season13-3 宇宙
ここは無限ではないかと思うほどの広大な闇の世界。そこから見えるのは青い星”地球”。
かつて宇宙飛行士が残した有名な言葉”地球は青かった”。まさにこの言葉が適切だと分かる光景。それを拓也達は見ていた。
「見てよ。美奈さん、レン。地球だ。もうあんな遠くに」
その声に美奈とレンは窓から外を覗く。そこには青く輝く地球という名の星が見えていた。
拓也達を乗せたスペースシャトルは成層圏を抜け宇宙へと出た。そしてまっすぐ月へと向かっている。この後、月の降り立つ位置に着くまで月までまっすぐ飛びその後第一の難関である周回軌道へと乗る。
スペースシャトル内は既に重力圏を抜けているので無重力状態となっている。拓也達も始めての無重力空間に多少落ち着きがない。プールでの無重力の訓練とは違う。正真正銘、本物の無重力空間なのだ。
水を撒けば球体になるし、宙回転も簡単に出来る。しかも物を投げるとなにかにぶつかるまでずっと飛び続けるのだ。身体も軽く重さを感じない。とてつもない浮遊感。空を飛ぶというのを初めて経験した拓也達だった。
いつも空を見上げると圏内を抜けた先にある広い宇宙。地上から見つめるしか出来なかった。まさか自分がこの宇宙に飛び出すことになるなんて夢にも思わなかった、拓也はそういう風に思っていた。
「感動するのも分かるが、これからが特に大変だぞ」
このフロンティアの操縦士でありリーダーであるベルリクトだった。
彼は、NASAの人間ではない。ネレセスの下で働く裏の世界の人間だ。今回のこのノア計画のリーダーに任命され、これから拓也達と行動を共にする人間だ。
「ベルさんは宇宙に来たことはあるの?」
「ああ、何度かあるさ。ただし、今回のようにスペースシャトルで、ではないが」
その言葉にレンが割り込んできた。
「その事で疑問があるんだけど、なんでスペースシャトルで宇宙に来る必要があるんだ? 異性人の技術ならシャトルでなくとも宇宙までも月までも行けるだろ?」
「ああ、それには少し事情があってな。詳しくは月へついてから説明するよ。まぁ言うなれば条件が揃ってないからさ」
「条件?」
「それより、後数時間で月へ着く前の最大の難関である周回軌道へと乗るから訓練の成果を見せてくれよ」
ベルリクトの言う月の周回軌道。
拓也達の目的地は月の裏側にある一点。そこにたどり着くために月の重力圏から超高速で周回軌道に乗ってそこまで行く必要がある。しかしその時のスピードは時速三万キロにも達し、相当な重力が身体にかかる。自分の体重の約10倍の重さが身体にかかるわけだから、しっかりと鍛えていないとその重さに耐えることができずに死んでしまうことになる。そのため地球で行われた訓練は重力に耐える訓練に重点を置いていた。
もちろん訓練では全員が基準をクリアしている。だが訓練と実践では大きく差が出る。しかしそれが逆に訓練の成果の見せ場でもあるのだ。
スペースシャトルは順調に航行し、遂に月の重力圏内に入る――。