season12-5 地球型
「おーい、レンー!」
レンのいる屋上に拓也の声が木霊する。レンは屋上から下を覗くそこには拓也と美奈の姿。
「ネレセスさんが集まってくれって」
レンは承諾したと言わんばかりに手を上げる。
「どうしたのネレセスさん?」
拓也達はネレセスの呼びかけに一つの扉の前に集まっていた。その扉はまるで何重もの鉄が重なっているような頑丈な雰囲気をかもし出していた。
「君達にまだ見せていなかったのを思い出してね。訓練も順調に進んでるようだし、宇宙へと行く日も近い」
そう言うとネレセスは扉の横にある機械にカードを通し数字を打ち込みパスワードを解除する。すると扉は煙を吐きながらゆっくりと開き始めた。扉はやはり頑丈なようだ物々しい音と共に扉が開いていく。
扉が開き、部屋の中が見えてきた。拓也達はそこにある物体を見るなり驚きの表情を浮かべた。
そこにあるのは、一般的にUFOと呼ばれる物体だった。
黒い逆三角形のフォルム。機体の表面は謎の金属で固められたように鮮やかに光沢を放っていた。そしてそれはまるで重力に逆らうように空中に浮いていた。
「これは、我々が開発した半重力航行機。簡単に言えば地球型のUFOだ。だが原理は異性人達のUFOと同じ半重力推進力とメタルチタン動力を使用している。機体のフォルムは特殊で空気抵抗を限りなく零にすることに成功している。これにより機体内に乗っている状態で光スピードを出してもあまり影響を受けない。……これから君達が乗る機体だ」
「俺達が……」
「これからの訓練でこいつを自在に乗りこなしてもらう。とは言ってもこいつでは宇宙まで飛び立つことは出来ない。君達は我々のシャトルで月まで送ることになるだろう。この機体は別ルートで月へと送る」
拓也は驚きの表情を浮かべていたがしばらくして落ち着いた表情へと戻った。
「いよいよ宇宙へ行くんだね」
拓也の言葉に、レン達は耳を傾ける。ネレセスはあえて質問をしてみる。
「臆したか?」
「……大丈夫だよ。もう覚悟は出来てる。行くよ、残りの訓練もしっかり終えて彼らの待つ宇宙へ。そして全ての謎を解き明かす」
その答えにネレセスを初めレン達も笑顔で拓也を見る。
――そして数ヶ月に及ぶ訓練を終え拓也達はいよいよ宇宙へと行く準備に取り掛かる。
読んでいただきありがとうございます。season12はこれにてお終いです。次回いよいよ舞台は宇宙へ。
それでは次回からもまたよろしくおねがい致します。