season13-5 月へ
月――。
地球の衛星で半径1738km、質量は地球の81分の1。
地球からはその裏側を見ることはほとんどできない。それは地球に対する公転周期と自転周期がほぼ等しいためであるが、厳密には完全に同じではなく月の公転周期には少しズレがあり、6.29度上東西に振れる。また月の赤道面と白道面(地球から見る月の公転軌道面)も黄道面(太陽に対する地球の公転軌道面)に対してそれぞれ傾いているので、月は南北方向にも6.68度の振幅で振れて見える。さらに、月は地球に近い天体なので、月を地平線上で見るときと、天頂付近で見るときとでは東西方向の見え方に特に違いがでることになる。
そのため完全に一定ではないため地球からは月の全体の59%が見えることになる。
月にはさまざまな謎がある。
まず、アポロ12号が行った月の内部構造を知るための人工月震実験。月では地震は起きないために、人工的に地震を起こす必要があったのだが、この実験で月での振動が一時間以上も続いたのだ。これを不思議に思ったNASAは続く13号と14号でも人工月震実験を行った。するとまたしても月の振動は最低3時間続いたのだ。
本来、振動と言うのは吸収され無くなるものである。つまり地球で地震が起きてもあまり長く振動がないのは地中の岩盤やマントルなどがその衝撃を吸収しているからである。月で振動が続くということは吸収するための物質が少ないということを示している。つまり内部が空洞であるという可能性。
次に月にある海の謎である。月には海と呼ばれる黒っぽい部分がある。主にレアメタルと呼ばれる金属物質で覆われているのだがこのレアメタルは非常に重く硬い金属で本来ならば月の形成時に核付近まで沈んでいるはずなのだが、なぜかこのレアメタルは表面に多く分布している。また海の付近は重力異常が起きている。
さらにこの海であるが、月の表側の30%は海で形成されているが、なぜか裏側にはたった2%しか存在せず月の裏側は実に白い。
次に、地球からも見ることのできるクレーターの謎である。クレーターとは宇宙より降り注いだ隕石などの衝突によって出来る大きな穴のことである。もちろん地球にもクレーターは存在する。しかし月のクレーターは謎だらけである。本来隕石の衝突によりクレーターが出来るということは深さとその大きさは比例しているのが普通である。しかし月のクレーターはその大きさの割には非常に浅い。いや、すべてのクレーターがほぼ同じ深さなのだ。その深さは6キロである。直径200キロほどのクレーターの深さは6キロである。しかし直径1300キロもの巨大なクレーターの深さも6キロなのである。本来このようなことはありえない。
ましてや内部が空洞である可能性のある月では絶対にありえない。
さらにクレーターも表側は異様に多いのにも関わらず、裏側はそれほど多くクレーターは存在しない。
さらに月の裏側というのは、表面に比べ9キロも出っ張っている。
まだたくさんの謎が月にはあるのだが、これらの謎から考えられすべての辻褄が合う答えは一つしかない。それは月の誕生の謎はともかく、現在は月は異性人により改造された人工的な宇宙船であることは否めない。
地球の人間に分からないように表面だけを向けさせ、自然に見えるようにクレーターや海を用意する。それだけで実際に月まで来なければ月が人工的な物だと分かるはずがない。月まで来て初めて分かる。
それは月は人間を観察するための人工的な物質であるということ――。
拓也達が窓から白っぽい月の裏側の表面を見ていると、地表から白い物体が二機飛んできた。
「あ、あれは!?」
「見覚えがあるだろ? あれは、君達が飛行機の墜落事件の時に遭遇したソレと同じだよ」
二機の白い物体はシャトルの周りを縦横無尽に飛び回る。するとシャトルは白い光と金属音に包まれ拓也達は視界を奪われた。
次に拓也達が気が付いた時、シャトルは月の表面に着陸していた。
読んで頂きありがとうございます。season13はこれにて終わりです。次回season14もよろしくお願いします