season11-4 真実4
ドアが静かに開くと長身の人物が入ってきた。そしてその横には小柄で肌の色は褐色に近いどうみても人間には見えない生物も一緒だった。
「お久しぶりです。アダム」
長身の男が、入ってくるなり拓也のほうを見て笑いながらいった。拓也は小柄な生物のほうに気を取られていたが男の言葉に長身の男を見た。
「久しぶり?」
拓也はその言葉に記憶を探ったが出てこなかった。
「ええ、何度も過去にあってます。彼のことは覚えてますか?」
そう言うと、長身の男は小柄な生物を前に出した。その生物はどう見ても一般にグレイと呼ばれる生物である。
「もしかして、UFOの中で会った?」
拓也は自分で答えたその答えに自信はなかったがとりあえず答えた。
「ええ、正解です。でもあなたには問題を出さなくても分かってるはずです。幼いときから何度も誘拐して脳の奥に潜在的な知識を盛り込んでありますから。それはよしとして覚えていないようなので自己紹介しておきます。私の名前はリーブ。はくちょう座のほうにあるセマサレスという星より来ました。いわゆる異性人です」
「え?」
その自己紹介に拓也は驚いた。そうその男は自分で自分のことを異性人だと名乗ったのだ。どこからどうみても普通の人間にしか見えないが。
「見た目は地球の人間と同じですが、中の構造は違います。私達の星にはこの星にはない物質があって、それを消化するための器官が備わっています」
拓也は声が出ずにただ口を開けて言葉にならない言葉を言っている。
「さて本題ですが、結論から言って彼らは今はこの地球にはいません。今彼らは全員が火星にいます。火星が奴らの本拠地です。当然爆弾も地球では使いません。アダム、あなたには火星に行って貰います」
「え?」
彼は、小さな生物の肩に手を乗せながら
「彼らチルドレンは、我々も協力して創った生物ですが、それなりに知能も感情も備えている。だから彼らからはみ出し者が現れた。しかし、そんな彼らの目的もアダムの覚醒、結果としてプラスになると踏んで野放しにしておきました。そしてうまくいった。彼らの行動のおかげであなたは遂に『覚醒した』覚醒とは理解です。アダムあなたはすべてを分かっている。あなたが火星でなにを成すべきか」
拓也はその言葉に口を閉じ、少し俯いた。
「……戦わなくちゃいけないのか?」
「……、それが運命です」
拓也は完全に俯き、口を閉じた。
「つらい運命です。でもあなたはそのために生まれてきた。我々の目的は決して戦うことではない。でも彼らがいる限り我々の真の目的が達成されることはありません。アダム、我々はあなたに戦うということ以外に真なる目的を期待しています。本来はそれが人類に種を植えた目的であり、我々全宇宙の目的です」
そこでリーブは一旦口を止めた。そして一息ついて口を開いた。
「アダム、あなたにはこの”宇宙の果て”を見ていただきたい。我々も知ることのないこの宇宙の果て、存在すらしないかも知れない。でも可能性はある。そこに全ての答えはあると思います。我々が生まれてきたことの真の答え、そして、我々はどこへ向かうのか。進化の果てにあるものはなんなのか」
「答え……」
「全知全能――全てを知るあなただけが行くことを許される場所です。アダム、私達はあなたの味方です。一緒に戦いましょう。そして、この星を守るんです。そして、真の目的を一緒に達成しましょう」
そう言うとリーブは手を差し出してきた。拓也はリーブの顔を見る。
「なぜ異性人達がこの地球に集まり、協力してこの地球を守ろうとするか分かりますか? それは、この地球が美しいからです。”美しい”この感情は知能を持つ生物だけが持つ特別な感情です。なぜ我々は美しいと感じるのか。それは守るためです。さぁアダム」
拓也はしばらくリーブの顔を見ていたが、突然立ち上がりリーブの手を握って握手した。
「……やるよ。守ってやる。この地球も宇宙も」
リーブはにっこり笑みを浮かべ拓也を見る。
「アダム、それではもう少しここで待っていてください。数日かかるとは思いますが今あなたの仲間が全員ここに向かっています」
その言葉に拓也は目を見開く。
「美奈さん達が!? 無事なのか?」
「ええ、無事ですよ。ここはホワイトハウスの地下にある軍事基地の一室なのです。だからみなさんホワイトハウスに向かっています」
拓也はその言葉を聞いて、肩を撫で下ろしベッドに倒れた。