよう。うまくできないし、やりかたもわからない。思い出せないし、思い出したくもない。そんなことするだけ面倒だ。
「···俺って本当に無気力人間なんだなぁ······」
そう、自分でも自覚していた。
主人公さんは無気力無関心な人間です。心が空っぽなんです。ただ、豪徳寺くんのプレーを見たとき、また見たいと思ったんです。
だけど結局は自分が何もできなくなっていたことを痛感してしまい、精神的に疲れてしまいました。バレーボールをやっていた頃は小学生バレーボール界に神童が現れた!!なんて言われてたけど、そのせいでバレーボールができない現状がすごい辛く、プライドがズタズタなんです。これからどう変わっていくのでしょうか...