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season15-5 決意

「拓也、なんだ今の音は?」


 レンが轟音を聞いて駆けつけてきた。そこには銀色の壁があり、その前には拓也が腰が抜けたように座り込んでいた。


「なんだ? 一体なにがあったんだ? 拓也、イヴは?」


 拓也はレンの存在に気がつくと、ゆっくりと立ち上がり、レンのほうに振り向いた。そして、みんなを集め、今あったことを話し始めた。


「アダム! なんてことを!」


 レトが拓也に責め立てる。


「やめろ! 拓也が悪いわけじゃない。仕方がない状況だったんだ」


「たっくん……」


 拓也は俯きながら、一言も言葉を発せようとはしない。相当の後悔の念に押されているようだ。無理もない。どうしようもない出来事。無力な自分。そして、敵から逃げ、イヴを渡してしまった後悔。


「アダム、あなたの力を信じてここへ連れてきたのに。これでは意味がない。結果としてあなたは最も大事なものを失ったのです」


 ずっと、俯き沈黙していた拓也が顔を上げた。


「イヴを助け出す。あの時、確かに俺はなにも出来なかった。でも、このままじゃ駄目に決まってる」


「助け出すってまさか……」


 拓也は静かに頷く。


「敵の本拠地。敵の母船へと侵入する。そしてイヴを必ず助け出す」


 その言葉に全員が驚きの表情を浮かべた。


「アダム。先ほどはつい感情的になってしまいすいません。ですが、それではイヴの意志はどうなります? イヴのことだから彼女があなたに逃げるようにいったのではないですか? あなたが敵の本拠地に乗り込めば、イヴがあなたを逃がした意味が」


「どのみち、一人の人間を救えないようじゃこの宇宙を守ることなんてできやしないさ。俺はイヴを助け出す。そしてレプタリアンとの抗争をも終える」


「抗争を? それは戦いを放棄するということですか?」


「違う。和解するんだ。とてつもない科学力を持っているんだろ? それだけの知識があるのならきちんと話をすれば分かってもらえるはずだ」


 その言葉にレトは顔を曇らせた。


「ですが、それでは!」


「レト、俺達の目的はなんだ? レプタリアンを絶滅に追い込むことか? それとも宇宙を守ることか?」


「それは……」


 レトは拓也の質問に答えることが出来ずにいた。


「俺達の目的はレプタリアンの絶滅じゃない。この広大な宇宙を守ることだろ? 目的を見失うな。宇宙を守るのに犠牲は必要ない」


 拓也の決意にレトは口を開くことなく、静かに聴いている。


「アダム。あなたの考えは我々からすれば甘すぎる。でも……、だからこそ、イヴはあなたに全てを託したのかも。わかりました。ついていきます。あなたに。イヴを助け出しましょう」


 その言葉にレンや美奈も頷いた。


これにてseason15は終わりです。物語はいよいよ最終佳境へ!次回もよろしくお願いします。

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