season16-1 再び宇宙へ
レプタリアンによってイヴを連れ去られた拓也達は、イヴを助けるために宇宙空間に滞在するレプタリアンの母船へと進入を決意した。そのために、レトは出来うる限りの装備を航空機に積んだ。そしてレトの手には、謎のスイッチが握られていた。
「アダム、これを」
そう言い、レトはそのスイッチを拓也に手渡した。
「これは?」
「これは、空間転送機の端末です。スイッチを押すだけで簡単にセットされていた物質がその場に出現します」
「空間転送機?」
「これが、あなたを飛行機の墜落から守り、そして月へと着陸させたモノの正体です。そして、この端末にセットされている物質こそ、現在も地球で浮かんでいる【巨大水素爆弾イワン】です」
レトの言葉に拓也は驚いた。このスイッチを押すだけであの巨大な水素爆弾がこの場に現れるなんて。
「レト、俺達の目的はレプタリアンの殲滅じゃないっていっただろ?」
「分かっています。だけど、もし万が一それが必要となった時はそれを押してください」
レトの真剣な眼に押され、拓也は仕方なくそのスイッチを持っておくことにした。
準備を終えた拓也達は、再び宇宙へと飛び立つために航空機へと乗り込んだ。航空機はエンジン音を上げて、一気に加速し、宇宙空間を目指して飛び上がった。そして、あっという間に宇宙へと飛び出した。
「アダム、なにか作戦はあるのですか?」
「……、ないさ。正面から突っ込む」
「それは、無茶ですよ」
「もう、小細工は必要ない。レト、お前と美奈さん、レンはこの航空機に残っていてくれ。俺が一人で行く」
「そんなの駄目よ。私も一緒にいくわ」
「気持ちは嬉しいんだけど、今回ばかりは駄目だ。美奈さん、レン。イヴが連れ去られたのは俺の責任だ。俺にやらせてくれ」
拓也は美奈たちの心配をよそに己で全てのことに決着をつけるつもりでいる。
「分かったわ。私達はこの船に残って、この船を守る。けどたっくん、もし帰ってこなかったらその時は私があなたを殺すからね」
「わかった。約束するよ。殺されたくないからね」
拓也は一瞬ニッコリ笑ったが、すぐに真剣な表情に戻った。
「では、アダム、この小型の航空機を使ってください。たいした機能はないですが、瞬間的なスピードではこの船よりも勝ります。敵の攻撃を避けるのにも役に立つかと」
「ああ、ありがとう」
こうして、拓也は小型の航空機に乗り込み単独宇宙へと飛び出した。