season15-2 火星での攻防2
レトの操縦する航空機は谷の間をすり抜け、敵の攻撃をかわしながら飛行している。後ろには二機の航空機が緑色のレーザーを打ち込んできている。この状況下を打破するために美奈はレトに作戦を提案した。
レトは航空機を谷の底に向けて移動し始めた。谷の底ぎりぎりに到達したらそのまま飛行を続ける。敵の二機も同じく谷の底まで降りてくる。そして敵の攻撃はひたすら続く。
するとレトは突然航空機を上昇させはじめた。急上昇にも近いその上昇ぶりに敵の航空機は攻撃する手を休め上昇にのみ集中する。そして、谷を抜けて再び地上へと出た。その上まださらに上昇する。やがて目の前に雲が見え始めてきた。レトはそのまま雲の中に突入する。後ろの二機もその後を追ってくる。
二機は雲の中を上昇していく。その時、レトは敵に急接近するほどの近さを通り下降していた。それに驚いた敵の航空機は急にブレーキをし、再びレトの操縦する航空機を追うために向きをかえた。その時、下からもう一機の航空機がもの凄いスピードで迫ってきていた。
二機の航空機は激突し、互いに爆発した。破片が空高く舞い、重力に引かれて地上に落ちていく。
「やった! 作戦通り!」
拓也達は船内で作戦の成功を喜んだ。
レトは再び航空機を谷へと戻し、その間を抜けながら飛行していく。
「やったね。美奈さん。ナイス作戦」
「まぁね。敵のぎりぎりを通らなくてはいけなかったから危険ではあったけど、レトの操縦テクニックを信じてよかったわ」
「ありがとうございます」
レトは少し嬉しそうに返事をした。
「それにしてもなんでまた、谷の間を通ってるの?」
「この先の谷にイヴがいるからですよ。それに谷の間を通ったほうが敵に見つかりにくい」
この先にいるというイヴとは一体何者なのか。彼らの本当の目的は一体なんなのか。様々な疑問を抱きながら拓也達は谷の間を飛行していた。
しばらくいくと、小さな穴があった。レトはその穴の中に航空機を滑り込ませ、だんだんと奥に入っていく。さらに奥へと進むと、岩に囲まれた洞窟のような開けた空間が姿を現した。そこの一番下には扉があり、扉の前には二人の人物が立っていた。
航空機は、そこの前に降り立ち停止した。
「さぁ、着きました。外に出ても大丈夫ですよ。酸素もありますから」
そういうとレトは扉を開くためのボタンを押した。徐々に扉が開き外が見えてくる。拓也達はレトに続き後を着いてくる。
「やぁ、おつかれ。イヴは?」
「お疲れ様です。レト様。イヴ様はこの先にいます。あなた達の帰りを待っていました」
そう答えた者もどうみても普通の人間にしか見えない。ただ間違いなく異性人なのだろう。
レトは中に入ると真っ直ぐにある場所へと向かった。しばらくいくと広間に出た。そこには大きな机といくつもの椅子が用意されており、机の上には食事が置いてあった。そして、その一番奥には、まるで天使のような金色の髪に身を染めた顔立ちのとても綺麗な女性がそこに座っていた。