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season15-3 イヴ

「今、帰ったよ。イヴ」


 レトがそう言うと奥にいた女性が立ち上がり拓也のほうを見て言った。


「お待ちしておりました。アダム。私がイヴです。どうぞ、お座りください。食事を用意してありますのでどうぞお食べください」


 拓也達はそれぞれ近くの椅子に座った。


 イヴはまるで天使のように綺麗な女性だった。笑顔がとても麗しい。拓也は無意識にその笑顔に捉われていた。


「イヴさん、さっそくだけど質問してもいいかしら?」


 美奈がイヴのほうを見て言った。


「ふふ、質問などしなくてもあなた達の求めている答えは用意してあります。結論からいいましょう。美奈さんが考えているようなことはありません」


 その言葉に美奈は正直に驚いた。美奈の考えていること。それは、アダムとイヴの間に生まれしものメシアのこと。


「私達の最終目標は究極の進化です。それを達成するためにはレプタリアンを倒さなければなりません。しかしレプタリアンを倒すのは今のためではないです。未来に繋げるためです。レプタリアンを倒さなければ私達に未来はない。私達が真に求める究極の進化は今はまだ達成できません。これから遥か未来、私達はたくさんの歴史と進化を歩んでいきます。そこにはきっと悲しみも、辛さも、楽しさも全てがあるでしょう。それらをこれから育まれる命に託すのです。永久に願いましょう。未来の繁栄を」


 それを静かに聴いていた拓也がイヴに質問する。


「俺は覚醒して、全部が分かった。あなたの言っていることもよく分かる。でも一つだけ分からないことがある。あなた達の求める究極の進化とは一体なんなんだ?」


「……究極の進化。それは、今はわかりません。もしかしたら私達はもうすでに究極の進化を達成しているのかもしれません。でも私は思うのです。究極の進化は自然と共存することだと。私達はその知能で様々な進化を遂げていました。とてつもない科学の発展は私達に文明を与え、生活を与え、命を育む糧として共存してきたのだと思います。そして人類は生まれ育った星をも旅立ち、この広大な宇宙へと進出した。しかしあまりに発展しすぎた科学力は時に自然を破壊する。私達もあなた達も科学ではなく自然に生まれた生物だというのに。そして、その典型がレプタリアンです。究極なまでに発展した科学力を使い、次から次から星の命を吸って生きている。そして彼らの次の目的は地球です。私達は他の星が歩んだ恐ろしい事態を再び起こさぬようにずっと昔から準備をしてきました。その作戦の一環がアダムあなたなのです。もし万が一人類が彼らによって全滅したとき、種の保存をはかるため、種を持つアダムを保護する必要があった。私も保存される者なの。しかし、私もアダムも逆に言えばレプタリアンを倒すための究極の武器になる。そして私達は戦うことを選んだ。種の保存をはかるよりも未来に繋ぐための戦いを」


 イヴがそれを語っている時、ずっと悲しそうな顔をしていた。本当は戦いたくなんかないのだろう。出来れば戦わずに済むのであればそれが一番いいに決まっている。それでも戦うしか方法がない。イヴは最も辛い選択を選んだのだろう。全ては未来へと繋げるため。ここで全てを終わらせないために、今の戦いはここで終わらせなければならない。


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