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season12-4 レンの想い

「おい、ちょっと君!」


 警備員の制止を振り切って少年は施設の内部へと入っていく。彼は以前この施設にきたことがあるのでどこにいけば目的の人物に会えるのかが分かっていた。少年は、目の前にあるドアを開け中へ入っていく。そこには数人の大人と奥のパソコンの前に座る男性が一人いた。男性は少年の姿を確認すると椅子から立ち上がり、


「ホープ? どうしたんだ? ここは仕事場だぞ」


「父さん……フィアナは死んだよ」


 レンは息を切らしながら父親の顔を睨みつけた。


「知っている。病院から連絡を受けた」


「だったらなんで病院にいかない!? フィアナは一人で寂しく死んでいったんだぞ!! あんたフィアナの父親だろう!」


 レンの父親は、ゆっくりとレンに近づきレンの肩に両手を置いた。


「ホープ、ここは仕事場だ。帰りなさい。まだ小さいお前に言っても分からないだろうが父さんは国の存亡に関わる重要な仕事をしている。フィアナのことは残念だが今は仕事の手が離せない。一段落ついたらすぐにフィアナの元へ……」


「ふざけんな!!」


 レンは肩にある父親の手を振り払い、大声で叫び父親をその目でしっかりと睨みつける。


「仕事がそんなに大事なのかよ! 自分の子供の命より国の命のほうが大事なのかよ!」


「ホープ、なんとでも言うがいい。だが、国があって初めて人は生きることが出来る。未来のために今が一番重要な時なんだ」


「分からないよ……分かるわけねぇだろ!!」


 レンは大声で叫びながらその部屋を走って出た。まるで父親から逃げるように。




 レンはそのまま家に帰った。家にはフィアナにあげたノートパソコンが一つ置かれてあった。レンは静かにそのノートパソコンを開け起動する。起動するとデスクトップにクマのマスコットが現れる。


 クマのマスコットは中央まで来ると、いつものようにふき出しを出す。レンはそこに表示されている文章を見て涙が溢れてきた。どうしようもないくらいに大粒の涙が。


 そこには”お兄ちゃん、ありがとう”の文字――。


 それはフィアナがレンに込めた最後の想い。レンは涙を拭いある決意をする。そしてレンはパソコンのデスクトップからネットに繋ぐ、レンはそこから父親の働いている施設のサイトへとアクセスした。


 そのサイトは国防総省の公式サイトだった。レンはそこから自作のプログラミングを介して国防総省のデータをハッキングした。これがレンが行ったはじめてのハッキングだった。


 レンは以前からハッキングの知識だけはあったのだがハッキングする理由も興味もなかったのでそれを行うことはなかった。しかし今は理由があった。それは父親の仕事を知ること。


 幼いレンが考えたのはフィアナの死を生かすこと。これ以上他の人がフィアナのように悲しく寂しい死を迎えないように、父親がしている仕事の内容を知り、レンが裏から仕事を解決して父親の仕事を減らしていこうと。まだ大人の事情を知らない子供ながらの真剣な答えだった。



 だが、そこでレンが知ったのはおおよその予想を遥かに裏切る内容だった。そこには”異性人””UFO””宇宙”などのキーワードが蔓延していた。その内容に驚きはしたもののレンの目的は変わらなかった。フィアナのためにもこれらの謎を解明することを強く強く己の心の奥底に刻みレンの探求の人生は幕を開けた――。

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