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瑠璃色の階段が出現し、城壁に京也が姿を見せる。想像していたより高く、見上げても、壁の先端がどこまで続いているか見当もつかなかった。
入口を捜し周囲を京也は歩く。壁の反対方向からやってくるドラゴンが視界に入った。おそらく飛んできたココロだろう。京也は能力を使い先回りした。
左門の火を吐くドラゴンの前に、ココロが降りたつ。ドラゴンが鳴くと反応して、扉が音をたてて開かれた。能力を使おうとする京也を、呼びかける者がいた。
「京也」
声の主は、響楓だった。
「どうしてここに」
いるはずのない楓の存在に驚く京也。一方で無事が確認できて京也はほっとした。あの状況下で、楓を残したことを京也は後悔していた。
「翔先輩が、助けてくれたんだ」
「兄には生きていたんですか」
「ああ」
楓にいろいろ聞きたかったが、ココロが単身で門を潜るのが見えた。
「楓さん。つかまって」
瞬きをして、扉の先に階段をイメージした。
「発動」
青い光が線となり扉に消えていく。
ココロの横をぬけ、京也がたどりついた城内。
入口からまっすぐに伸びた道の先に古城が見えた。とんがり帽子をかぶった4つ塔が、石造の建物を取り囲んでいる。城の複数の窓に光が反射していた。
突然現れた京也と楓に驚く仕草も見せず、中央の噴水広場に集まっていた人たちは談笑を続けている。男女とも絹でできた足先まで隠れる、丈の長いワンピースを着ている。白をベースとしているが、肩口や裾には幾何学模様の茶色い刺繍をほどこしていた。腰を縛るカラフルな紐が、唯一個性を象徴する飾りのようにみな異なっていた。
「楓さんこっちです」
京也は、楓を連れ広場から離れる。碁盤上に張り巡らせた石畳の両側は、びっしりと住居が並ぶ。その一角に楓を連れ込む。
「様子が変です」
「そうだな」
服装が異なり、あきらかに侵入者とわかる出で立ち。にもかかわらず無関心な人々。京也と楓が言葉を交わす間も、ふたりの前を人が通り過ぎていく。
「とりあえず、隠れる場所を探そう」
「わかりました」
京也が3秒ほど姿を消す。
「古城の奥に森が広がっています」
「いいだろう」
楓の承諾をとり、京也が楓の手を握る。
「発動」
未知の森を目指し、京也たちは階段を上っていった。




