season16-4 脱出
レンの用意した航空機に走る拓也達。その瞬間後ろから銃声が聞こえた。だが、それは、拓也が受けたものではなかった。それはレンの胸を突き抜けていった。そしてレンはその場に倒れこむ。
「レン!!」
「ぐ……、拓也、止まるな。行け!」
しかし、さらにレンの身体を突き抜けるものがあった。後ろを見ると一体のレプタリアンが銃を持って撃ってきている。最後の死の間際の冷静さをうしなったレプタリアンである。
「置いていけるわけないだろ!!」
「どのみち、俺はここで死ぬつもりだったのさ。レプタリアン達の航空機は元々二人乗りだ。この三人の中で生きるべきものは、俺みたいな小汚いハッカーなんかじゃない。アダムとイヴ。二人の種を持つものだ。もうすぐ、爆弾が爆発する。その前に早くいけ! 俺の努力を無駄にしないでくれ!」
「でも、あなたが死んでしまっては意味がない」
イヴは食い下がる。
「レン、俺はお前のことを絶対忘れない。必ずこの宇宙を平和にしてみせる」
「ああ、約束だぜ」
レンと拓也はお互いの拳を合わせた。すると、レンは立ち上がり、レプタリアンのほうを見る。拓也はイヴを無理やりひっぱり走っていく。
「待てよ、レプタリアン。最後の悪あがきってのも立派だね。どれだけ科学力が発展しても所詮中身は獣か。お前達も俺達人間と同じだよ。お前達がしてきたことは罪だ。それは裁かれる。そして、それは今だ」
「黙れ! お前達のおかげで全てが無駄になった。我々はお前達とは違い高度な生物なのだ。生き残るのは本来我々であり、お前達ではない。必ずそれが分かるときがくる。いずれな。そして、第二のレプタリアンとなるのだ」
「それは、間違ってないかもな。今のままでは俺達は、お前らとなんら変わらない。ただそれを行っているのが宇宙か地球かの違いだけ。いずれ科学が発展し、お前らのように自由に宇宙にでることが出来れば、俺達は第二のレプタリアンとなる。だが、俺達には拓也が、アダムがいる。あいつなら、きっと人類を正しい方向へと導いてくれる」
「そんなのは戯言だ。現に我々を滅ぼすしか道がなかったではないか」
「今は、まだ。それしか出来ないんだよ。俺達はまだまだ心の成長が足りないんだ。お前らもそれは同じだろ?」
「お前らと一緒にするなぁ!!」
レプタリアンはレンに襲い掛かっていった。しかし、その瞬間船内は閃光に包まれた。