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序章
⚪︎月×日、午後二時三十分。二度寝からの起床。
透はベッドから抜け出しおもむろにキッチンの換気扇をつける。風速は強。
壁に体を預けながら煙草に火をつけて一服する。寝起きのせいか、煙を吸うたびに頭が揺れる感覚に陥る。透はこの感覚が好きだった。
と、換気扇の音に目を覚ました悟は、のそのそと目をこすりながらベッドから這い出る。スマートフォンを片手に何やら操作しつつ、彼もまた煙草に火をつけた。
換気扇下に二人並び、虚ろな目をしながら煙を燻らす。互いに起床の挨拶は無い。透は吸い殻を灰皿に押し付け、悟が吸い終わるのを待つ。何故かどちらかが吸い終わるまで片方は待つというのが習慣となっていた。
悟も煙草の火を消し、二人揃ってリビングへ行く。ここまで会話無し。どちらとも無く32型の液晶テレビにリモコンを手に取り、画面に向けながら電源ボタンを押す。年中出しっ放しのコタツを囲み互いに着席。
そして、第一声。
「…今日の予定は?」
「…無い」
………これが、彼らの日常だ。