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ぼうけんの司書  作者: 嫁葉羽華流
共国歴185年 白羊の月12日。晴れ。ウォンタリア領スウェトニアにて。
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「超がつくほどアバウト!?」

 街につくまでは何もなかった。

 街道、というのだろうか。僕ら以外にも旅慣れた人や馬車に乗った人がすれ違う。

 そのたびに僕は驚かされた。

 なにせそこには鱗がある人とか、ウサギの耳の人だったり、僕らとは違う人種がたくさんいた。


「ああ、ソウネ。確かオニイサンは亜人を見るのも初めてヨネ?」

「亜人?」

「アイヤー。亜人あじんっていうのは……まぁ、ああいううろこが生えてたりケモ耳だったりする奴らのことヨ」

「……僕らとは違う人種、ってことですか?」

「ソウネ。まぁ、覚えておけばいいのッテ、鱗が生えてる『竜人りゅうひと』、ネコ耳猫しっぽが『猫人ねこひと』、イヌ耳イヌしっぽが『犬人いぬひと』、キツネ耳キツネしっぽが『狐人きつねひと』、って覚えておけばいいネ」

「超がつくほどアバウト!?」


 で、でもわかりやすい! と、思ってたらちょうど通りすがりで猫人が通りすがった。


「ほえぇ……あれが猫人かぁ」

「ソウネ。猫人の女は人気がアルノヨー? 危ないところに潜っていくのはナレテルシネー」

「ほえー……あ、今通り過ぎたのが?」

「犬人ネ。犬人は鼻が利くし、耳もいい。兵士とかについてる人、多いネー」

「へぇぇ……竜人は?」

「竜人は……まぁ、あまりみかけないネー」


 そこでランさんは言葉を区切った。


「なんでですか?」

「竜人は誇り高い……というより、見栄っ張りとかいじっぱりなやつらヨ。《竜人の里》ってところでみんなで暮らしてるネー。ウデプシも頭のよさも竜人はイチバンヨー」

「へぇ……ランさん物知りですね」

「ナンデモは知らないヨー。知ってることダケネ」


 ふふん、と鼻で笑うランさんだった。


「おう、見えてきたぞー」


 ルジェさんが前を指差す。

 僕はそれを見たときにほわぁ、と口から息がこぼれた。

 あったのは高い城壁に囲まれた街。ところどころから鉄の音や人の騒ぎ声なんかも、遠く離れたここにいてもわかる。

 いちばんに目を引いたのはその城だった。

 ――真白い城。

 真新しく、今できたような新しさを感じるその城はとてもきれいだった。

 ところどころにある城の屋根は空の色。

 そう、まるでその城は雲でできたような城だった。


「すっご……きれい……!」

「ウォンタリア城……そういえばこの間だったか? 城磨きが行われたのは」

「ああ、確かあたしらが出ていくときにちょうどやってたな」


 ルジェさんとナナシェさんがそう話していた。


「城磨き?」

「ああ。ウォンタリア城では週に1度、城の美しさと城内の掃除を兼ねて、《城磨き》をするんだ」

「お城を磨くって……なんで!?」

「城はウォンタリアの観光名所だからな。常日頃磨くようにしている。その瞬間はいつみてもダイナミックに行われているから、それもまた名所の一つとして数えられているな」


 ナナシェさんは手元にあったガイドブックを見ながら説明してくれた。


「へぇ……! 城磨き……見てみたいなぁ……!」

「これから嫌でも見るさ。さぁ、行こう」

「いやでも見る、って……あ」


 そうだった。

 自分はウォンタリアについたら、ルジェさんたちと別れるのだ。

 それはそれでちょっとだけ寂しい思いもあるけど……仕方ないな、とも思った。

 彼らには、彼らの目的があるはずだ。それを邪魔するわけにはいかない。

 まぁ、いつかなれる時がきたら、冒険者になってみるのもいいかもしれないなと、僕は思った。

 ルジェさんがみんなを先導して、お城へと向かっていく。

用語解説

亜人あじん

 人間以外の人物を指す言葉。プライドが高く、《政治家》や《武道家》、また、《芸術家》や《旅人》などの職業の冒険者がいる『竜人りゅうひと』、俊敏性があり、《盗賊》などの職業についている冒険者が多い『猫人ねこひと』、鼻と耳が良く、職務を忠実にこなすため、《暗殺者》や《兵士》の職業の冒険者がいる『犬人いぬひと』、精神力や神通力など、《魔法使い》系の職業の旅人が多い『狐人きつねひと』などがいる。


《ウォンタリア城》

 商業国家ウォンタリアを象徴とする真白き城。別名『白雲城はくうんじょう』とも呼ばれている。週に1回行われる『城磨き』は同国の名物。

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