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ぼうけんの司書  作者: 嫁葉羽華流
共国歴185年 白羊の月12日。晴れ。ウォンタリア領スウェトニアにて。
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共国歴185年 白羊の月12日 晴れ ウォンタリア領スウェトニアにて。

やっと第一部完了です。

 共国歴185年 白羊の月12日 晴れ ウォンタリア領スウェトニアにて。


 僕はこれから日記をつけることにする。

 理由としてはまぁ、特に何でもないんだけれども、ナナシェさんが使わない紙があったので、文字の練習がてらに書くことにした。

 とにかく昨日のことを一気に書いたら、それはすごい文章になってしまって、ナナシェさんが「紙の使いすぎだ」と怒っていた。

 今度ランさんが新しい村で僕に日記帳を買ってくれると言ってくれたので、購入を検討する。

 

 さて、今日あったことといえば、昼に僕とユズさんがルジェさんたちの仲間になったことだ。

 本当は僕だけに言っていたつもりだったらしいんだけど、ユズさんが「ライブ君には私の本を直してもらうんだから、絶対について行くわよ!」と言って聞かなかった。そこでユズさんも仲間にした、ということだった。

 これから暇があるときにはみんなにいろいろなことを教えてもらうつもりだ。

 さっそく今日はランさんやナナシェさんに地理や冒険者の職業について教えてもらったので、そこかしこに挟んでおくことにする。

 そのほか、暇があれば僕はナナシェさんから『翻訳』を頼まれた。……読めないのが不思議なんだけどなぁ。なんで読めないんだろう。

 聞いてみると、ナナシェさんは「それは《司書》の能力なのかもしれないな」と言ってくれた。

 ……何度も聞いている《司書》だけど、これで僕は他の人を傷つけてしまった。

 アカームは毎晩、兵士に化け物の着ぐるみをさせて自分の領土の子供をさらっていた。

 連れ去ってきた子供に読み聞かせをさせて、なんの罪もない子供を化け物に変えていたという。

 ……実際、兵士さんたちが斬ったのは、子供だったのだろう。僕にはその結末だけしか教えてもらえなかった。

 でも、少し離れたところに墓地があって、そこで泣いている人たちがたくさんいたらしい。

 ……王様はそれを危惧していたのかもしれない。自分の子供を、知らなかったとはいえ化け物に変えてしまった人がそこにいたら、間違いなく僕は死んでいただろう。

 何の罪もない人を、知らなかったとはいえ、化け物に変えてしまった。

 ひょっとしたら、ユズさんはここにいなかったかもしれないと思うと、ぞっとする。

 でもユズさんは笑いながら「そんなの気にしなくてもいいよ」って言ってくれた。

 その後、ユズさんはこう言ってくれた。


「誰かを助けられなかった、誰かを救えなかった、なんて言うけれども、私に言わせればそんなの甘えよ。それは『過去』をみて後悔しているだけ。大事なのは『今』をどう変えるか、よ。この出来事をただの出来事としてとらえるんじゃなくって、もっと前向きにとらえればいいんじゃないかしら?」

 

 ……でも、《司書》の能力は、どうにも好きになれない。

 《司書》の能力を使わなくてもいいように、ルジェさんやユズさんから『戦闘訓練』をいろいろ教えてもらったんだけど、僕は『絶望的に向いていない』らしい。

 頑張ったんだけど……どうにも全身が痛い。明日は筋肉痛確定だろうなぁ……。


 明日はこの先にある「メレンゲ村」で、僕は本の修理器具を買ってもらうことになった。

 ナナシェさんは本の読み方が雑で、ところどころページが破れていたり剥離していたので、もっと丁寧な読み方をするように言っておいた。……でもちょっと言い過ぎたかもしれない。途中でランさんやルジェさんが止めに入らなかったらいつまでも話し続けていたとか言っていたし。

 でも、ナナシェさんに読まれている本は、とてもうれしそうな表情をしていた。そこはまぁ、ナナシェさんに少し嫉妬した。……あれ? 男の人に嫉妬って、どこかおかしい……?

 ま、まぁとにかく、これから僕は日記をつけていくことになる。誰かに読まれるかもしれないけど、そこは仕方ない。

 そういえば。僕が英雄って言われていたけど、それってどういう事なんだろう。

 ルジェさんに聞いたら、「そいつは内緒だ。でもお前がアカームを倒したんだぜ?」と恨みがましくいっていた。

 ……僕、何をしたんだろう。

 僕の正体。

 そして、夢で出てきた、あの女の子。

 旅の途中でわかるといいなと思う。

というわけで、第一部でした。ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

さて、途中で補足しきれなかったところがいくつもありましたので、そちらの補足、そしてそれぞれ出てきた職業の説明などをまたしていきたいと思います。

第二部はもう少しお待ちください。

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