season17-3 生還
『あなたが、ここに来たのにも必ず何かしら意味があるはずです。誰も知りえることの出来ない。宇宙の現状を知った。あなたが、帰還してからなすべきことはありますか?』
「あります」
『よかった。あなた方の宇宙が滅びの道へ進まないことを願っています。さぁ、もう帰りなさい。あなたの仲間があなたの帰りを待っていますよ』
「仲間……」
意識体がそう言うと、拓也の遥か頭上が綺麗な青色の光を発している。それは生命の青。海の、空の。全ての命の源。拓也はまるでその空間に吸い込まれていくかのように空中に浮遊した。
『さよなら、アダム。話が出来て楽しかったです』
次に拓也が目覚めたのは航空機の中だった。横にはイヴが眠っていた。
「……夢?」
拓也は自分でその感覚を確かめた。
「いや、あれは夢なんかじゃない。俺は確かに行ったんだ。宇宙の果てに」
拓也の疑問は確信に変わった。
一方、こちら美奈の乗る宇宙船。
「え? レーダーに、一機船が現れました。そんな今まであの場所にはなにもなかったのに。生体反応も二つ。これは……」
「たっくんよ! たっくんとイヴだわ! 通信繋いで」
レトは美奈に言われた通りに船に通信を繋ぐ。
「ちょっとたっくん! 返事して! たっくんなんでしょ?」
『……』
雑音が少し混ざっているが、スピーカーの向こうからは確かに人の息づかいが聴こえてくる。
『……美奈さん? 俺、拓也だ。イヴもいる。俺達助かったんだ』
その瞬間、船に乗っている全員から歓声がこだました。
『美奈さん。レンは?』
その言葉に、美奈の声は停まった。
「レンは……」
『レンは、大丈夫でしょ? 分かるんだレンは生きてる。そうでしょ?』
「なんでもお見通しのようね。そうよ。いまさっきレンから通信があったわ。レンは例の空間移転装置を使って、今地球にいるわ。まぁ、元々爆弾があったのがエリア51の中だからレンもそこにいるみたいだけど」
『そっか、良かった。レンを信じて。さぁ美奈さん。俺達も帰ろう。地球へ』
「うん」
レトは笑顔で拓也達の航空機のほうへと向かった。