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season17-2 存在

「滅ぶ……」


『私は、ここに生まれ意識が出来た時点からこの多くの宇宙を見守ってきました。私はあなた方のいう神なのかも知れないし、私を創ったほかの誰かがいるのかもしれない。ただ最初からここにいたのかもしれない。それは私にも決して分かりません。ただ私は確かにここに存在し、そして、これらの宇宙を見守るという確かな存在理由がある』


 拓也は意識体の言葉を静かに聞いている。


『けど、宇宙の数は減るばかり、元々そういうものなのか。それとも他の力が働きそうなるのかはわかりません。そして、全ての宇宙が消滅したとき、私はどうなるのかも……』


「どうすれば、滅ぶのを防ぐことが出来るのですか?」


『それは、私にもわかりません。ただ、滅んだ宇宙には共通点があります』


「共通点?」


『それは、争いです』


 その言葉に拓也はハッとした。


『どの宇宙でも必ず争いが起きています。宇宙で生まれる生物は元々がそういう創りなのか、どうかは分かりません。ただ争いは細胞同士の争いから、生物同士の争いへと発展し、村での争いに発展し、国での争いに発展し、やがては宇宙全体での争いにまで発展します。そうして規模が大きくなった争いの結末は必ず……滅びです』


「……争い」


『争いが宇宙の滅びと直接関係しているかどうかは分かりません。ただ、争いの遅い宇宙の全てが、いまだに消滅せず残っていることを考えれば、争いのある宇宙の結末は滅び。あなた方の宇宙でも、それは同じです』


 拓也はその言葉にいままでのことを思い出していた。確かに、拓也の住む地球ではいままで多くの争いが繰り広げられてきた。そして、それは宇宙でも同じだった。そして、それを解決するためにはまた争うしかなかった。


「どうすれば、争わずに済むのかな?」


『それは、分かりません。ただ、私は思うのです。誰しもが悲しみを背負って生きていく世界よりも、誰しもが笑ってくらせる世界のほうが楽しいと。ここから見えるのは滅びだけではありません。いろいろな生物がいろいろな感情を持って、いろいろな生活をしている様子が見えます。笑い、泣き、怒り、悲しむ。そして、人が人のやさしさに触れるとき、どんな生物も一番幸せな笑顔を見せてくれます。私は、その笑顔をみるのがとても大好きです』


「それが、俺達の存在する理由」


『そう。滅ぶための存在ではなく、未来へ心を繋げるための存在』


 イヴも同じことを言っていた。未来へ繋ぐ。


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