season16-5 別れ
「イヴ早く、こっちだ!」
「でもアダム、あなたの仲間が、犠牲になろうとしている。これは我々が望むことではありません!」
拓也はイヴの腕を掴み、必死に走っているが、イヴは相変わらず食い下がる。
「俺も、レンを犠牲にするつもりなんかないさ。レンなら必ず助かる。俺はそう信じている」
「でも、この状況で彼が助かる道なんか……」
「俺達が信じることを止めたら、それこそレンの想いは無駄になっちまう。俺達はレンを信じて一刻も早くこの場から離れるしかないんだ」
拓也は、レンが用意していたレプタリアンの航空機を見つけた。そして、その航空機に急いで乗り込む。
「信じる……。それが、あなたの見出した道ですか?」
「こんな時に、まだいってんのか? そうだよ。人を信じることが出来なくなったらお終いだろ?」
イヴは少し沈黙する。
「分かりました。それが、あなたの見出した道なら私達はそれに従いましょう。彼は生きて生還することを信じて、この母船から爆弾が爆発する前に脱出しましょう」
拓也はイヴを見ながら笑う。
そして拓也は、船を起動させ、それを操縦して、母船からの脱出を試みる。複雑な迷路のような通路を通り、来た道を引き返す。すると後ろから敵の攻撃が再び拓也たちを襲う。
「ちっ。しつこいんだよ。いつまでも……。俺達は生き残る。邪魔をするなぁ!」
その時一瞬、時がとまった。激しい閃光と共に、衝撃が空気を伝う。
爆弾の爆発の衝撃が拓也達に襲い掛かる。まだ出口までには多少距離がある。後ろの敵は衝撃に飲み込まれ、すでに消滅している。
「うおぁぁぁぁお!」
拓也が必死に叫びながら、航空機を出口へと向かわせる。
しかし、無情にもその圧倒的な衝撃は拓也達の船をも飲み込み、そして、遂にレプタリアンの母船そのものを完全に破壊した。その衝撃はまるで星が一つ消滅するほどのものだった。
そして、そこには何もなくなり、宇宙空間だけが広がっていた。
一方、こちらは美奈たちのいる船。
「レーダーから、機影が消えました。生体反応もありません」
「ちょっと、どういうこと? 生体反応がないって」
美奈がレトに掴みかかる。
「恐らく、イヴやアダムは……」
「そんな、嘘よ。たっくん、レン、イヴ」
美奈は心配そうに、窓から外を眺める。
大変遅くなり申し訳ありません。かなり急ぎで作ったものです。時間がある時少しずつ訂正していきます。次回で最終章です。出来る限り早く仕上げUPします。
読んでくださってる方本当にありがとうございます。